運命のマウンドに立った松坂に対して、アトランタの先頭打者、シェーファーは初球をいきなりセーフティバント。松坂はこれを安打にしてしまう。非情としか言いようがない。
daisuke-Matsuzaka20130902

シェーファーは盗塁。そしてジャスティン・アップトンが右前に運び、早々に先取点が入る。さらにフリーマンの二塁打が出て1死も取らないうちに2点が入った。
落胆した松坂はマッキャンを4球で歩かせる。
大事な3度目の試験は、これでほぼ結果が決まった。ジョンソンを併殺打に取り、BJを三振。

2回裏、アグラを三ゴロに打ち取るがシモンズが右前打。マホールムが送りバント。そしてシェーファーがタイムリー、アップトンを歩かせ、フリーマンには3ランを食らう。143㎞/hの真ん中高めに入る打ち頃のボールだった。
マッキャンにも安打を打たれたところでコーチがマウンドへ。



以後は書いても仕方がない。
松坂の今シーズン、そして2007年以来続いたMLBのキャリアはこれで終わったのではないか。メッツがもう一度チャンスを与えてくれるとは思えない。
制球がない上に、球威も、球のキレもない。そしてピンチでは勝負を恐れて内角を攻めることができない。

古くから当ブログをお読みの方は、先発投手を1球ずつ追いかける記事が、松坂大輔から始まっていることをご存知かと思う。
無駄球が多く、ランナーを山のように背負いながらもふてぶてしくアウトを取っていく松坂は、本当に魅力的だった。
またA-RODなど大物打者に勝負を挑む姿も恰好が良かった。
松坂大輔のピッチングは、結果はどうであれ、本当に面白かった。

しかしその身上である速球のキレ、勢いが失われ、それとともに自信が減退し、松坂は急速にしぼんでいった。

最近、野球関係者に会う機会が増えたが、ダルビッシュや黒田、岩隈がMLBに来て投球方や調整法を大きく変えた話が出ると決まって「それができなかったのがダイスケなんだなあ」という話になる。

つまり松坂は日米のギャップにはまり込んで抜け出すことができなかったということになろう。

「松坂世代」という有名な言葉があるように、松坂は一時代を代表する投手だった。多くのプロ選手にとっては、仰ぎ見る存在だったし、一般人も「あんなすごい投手は見たことがない」と言った。
そういう投手だっただけに、自らのスタイルを変革することができなかったのだろう。
特にトミー・ジョン手術の後は、苦しんだのではないかと思う。

今後の展開を予測するのは難しいが、一つの時代が終わったという感慨がある。


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