シアトル・マリナーズ=SEAの野手陣のスプリングトレーニングが始まった。ランニングをするイチローの姿が公式サイトでも大きく取り上げられた。数日前から自主トレで現地に入っている川崎の姿もある。いよいよ東京開幕へ向けて助走が始まった。
『スポーツ報知』によると、イチローは打撃練習で右足を上げないノーステップで33球を打ったという(映像を見た限り、ほんの少しだけステップはしていたが)。

その後の時事通信の記事では意味深な話をしている。

 -打撃に関して今年思っていることは。
 ある動きを省いている。考え方は変わらない。
 -12年目に向けて強く思っていることは。
 何かをやろうとするときは不退転の決意です。

イチローのインタビューはいつでも意味深だが、この発言は何を意味しているのだろうか?

ノーステップ打法といえば、古くは張本勲を思い出す。張本は高く構えたバットを、バックスイングもほとんどせずにそのまま振り下ろしていた。このときに右足は軽くタイミングを取る程度でほとんど上げなかった。こうすることで、体の上下動や揺れを極力抑え、球を正確にとらえていたのだろう。張本は、力を入れなくてもしっかりミートすれば打球は飛んでいくことを知っていた。最短距離で振りぬく打撃をしていたのだ。

一昨年くらいからまたノーステップ打法が流行している。T-岡田、中田翔という若い長距離打者がノーステップで成績をあげつつあるのだ。
彼らのノーステップは張本のそれとは趣が大きく違う。張本は「雨の日に立小便をするように」膝を軽く曲げて柔らかく打席に立つが、T-岡田も中田も、腰をぐっと沈めたガニ股で構える。構えだけを見ると種田仁を思わせるが、種田のように曲げた足でタイミングはとらない。どっしりと構えてそこからバットを振りぬくのだ。
おそらくは、上下動を抑えて球を正確にとらえるとともに、上げた足からエネルギーが抜けることを防ぎ、力を効率よくバットに伝えようとしているのだろう。この打法で一昨年T-岡田は本塁打王を取った。

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大柄な選手がこの構えをすると、見るからに力感があって頼もしい。しかし、このフォームはタイミングが悪くなるとからきし打てなくなる。中田翔が昨年後半、少し前足を上げていたのは、我慢が出来なかったからだろう。

さて、長々とノーステップ打法について考えたが、イチローがノーステップ打法を試みる意図はどこにあるのか。
イチローよりも動体視力が優れた選手はいないはずだ。ミートのうまさでイチローに並ぶ選手はいない。投球を的確にとらえるためにノーステップ打法を取り入れているのではないと思われる。だとすれば、ノーステップ打法は、大きいのを打つために試みているのではないか?

今年、ウェッジ監督はイチローを2番または3番で打たせる可能性を示唆している。MLBでは2番はつなぐ打順と定まっているわけではない。2番に長距離打者を置くことはしばしばある。例年通り大砲のいないSEAである。今年のイチローには打者を確実に返すポイントゲッターの役割が求められているのではないか。

時事通信のインタビューの
 ある動きを省いている。考え方は変わらない。

とは、ステップする動きのことかもしれない。球を的確にとらえるという点は変わらないだろうが。
そして、
 何かをやろうとするときは不退転の決意です。

とは、リードオフマンではなく中軸打者という新しいミッションに取り組む決意を表しているのではないか。
200本安打の呪縛から解放されたイチロー、今年はRBIやOPSを稼いで、新しい魅力を見せてくれるのかもしれない。





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