報知新聞のスクープだ。
19日に行われる日本野球機構(NPB)の社員総会および12球団オーナー会議で表明する意向。加藤コミッショナーは来年6月まで任期を残しているが、一連の統一球隠蔽問題に対する責任を取る形で、今季の公式戦日程が終了した段階で、身を引く考えだ。コミッショナーが任期中に辞任するのは史上4人目となる。
要するに「第三者委員会」が報告書を上げる前に辞めようと言うことだ。
報告書にはコミッショナーの責任、不作為や無責任や責任転嫁、などが指摘されているはずだ。それを待って引責辞任するよりも、自分から辞める方が体面が保てるとの判断があったのだろう。
NPB側は今日の会議でコミッショナーの任命の期日を1月1日とし、前任者の任期を12月31日までに改める予定だった。
これは加藤コミッショナーの引責辞任を回避するとともに後任者の決定、就任を早めようと言う措置だったが、加藤氏は先手を打ったことになる。



率直に言って加藤氏には今後何も期待できなかったし、すでに死に体ではあった。だからいつ辞めようと、どのように辞めようと、どうでもよい話ではあった。
ただ、こういう形で「統一球問題」の責任者が辞任してしまうことで、「第三者委員会」の報告書の意義が薄れてしまうことが懸念される。
コミッショナーのガバナンスの無さ。ディスクロージャーの認識の欠如、そしてファンや選手会の軽視など、今のNPBが持つ大きな問題について、責任を問う「相手」がいなくなる。
「そうした問題点は、コミッショナーに責任があったが、加藤氏は辞任した」と言われてそれでおしまい、ということに成りかねない。

報告を真正面から受け止める存在がいなくなるのは、痛い。

NPB機構全体を改革する端緒とする好機だったが、それが無理になるのではないか。

報告書を受け止めて、それに対処すると言うステップを飛ばして、オーナー会議は「後任者の人事」に移行する可能性が高いのではないか。

そうなれば例によって「自分たちの言うことを聞くリタイア老人」を連れてくる可能性もでてこよう。渡邊恒雄氏が言ったように「王貞治」の名が上がるとしても、オーナーに推挙されての就任では、身動きが取れないのではないかと思う。そもそも王貞治とて病み上がりで73歳の老人だ。改革の旗手はとてもつとまるまい。

もっと若くて、既存勢力の影響を受けていない人材が、今度こそコミッショナーになるべき時だったのだが。

今回の統一球問題は、おそらく加藤氏が珍しくも自発的に動いた施策だ。しかし実態把握もいい加減で、メーカーに丸投げした挙句、球界に混乱をもたらした。また善後策もお粗末だった。
加藤氏はその詰め腹を切ることになった訳だが、それで「お家の存続」を図ったのだとすれば、残念なことだ。

加藤氏の今日のコメント抜粋 讀賣新聞

 ――辞めることはいつから考えていたか。
 「今年の初めから考えていた。私の意向を明確にしないと、後任も決まりにくいと思った」
 ――いつまでやる。
 「日本シリーズの前には辞めたい。レギュラーシーズンが終わるときまでには辞めたいと思っている」
 ――日米ワールドシリーズの実現を目指すなど国際化に取り組んだ。
 「野球・ソフトボールの五輪復帰も含め、頑張ってきたが、自分の描いた夢を実現する道がなかなか難しくて、閉ざされているという印象を受けた」
 ――6月には統一球で問題が起きた。
 「国内で使用するボールの統一と、国際球なるものに近づける気持ちでやってきた。目的は間違っていなかったと思うが、騒ぎを起こした。いろいろ経過はあるが、すべて私の責任だ」
 ――コミッショナーには本当にボールの仕様が変わったことの報告がなかったのか。
 「私が報告を受けていなかったのは本当に事実。意図的に隠蔽したことは絶対にない」
 ――統一球についての第三者委員会の報告が近くある。
 「今、引退を明確にすることで、その責任を逃れようとは全く思っていない。報告を見極めたい」

(統一球問題とは関係なく)今年の初めから辞めるつもりだった、とはプライドの高いキャリア官僚らしい言い草だ。

ここまできたなら、加藤氏は第三者委員会の報告を受けて、往生際悪く居座ってほしかった。その過程でいろいろ問題が出てきただろうから。

NPBの改革は難しい。無能なコミッショナーは今後も続くのだろう。
老人たちが退場して、新しい世代になっても既得権益は引き継がれるのだろうな、と思った。

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