2009129日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事 

今年、アメリカ殿堂入りしたのはリッキー・ヘンダ―ソンだったが、同じように引退後5年が経過して殿堂入りの資格が生まれ、BBWAA(全米野球担当記者協会)によって可否を問う投票にかけられた選手に、ジェシー・オロスコがいる。残念なことに、全体の5%以下の得票だったために、審査基準から外れ、殿堂入りの資格はなくなってしまった。

そりゃそうでしょう、ジェシーは87勝80敗144セーブ、現役でもごろごろしているような並の投手なのだから。では、なぜ、一度は殿堂入りが検討されたのか?

彼は1251登板と言うMLB記録を持っているのだ。しかも実動24年(プロ生活は26年)。2008年横浜の工藤公康は、27年目の現役シーズンを送ったが、高卒すぐで1軍のマウンドに上がることができるNPBと違い、少なくとも1~2年のマイナー生活を送らなければならないMLBでは、空前の記録である。

彼の現役生活の長さをSTATSで実感していただきたい。

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オロスコは、70年代、80年代、90年代、00年代の4つのディケード(10年)で現役生活を過ごしている。

先発わずか4回、完投は0。こんな大したことのない投手がなぜこんなに長生きできたのか?もちろん、彼はオールスターやワールド・シリーズでも活躍した。一流選手の時期もあったが、大部分は地味なセットアッパー生活だった。

いろいろ事情はあるだろうが、やはり左腕であること、そして防御率の良さが目に付く。そこそこ計算できて、この年俸(2001年58万ドル、2003年80万ドル)。お買い得感たっぷりの投手だったのだ。

デーブ・キングマンから、このあいだ亡くなったボビー・マーサー、ジョージ・ブレット、バーニー、そしてイチローとも対戦している。最後の年となった2003年、オロスコははじめて3チームを渡り歩くジャーニーを経験したが、ヤンキースにいた8/10のシアトル戦7回、ロジャー・クレメンスの後を受けてマウンドに上がったオロスコは、イチローと対戦、易々と二塁打を打たれている。46歳のことだ。

私は30年くらい前からMLBに興味を持っていたが、昔の記憶はない。晩年のオロスコの印象としては、何か「体育の先生」がマウンドに上がったような感じがした。昔は鍛えられていただろう体が丸くなり、動作も鈍くて、でも何となく押さえてしまう。そこはかとないユーモアもあったような。

過酷な競争社会であるとともに、MLBはこういう選手が生きていけるのだな、と思った。

 

■後日談:工藤公康は、2010年も現役がきまった。オロスコなみの持久力、実績ははるかに上だ。