【2009年2月22日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

yamarin

兵庫県姫路市(旧夢前町)にある日生学園第三高校野球部の山林(やまりん)芳則投手が、ATLと契約したのは耳に新しいニュースだ。私はこの日生3高を含む日生学園には、17年にわたる厚誼をいただいている。それだけに、他人事のような気がしない。

兵庫県は、高校野球では全国屈指の激戦区だけに、甲子園には行けなかったが、その素質は一部には高い評価を得ていたようだ。

余談だが、この日生学園は全寮制で非常にユニークな教育をしている。全寮制のメリットは、時間を気にせずとことん打ち込めることだ。勉強の面でも大学なんて夢のまた夢みたいなレベルで入学した子どもが、有名大学へ行ったりする。

山林君も、そんな感じで伸びたのだろう。野球専用のグランドもあるし、トレーニングジムもあるし、理想的な環境だ。

ただ、彼がこれから挑むMLBの世界は、甘くはない。今年BOSにアマチュア野球から田澤純一が入団したが、田澤と山林は全く評価が違う。田澤はすでにAAクラスの実力があるとみなされ、順調にいけば来年にはMLBのマウンドを踏む。横浜を退団した大家がAA、AAAと駆け上がって1シーズンのうちにMLBにあがったことがあったが、田澤は、NPBのプロ投手だった大家と同じ評価をされているのだ。

それに対し、山林は6月のオーストラリアでのMLBアカデミーを経て、ショートシーズンのルーキーリーグからスタートするのだろうが、ここからAAクラスにまで這い上がるのは、至難の業だ。8月中にシーズンを終えるルーキーリーグの、GCL・ブレーブスまたはダンヴィル・ブレーブスに入り、そこから過酷な競争が始まるのだ。

マイナーリーグのロースターを見ていたら、2006年に私立おかやま山陽高中退でATLと契約した島袋涼平が、GCL・ブレーブスにいた。2008年は1塁手として.253、1HR、RBI19。16歳でプロ入りして3年、今年の夏には山林のチームメイトになるかもしれない。

このルートでMLBまで這い上がった日本人はマック鈴木くらいである。

「もちろん、MLBまで上がる選手はほんの一握りだということは、彼も承知です。その上でがんばる、といっていました」

日生学園本部の先生のお話である。

可能性はないわけではない。誰にも等しく与えられたチャンスを活かして、ぜひ活躍してほしいものだ。

■後日談:山林選手は2009年12月現在、マイナーリーグのロースターに名前がない。記録も残っていない。消息は不明。学校に聞いてみよう。