【2009年2月23日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

私は子供の頃から宇佐美さんの野球記録の本を買っていた。1978年にMLBの放送が始まったころには、マクミラン社の「ベースボールエンサイクロペディア」がほしくて、後楽園球場下の「野球博物館」まで行ったこともある。お姉さん(学芸員?)に「銀座のイェナ書房にありますよ!」と言われて、今はなき洋書屋さんに駆けつけた。分厚い本は感動的だった。アーロンからはじまって、ただの1試合でもMLBに出た選手はすべて網羅されている。当時は4年に1度発行され、本は年々巨大化していったが、買う人がいたのだ。

アメリカは野球の本場であると共に、STATSでも圧倒的な質・量・歴史を誇っている。その執念と熱意、さらにはそうしたSTATSを愛好する人々の層の厚さには驚嘆するしかない。そういえば、「ユニバーサル野球協会」という小説もあった。

STATSへのこだわりは、アメリカ独自のものだと思う。WBCの選手について調べようと思って、各国のプロ野球の記録を見ているが、他国は全く未整備だ。イタリアなどSTATSのページそのものが閉鎖されているし、台湾もいい加減だ。日本がかろうじて追随しているが、まだまだ及ばない。

アメリカ人は、野球だけでなく自国のスポーツを、STATSを通して評価し、尊重しているということなのだろう。

MLBのSTATSの本やサイトも凄まじい数が出ている。いろいろ面白いのがあるが、中で、ベースボールアナリストが予測した各選手の2009年のSTATSを並べているサイトがある。

http://www.fangraphs.com/

これでイチロー、松井秀の予測を見てみよう。yosokuiciromatsui

毎年の傾向だが、MLBの日本人に対する予測は辛い。

打者は4人のアナリストが予測しているが、イチローが今年も200本打つと予測したのは2人しかいない。WBCの影響や年齢もあるのだろう。メリーランド在住のショーン・スミスさんや、マルセルを主宰するトム・タンゴさんは実に辛い。

松井についての評価は更にきつくて、契約最終年でこの成績では、思いきり年俸を下げないと再契約も他チーム移籍も厳しいと思わせる。本塁打十数本で70打点では、SEAのベルトレくらいでしかない。

で、松坂はどうか、と見てみるとyosokumatsuzaka

これじゃ、サイヤング賞どころかエースとも言えない。並のピッチャーじゃないか。四球は少し改善されるが。

松坂の2008年の成績は、アメリカ人にはフロックだと思われているのだ。また、登板数が30前後というのは、2008年同様一時的にローテーションを外れる可能性を示唆している。(シーズン通してローテーションを守れば32~34登板)

このアナリストたちは、著書もあり、単なるアマチュアではない。その数字の根拠にはセーバーメトリクスがあるのだろう。

ただ、思うのは、このSTATS予測には、日本人のメンタリティの部分は入っていない。我々としては、そこのところを期待したいのだが。

シーズンが始まっても、深くて広いSTATSの海を泳ぎ続けたいと思う。

■後日談:松井、イチローはこの予測を上回ったが、松坂ははるかに下の成績に終わった。今年もこのサイトの予測を注目したいと思う。