【2009年6月17日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

松坂の今季、これまでの7回の登板を細かく見てみたい。

matsuzaka0616 

4/9TB戦 この日は球速が91マイルまでしか上がらない。速球が決まらないためにウィニングショットは80マイル前後のカッター、88マイル前後のスライダー。90マイル前後の4シームを打ち込まれる。

 4/14OAK戦 この日も最高速度が91マイル。変化球も全く通用せず、打ちこまれる。

 5/22NYM戦 第1球から93マイルの4S。球が走っている。最高速は94マイルの4S。しかしウィニングショットは、88マイル前後のカッター、4Sは見せ球になる。シェフィールドの本塁打は92マイル4S。5回頃から90マイル前後の2Sで2死を取る。

 5/27MIN戦 93マイルの4Sが最高。速球の切れ味が良いようで、92マイル前後の4Sと88マイル前後のカッターがウィニングショットとなる。しかし、同じ球を打ちこまれる。

 6/2DET戦 93マイルの4Sが最高。この日のアウトはほとんどが、92マイル前後の4S。変化球は少ない。ときにスライダーも効果的に使う。

 6/7TEX戦 今季最速の95マイルを記録。この日は速球ではなくスライダーでアウトを取る。しかし、4Sを打ち込まれる。

 6/13PHI戦 93マイルの4Sが最高。この日は4Sでアウトカウントを稼ぐ。しかし、80マイル前後のスライダーを連打される。

 こうして見てみると、試合のたびに松坂の投球が変化しているのが分かる。実は、松坂の持ち味はまさにそこにあったのだが、今は、速球がめったに150km/hを超えないために他のボールが生きてこない。WBCのときから松坂の速球は152km/hがせいぜいだったのだが、このときは同じくらいの速球をそろえることが出来た。今の松坂は、150km/hの球は1試合に10球前後しかない。そして今季はスライダーが全く駄目である。多くはボールになっているし、ストライクゾーンに入れば打ち込まれている。ウィニングショットが定まらないのは、このためだと思われる。まだ手探りなのである。

 

さらに、今季の松坂は2巡目で必ず捉えられている。巡目ごとの打率を見ると、

 

 1巡目 .344 2巡目 .449 3巡目 .290

1巡目でKOされた4/14の試合を除外すると、

 1巡目 .294 2巡目 .449 3巡目 .290

 

対戦する打者は、1巡目で松坂の球筋を見極め、狙い球を決めて、次の打席で打ちこんでいるのである。今年は荒れ球が少ない分、的が絞りやすくなっているのだ。

 

球速が上がらず、キレも悪く、使える変化球も減っている。しかも四球に対するプレッシャーが大きい。松坂は苦しいだろうなと思う。

ある意味で開き直らないと打破できないだろう。四球を恐れることなく打者と勝負する。ランナーが出ても平然と相手を打ち取る。そういう持ち味を取り戻さないと。幸い、少しずつ150km/h以上の速球の数は増えている。緩急をつけることができるようになってきた。それから、チーム首脳と話し合うことが必要ではないだろうか。今は本当に委縮している感じだ。

 

松坂と言う投手は、高校時代から並の投手ではなかった。「松坂世代」という言葉ができるような、群を抜いた存在だった。彼なら今の状況を打破できるはずだ、と信じるほかはない。

■後日談:球速とともに、球のキレの問題ではあったろうと思う。