【2009年6月24日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

シングルヒットの通算記録を並べてみると、ほぼ通算安打と同じ顔ぶれが続く。

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ピートローズ、タイ・カッブという安打、1、2位が単打でも同じ位置を占める。中で抜け落ちているのが長距離打者。バリー・ボンズ(2935安打)、ベーブ・ルース(2873安打)、ルー・ゲーリッグ(2721安打)らである。彼らの安打数に占める単打の割合は50%台なのだ。対象的に単打比率が高く、上位に来ているのがウィリー・キーラー、ロッド・カルー、サム・ライスなどの「安打製造機」である。中で単打比率が80%を超えているのは、ともに40年代~60年代にかけて活躍したネリー・フォックス、リッチー・アシュバーンの二人である。

イチローは今、1547単打の168位。しかし、フォックス、アシュバーンに近い比率で単打を量産している。その点では同系の選手に見える。しかし、イチローはフォックス(.288)、アシュバーン(.308)よりもはるかに打率が高い。スケールが違うというべきだろう。

実は単打率がイチローよりも高い選手は掃いて捨てるほどいる。多くは、長打が打てないだけでなく打率も低い、いわゆる「守備の人」である。イチローほど打率が高くて、しかも単打を打ちまくる選手は、1世紀前はともかく、今はほとんどいない。その点でも異能というべきだろう。

あと5年、40歳までほぼ同じペースで単打を打ち続ければ、歴代ベスト10に入る。わずか14年で、である。これを偉業と見る人は少ないかもしれないが、一つの金字塔なのは間違いがない。

■後日談:多彩な物差しで測れるところに、球技、とりわけ野球の面白さがある。単打に光を与える評価があっていいと思う。