松井秀喜は、今、FA状態にある。12/3ニューヨーク・ヤンキースは松井との年俸調停を申請しなかった。平たく言えば、NYYにとって、松井秀喜はどうしても戦力として確保したい選手ではないということだ。

この前3回で紹介したように、松井はトータルで見れば、A-RODとそん色のない実績を上げてきた。しかも、まだ年間100打点を挙げる実力がある。チャンスで後続につなぐ能力も高い。さらに、イチローに次ぐ人気選手として、日本からのマネーや視聴者を引っ張ってくる力もある。にもかかわらず、NYYでの松井の優先順位は低い。

何が問題なのか。一言でいえば、コストパフォーマンスが悪いのである。

以下は、MLB打者のRC1ポイント当たりのサラリーを比べたものである。打者を評価する数字には、本塁打、打点、打率、安打数、盗塁数など様々なものがあるが、それをすべて含んだ数値としては、セイバーメトリクスの1つ、RC(RunCreate)がある。複雑な数式だが、要するにすべての打者、走者が目指している「得点を生み出す」という能力を、積み上げ型の数字にしたものだ。

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RC1ポイントあたりのサラリーで見れば、A-RODはダントツの存在である。2009年は出場試合が少ないうえにかなり不調の年だったが、仮にA-RODのRCが、プホルズと同じくらいあったとしても、首位の座は変わらない。A-RODは、NYYという業界トップ企業の威信を象徴している。(もっとも、それは同時にボラスという敏腕=強欲代理人の凱旋記念碑でもあるかもしれないが。もう1、2年不振が続けば、A-RODはゲレーロやオルティーズのように、象徴的な存在ではなくなるのだが)

さて、松井はベスト10に入っている。イチローよりもコストパフォーマンスが悪い。ヤンキースには松井の上にA-RODを筆頭に、ジーター、タシェアラと単価の高い選手がいるが、その3人と比べても見劣りのするRCだ。

さらに言えば、守備面での貢献を考えるならコストパフォーマンスは大きく変わるはずだ。(ベスト10に入って、松井よりもRCの悪いトーリィ・ハンターは外野守備の名手だ。)

仮に守備での貢献ポイントを捕手50、内野手30、外野手20として、RCに加点すると以下のようになる。

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守備面での貢献度0の野手=DHが、さらに上位にくる。松井秀喜とデービッド・オルティーズである。この二人がおかれている境遇がくっきりと浮かび上がってくる。

このコストで、守れない松井は、非常に高い買い物なのだ。

言いかえれば、最も高給のDH。確かに成績の良いDHの一人でもあろうが、MLBでのDHは、守れる打者よりも評価が低いのだ。そもそもNYYのように、DHをベテラン打者の「半休」のために空けておくという発想もMLBでは、ありなのだ。RC上位80人の中に入っているDHは、わずか4人である。

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松井秀喜がMLBで生き残るためには、①サラリーを下げる とともに、②守備面で貢献できる ③打撃成績を向上させることができる ことを証明して、コストパフォーマンスを向上させなければならないのだ。