新聞社について、それほど知っているわけではないが、一般企業と比べても古い体質だと言う印象を持っている。
多くの新聞社には、「社主」「オーナー」というトップがいる。経営者と言うよりも、殿とか藩主とかいう感覚だ。この人の鶴の一声で会社が動いたりする。

普通の企業なら、方向性や考え方は大きく一本化されるが、新聞社には様々な意見、考え方を持つ人間が呉越同舟で同居している。だから矛盾した記事を掲載しても平気である。当然、深刻な派閥の対立も存在する。

言論機関として、他者に対する非難、追及は厳しいが、自分たちへの批判は許さない。そしてそれをおかしいとは感じていない。

新聞社は、メディア系や様々な事業展開をする企業グループの頂点にある。子会社に対しては絶対的な支配権を握っている。

総合的に見て、新聞社は、近代企業と言うより江戸時代の「藩」のようなものだと思う。

今回の中日ドラゴンズの“政変”を見て思い浮かぶのは、「お家騒動」と言う言葉だ。

2011年、落合監督が日本シリーズにまで進出しながら、契約を延長されなかったのは、表向きには「任期満了、殿堂入りもされたし、そろそろ」ということだったが、実際には「勝ち続けても観客動員が伸び悩んでいる」ことに対して「詰め腹を切らされた」のだと思う。

落合に責任があったわけではない。こういう組織では、「誰かが責任を取る」必要があるのだ。
問題の本質がどこにあったか、本当は誰、どの組織の責任が大きかったかは追及されない。誰かに責任を押し付けて事を収めるのだ。
ましてやそれが、親会社からのお達しであれば、絶対服従だ。

前回のお家騒動はこちらを参照

この2年前の“政変”の指揮を執ったのが、中日本社常務でもあった坂井克彦球団社長だ。

坂井社長は、落合監督の後任に高木守道を連れてきた。就任時で69歳だった高木を起用することに異論が続出したが、「若い監督までのつなぎ」という説明で世間を収めた。

しかし2年経って高木監督が成果を上げないまま退陣すると、今度は坂井社長が「詰め腹を切る」羽目になった。落合前監督がその後任に居直り、谷繁元信が兼任監督に就任した。
「つなぎ」という説明は、世間を納得させるためのかりそめであり、実態は内部抗争だったのだ。

まるで藤沢周平描く「海坂藩」の攻防を見ているようである。国家老と江戸詰家老の暗闘と言うか、本家と分家の争いと言うか。

この間の観客動員数は“順調に”減っている。2011年214万人、2012年208万人、そして今季はついに200万を割って199万人に。
落合采配の不人気が、観客動員の原因ではなかったことが端無くも証明された形だ。

本来であれば、球団の営業、経営体質にメスが入れられるべきところだが、中日はまた「責任者を引きずり出して首を切る」ことで納めてしまった。
“中日藩”だから仕方がないと言ってしまえばそれまでだが。

聞くところによれば、創業家出身の白井文吾会長(球団オーナー)は、落合監督の解任に反対だったと言う。しかし、他の経営陣に押し切られて解任させられたという。
創業家と経営陣、あるいは創業家同志の対立があったわけだ。

中日ドラゴンズは親会社の「代理戦争」の場となったに過ぎない。一個の企業としての経営改革や、営業革新などは二の次になったのだ。

これが楽天やソフトバンク、日本ハムなどパリーグの球団ならばこうはならない。
観客動員や売上と、チーム成績を両面から考え、組織や営業戦略などを見直すことになるはずだ。企業として、商品、マーケティング、さらには財務体質なども含めた総合的な改革をするはずだ。



落合GMと谷繁監督が、今後どんな野球を展開するかはわからない。森繁和ヘッドコーチも含めてうまくトロイカ体勢が廻るかもしれないし、プーチンとメドベージェフのようにヘッド同士が反目しあうかも知れない。

しかし、どうなろうと、中日ドラゴンズの体質はおそらく変わらない。
親会社に依存し、今まで同様の営業を行うのだろう。フランチャイズビジネスも変わらないのではないか。谷繁ドラゴンズの勝敗如何で多少の観客増もあろうが、旧態依然とした球団運営は存続するのではないか。

最大のネックは、85歳の白井文吾オーナーだろう。

この人は昨日、谷繁について「考える力を持っている。非常に前向きな男」、落合についても「戦術面で第一に力を発揮してくれるんじゃないか。それとかチームの編成とか」と自らのプランを得々として語ったが、日本人男性の平均寿命をはるかに超えた人物が、いまだに実権を握っていることこそ最大の問題のはずだ。



もう一つの新聞社系球団とともに老人たちがプロ野球を牛耳っていることこそが、NPBの発展の妨げになっている。

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