25日、NPBの「統一球問題における有識者による第三者調査・検証委員会」の調査報告書が公表された。衝撃的な内容だった。今日は、1日かけてこの報告書の内容を検証したい。
当サイトでは「統一球問題」について「何が問題か」を度々指摘してきたが、的外れではなかったことがこの報告書から見て取れた。しかし、それをはるかに上回る深刻な事態が進行したことも明るみに出た。

以下、過去ブログへのリンク

 統一球問題の本質 
 再録 NHK「隠された“飛ぶボール”」|野球史
 「統一球」導入を改めて見ていく   |野球史
 「統一球」メディアの反応|野球史
 第三者委員会に期待する|野球史

そもそも「第三者委員会」とは、企業などの法人組織で、犯罪行為、法令違反、社会的非難を招くような不正・不適切な行為が発生した際に、外部者を交えて調査を行うために期間限定で設けられる機関の一つだ。
その中でも、お手盛り、形式的なものではなく、企業等から独立した委員のみをもって構成され、徹底した調査を実施した上で、専門家としての知見と経験に基づいて原因を分析し、必要に応じて具体的な再発防止策等を提言するタイプを「第三者委員会」と呼ぶ。

統一球問題の「第三者委員会」も、まさにこのようなものであって、その調査は徹底的だった。

報告者には関係者の息遣いが聞こえてくるような生々しい内容も含まれていた。
第三者委員会のメンバーは以下の通り。

 那須弘平(71歳) 弁護士 元最高裁判事 委員長
 佐々木善三氏(60歳)弁護士 元京都地検検事正
 米正剛(58歳)弁護士 企業問題専門 
 特別アドバイザー 桑田真澄(45歳)

さらに3人の委員が所属する弁護士事務所の弁護士が調査、ヒヤリングを担当した。

調査方法は、日本弁護士連合会が定めた「企業不祥事における第三者委員会ガイドライン」に沿っていた。このガイドラインも読んだが、弁護士ならではの厳密で徹底的な調査を求める内容だった。

特別アドバイザーの桑田は、「誰に話を聞くべきか」を示唆した。また、報告書をまとめる上でのサゼッションも行った。彼も十分に機能したと言えるだろう。



最初に、報告書のポイントを押さえておこう。

なお、報告書には匿名の人物や伏字の部分が数多く出てくる。これは公表に当たってNPB側が行った。

1)統一球は「不正球」だったこと
ボールの反発係数は下田武三コミッショナー治下の1981年に0.4134が下限と定められた。これは「プロ野球試合使用球に関する規則」に明記されている。
今回の統一球は「下限値」に近づけることをメーカーに要求したため、結果的に下限値を下回るボールが大量に生産され、試合で使用された。

2)セパは違う認識を持っていたこと
事務局は、「不正球」が使用されていることに危機感を持っていたが、主としてセリーグの球団から、「飛ぶボールにせよ」との圧力があり、これに従って「微調整」が行われた。
また、セリーグの特定球団から「公表せずに変えろ」という声があった。
さらに、一部球団は、統一球の「微調整」を開幕前に知っていた。
この部分、伏字が最も多い。

3)今回の事件は下田事務局長が主導したこと
主に加藤コミッショナーの無能、無関心によって、事態が深刻化することを憂慮した下田事務局長が、「微調整」を主導した。下田氏は主に球団側の意向に沿って動いた。

4)NPBは機構改革が必要なこと
一般社団法人日本野球機構と、野球組織と言う2つの組織体が複雑に絡み合うNPBでは、業務の指示系統やレポートラインが不明確で、責任の所在があいまいな「二重構造」状態にある。
組織の改革、オーナー会議の位置づけの見直し、コミッショナー、コミッショナー事務局の見直しが急務である。

特に2)が耳新しく、そして深刻な内容だった。

加藤氏は25日のドラフト会議の後にコミッショナーを退任したが、この報告書について「結論ありきの報告書で、私としては受け入れがたいものと言わざるを得ない」と反論した。
見苦しさもここに極まれりだが、今となっては加藤氏が何をしたか、何をしなかったかはどうでもよくなっている。
ただ、プロ野球の最高権力者であるコミッショナーがこのような人物でも務まっていたということが問題なのだと思う。

以下、1)から4)の各項目について触れていくことにする。


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