先週の『読む野球VOL.2 ホームランを読む』に続き広尾晃が書いております。読み応え、見ごたえのあるMOOKです。お財布をダイエットさせるのは恐縮ですが、ぜひお求めください。アマゾンでは発売していますが、書店では明日発売。

「長嶋と言えば『記憶に残る男』といわれるけど、記録もすごいんですよ」
お馴染みの『野球雲』武田さんとの会話から、この本の企画が始まりました。編集者の漆原さんが出版社に持ち込み、出版が決定。
編集は漆原さん、武田さん、相棒の村井さんが担当。デザインは田畑徹さん、カメラは志子田薫さん。私はもっぱら執筆、記録を担当しました。
また報知新聞蛭間豊章記者、野球古書ビブリオの小野祥之店主にも寄稿いただきました。
なかでも、武田、村井のお二人は、千葉県と言う地の利を生かし、長嶋の母校佐倉一高(現佐倉高校)の取材を敢行。
なんと、長嶋茂雄在籍時のスコアブックを見せていただき、全ページを写真に納めました。
それを基にしたスコアもしっかり掲載しています。武田さん、村井さんの手腕恐るべし。
データ化は私が担当しましたが、第一印象は「とにかく足が速い」こと。毎試合二塁打、三塁打を打っていた感があります。
高校、大学、そしてプロの記録をいろいろな観点から紹介しています。
走攻守、ライバル、先輩、後輩。
さらには、長嶋茂雄がもたらした「経済効果」も紹介。これは他誌にはないのではないでしょうか。
さらにさらに、長嶋語、長嶋解説、長嶋本の紹介も。
まさに「長嶋茂雄」をギュッと凝縮しております。
私の一押しは、最終5章の「もしも」。
もしも長嶋がメジャーに行ったら?
もしも長嶋が高卒でプロ入りしていたら?
もしも長嶋が南海ホークスに入団していたら?
もしも長嶋が松井秀喜と同期入団だったら?
この4つの「IF」に基づいて記録を作り、長嶋茂雄、そして野球界がどうなっていたかをシミュレーションしました。
自分でいうのもなんですが「胸が躍る」内容になっています。
この本を書いていたのは夏。
J-SPORTS出演のために毎週東京に行き、ブログも書き、コピーの仕事もし、他の本(ただ今制作中)の原稿も書き、と目が三角になるような状況でした。
新幹線車中、ホテル、図書館、スーパーのフードコート、いろいろな場所で書きましたが、この本では思い切り遊ばせていただきました。
「野球雲」の仲間としっかり連携できたのが何よりうれしいことでした。
編集には紅一点、千葉大の野村沙弥子さんも参加。老眼をしょぼつかせ、すぐに眠たくなる中高年スタッフの介護はさぞや大変だったと思いますが、この経験はきっと将来に生きることでしょう。
野球好き、記録好き、長嶋好きならお勧めの一冊です。明日発売。是非お求めください。
「読む野球-9回勝負- NO.2」私も書いております。
広尾晃 野球記録の本、アマゾンでも販売しています。
コメント
コメント一覧
以前から思ってましたが、長嶋茂雄は我々若い世代からかなり過小評価されていると思います。多くの人が通算成績だけ見て、「王の半分しかホームラン打っていないのに、人気ばかり先行した選手」というイメージを持っていると思います。長嶋が国民栄誉賞を受けた時に、長嶋よりも野村張本が先、という意見が出たのも、そういう考えの一つの表れでしょう。
御存知だと思いますが、主要三大タイトル獲得数は歴代4位ですし、安打数や出塁率もタイトルに含めると王に次ぐ歴代2位です。大卒であるため通算成績こそ野村や張本に見劣りしますが、記録自体は決して劣る選手ではないと私は考えています。記憶としての凄さ、野球史への貢献という視点からばかり捉えられがちな人ですが、これを機に長嶋の記録としての偉大さを知る人が増えたらなと思います。
余談ですが、これ程までの成績を残しながら王がいたために記憶と言われる長嶋、また圧倒的な成績を残しながら長嶋がいたために人気ではいつも2番で記録と言われる王、まさしくレジェンドにふさわしいですね。
Wikiなどで確認できる成績を見ては
「これは記憶だけの男ではない・・・!」とは常々感じていました。
そのように、人格面よりも数字に惹かれるところがありましたので
「もしも」の記録は面白そうですね。
『読む野球』に続き、こちらも見つけ次第買おうと思います。
メジャーに行ったら。高卒入団していたら。は
以前広尾さんが書かれていた
「もしイチローがMLBに行かなかったら」と似た面白さを感じます。
0.8かけの成績になっていたら悲しいですね・・・。
南海入団だと野村克也氏と重なり、
松井と同期入団なら、高橋由伸や清原、落合、
二岡、阿部、清水らとも重なるわけですね。
ヤクルト古田との勝負など興味深いところです。
「限定したシチュエーション」での
記録を集めたものがあったのですが・・・
例えば開幕戦だったり、シリーズの第1戦だったり。
これが何れも度肝を抜かれるようなハイアベレージでした。
記録というのは1年間合計しただけだと、
帳尻合わせの打者でも表面上はいい選手になってしまいがちです。
やはりある程度、限定した場面で見てみないと記録は価値が出ません。
楽しみにしてます。
シリーズMVPは長嶋4回に対し、王0回。
大舞台での勝負強さを記録として示していただければありがたい
のですが。
楽しみな本を与えてくださってありがとうございます。早速購入します。
早速、購入し拝読しました。
力作ですね!
ただ、残念なことにミスがチラホラ。
長嶋の生年月日が2月20日と2月26日(2.26事件の当日!)
の2種類あったり、かなりの西暦年と元号の不一致や、選手の生年の間違いなどがかなり散見されました。
こうしたケアレスミスはまだしも41ページの表2の展覧試合のスコアが、43ページの表4と同じ!
天覧試合のスコアが知りたかったのでとても残念です。
細かいことで恐縮ですが、気になってしまったので...
既に把握しております。努力していますがこういうミスは根治できません。
ミスは申し訳なく思います。2冊続けてそれだけをわざわざ、公開のコメントでご連絡いただくのもご苦労なことです。結構なご趣味で。
2冊分、代金お返しいたしたく存じます。メールにて住所等ご連絡ください。
『読む野球』のように1つの項目の担当かと思っていたのですが、
かなりの割合を広尾さんが書かれていたのですね。
「はじめに」でいきなり広尾さんの名前が出てきて、おおっ!と唸りました。
内容も楽しく読ませてもらっています。
「長嶋茂雄のスタッツが最も美しいと思う」と書かれていましたが、
なるほど、とうなづかされました。
そういった視点でスタッツを見た事はなかったですが、
確かに出場試合数や安打数、本塁打数の「桁」が
ルーキーイヤーから引退まで揃ったままというのは美しいですね。
立浪などはどうだろう…?と思って確認してみましたが、
桁がたまに変化しており、長嶋に比べると美しくはありませんでした。
ただ、立浪は長嶋よりも実働年数が長いことで
「縦の長さ」を生んでおり、これはこれで良いですね。
本の値段ですが、1200円はやや強気かな・・・と感じます。
文章が乗るページがスッキリと白い事が多く、
デザイン的な面白み・遊び心に欠くような気がしたからです。
ただ、これは個人的な好みの問題かもしれません。
ファンブックと考えれば多少割高なのはですかね。
まだ全ページ読んだわけではないので、
じっくり楽しませて頂きます。
ありがとうございます。記録と記事は80%くらい担当しました。「野球雲」の仲間は貴重な取材をしてくれました。こっちも値打ちが高いです。
じっくり読ませていただきます。
しまこさん同様びっくりしたのは、大部分を広尾さんが任されているのですね。しらふで読むか、ビールを飲みながら読むか、只今思案中です。