芦屋大学は関西では「ぼんぼん大学」として知られている。六麓荘と言う関西有数の高級住宅地にあり、「勉強ができても金がなかったら入れない」などと言われる。この学校が、日本の野球教育に挑戦状をたたきつけている。
芦屋大学の付属校である芦屋学園高校の野球部を高野連に加盟させず、関西独立リーグの兵庫ブルーサンダーズの3軍と言う位置づけで練習をし、NPBやMLBを目指すと言う。
芦屋大学野球部はすでに2011年、兵庫ブルーサンダーズの2軍になっている。
芦谷学園中学、高校の校長には今春、ラグビー日本代表の大八木淳史が就任した。
日本の学校スポーツの在り方に疑問を感じていた大八木校長の意向もあって、今までにない野球部が誕生したのだ。



もともとは兵庫ブルーサンダーズ側の提案だったと言う。代表の高下沢は、もと四国アイランドリーグの出身、解散が決まっていた神戸9クルーズを引き受けて、代表に就任。そして地元の芦屋学園に提携を持ちかけたと言う。

高野連に所属していないから、他の高校との試合はできないし、甲子園の予選にも出られない。
しかしプロアマ規定に縛られないから、プロ選手の指導を受けることもできる。関西独立リーグの選手に交じって練習することもできる。またNPBやMLBに直接挑戦することもできる。
芦屋学園では社会人野球との試合や、米国遠征なども予定していると言う。

言ってみればJリーグのユースのような位置づけを狙っているのだろう。高野連の教条主義に縛られず、自由に野球をすることができると言う点は魅力的にも思える。

大八木校長はスポーツ枠で入学した生徒が、怪我や成績不振などでスポーツをあきらめざるを得なくなったときに、転校を余儀なくされたり、ドロップアウトしている現実を指摘。「芦屋学園は、スポーツができなくなってもやり直しがきく」と強調していた。
古い因習を破ると言う点では画期的ではある。

しかし、問題が多すぎる。まず「甲子園に行けない」と分かっていて芦屋学園を受ける有望選手は皆無だろうと言うこと。落合博満のように、上下関係の厳しい学校の野球についていけず有名高校を忌避するような選手は何人か入るだろうが、そうしたドロップアウト組で素質のある選手は滅多にいないだろう。
また提携先の関西独立リーグは「プロ集団」とは言えないこと。選手は無給だし、2010年に深江真澄(オリックス)、福泉敬大(巨人育成)がドラフト指名された以外にNPB入りした選手はいない。
NPBは四国アイランドリーグ+やBCリーグとは交流を続けているが、関西独立リーグは相手にされていない。経営的にも不安定で毎年のように存続が危ぶまれているのだ。

高野連とNPBは対立しつつも太いパイプがある。
高野連に属していない芦屋学園高校の卒業生が、ドラフトにかかる可能性は少ないのではないかと思われる。
MLBにドラフト指名される可能性は残っているが、厳しいのは間違いない。

芦屋学園の生徒が実力を発揮してNPBやMLBに入団しない限り、有望な素材が芦屋学園に入学することはまずないのではないか。

数年前、高野連が特待生の規定を厳格化した時に、私立高校側が反発したことがあった。当時、ある高校の幹部の先生にお会いしたら「私学だけで新しい高野連を作る話も出ています」と言っておられたが、そういう形で複数の有力校が結束して、こういう動きをしていればもっと可能性は開けたと思うが。

芦屋大学はこのところ定員割れに苦しんでいる。少子化が進み、大学の「全入時代」に入るとともに経営的に厳しくなっている大学の一つだ。付属高校、中学、小学校、幼稚園なども生徒募集に苦しんでいる。
大八木校長の就任も、知名度、イメージアップの意味合いが大きいと思う。野球部の改革も話題性のある話で注目度を上げようとしたのかもしれない。

高校野球の改革のプランとしては魅力的だが、今のところ空論に近い。本気でそのプランをやる気があるのなら、アメリカとの提携を考えるべきだろう。
芦屋大学の卒業生にはワコールの塚本能交社長や、ソニー創業家の盛田英夫当主など、財界のお歴々がいる。そうした人たちの力も借りて、ぜひMLBと業務提携してほしい。


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