第一試合、三塁側がびっしりと埋まっていた。はて、楽天のファンが大挙して押し寄せたのかと思ったが、さにあらず。2試合目の統一対三星戦を見たい台湾のファンが、1デイパスを買って、席を先取りしていたのだ。
今日は台中コンチネンタル球場ではなく、桃園国際球場。大都市台北からは新幹線で20分足らず。東京から横浜へ行く感覚で移動できる。
内野席は二階まで満員。外野も6割がた埋まった。
楽天戦でもここまで埋まらなかった。台湾の人々の韓国に対する対抗心は相当なものがあるのだろう。

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私は台中に宿をとっている。桃園と台中は新幹線で40分ほど。東京と静岡くらいの距離感だ。新幹線の終電は11時22分。球場から新幹線の駅までは大した距離ではないが、タクシーは滅多に捉まらない。
いつも台湾、韓国戦はすさまじい試合になるから、下手をすると最後まで見られないな、と思ってはいたのだが。

三塁側に巨大な垂れ幕が試合開始前に滝のように降りてきた。

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統一の先発は、羅錦龍。エース格だが制球が悪く、しかもマウンドさばきがのろのろして、いつまでも投げない。

羅錦龍は、初回は2四球1死球で満塁にするも無失点。2回もひとり歩かせた。そして3回には2死から安打を打たれ、御存じ李承燁にセンターオーバーの三塁打を打たれて先制を許した。スンヨプやはりすごい。

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三星の先発金熙杰は、制球が良く、小気味よい投球だったが、3回、統一打線につかまって2失点。

4回、羅錦龍は3安打を集中されて2失点、さらに5回にも失点して、この回で降板。以下継投策に入る。

三星も4回2死で金熙杰をあきらめる。

ここからが長かった。どちらも「死んでも負けられない」と異常な闘志で戦っている。
統一は、林岳平、邱子豈、傅于剛とつないで無失点。
三星は、7回2番手朴根弘が打ちこまれると、ここから1人の打者ごとに投手を3人交代させた。それでも失点した。

試合は面白かったが、電車の時間が迫ってくるし、気が気ではなかった。
時間がどんどん伸びるのに、回の合間にはお姉ちゃんがダイヤモンドに出てゴロゴロのついた旅行鞄を振り回して踊るやら、ベンチの前で椅子を持ち出して踊るやら、そんなもんどうでもええっちゅーに!と叫びそうになったが、こういうこってりした演出も台湾風なのだ。

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ファンは試合を楽しんでいるようで、ウェーブが何度も球場を回った。安打で出た走者をバントで送る、というような緊張感あふれるシーンも、観客は踊りながら見ているのだ。
好きにしてくれ、という気になった。

試合が長いのは、両チームともに日本スタイルのサインの交換や、間合いの取り方を習ったからだ。
もとはと言えば、日本のだらだらが伝わったのだから文句は言えないが。

8回、統一が二塁打で出た陳鏞基を必死の思いで三塁に進ませて、代打鄧志偉の犠牲フライで同点にしたところで、球場を後にした。

案の定、タクシーは捉まらず、新幹線の駅まで歩いてそこから終電1本前の列車で帰ってきた。


試合は、10回、統一ブーフ・ボンサーが三星代打禹東均に決勝タイムリーを打たれて決着がついた。

トータルで見て、台湾は攻守で韓国に少しずつ劣っている。特に、ここぞというときに出てくる投手が見劣りする。
三星は、後になるほど良い投手が出てきたが、統一は、最後は「昔の名前で出ている」MLB崩れのボンサーとビスカイーノ。どちらもMLBファンにはおなじみの名前だが、明らかに盛りは過ぎている。

人材流出が激しい台湾野球だが、良い投手を育てなければ良い打者も出てこないだろう。自前の投手陣の育成がカギだと思った。

途中で出てきたのは返す返すも残念だが、両チームの死闘に深い感銘を受けた。

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明後日は、楽天と統一のセミファイナルゲームがある。楽天は、今日までのような「一軍半」のメンバーで試合をするのは、さすがに失礼だと思う。
現有のフルメンバーで戦ってほしい(田中将大は出してほしくないけど)。


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