今年の巨人、澤村拓一の投球は実に興味深かった。投げても投げても勝てないが、ちゃんと試合は作っていたのである。年俸査定に注目していたのだが。
今季の戦績。

沢村は昨年、日本シリーズ、アジアシリーズまで投げている。さらにWBC代表にも選出され4試合に投げている。
こうしたポストシーズンでの酷使を考慮して今季は5番目の先発として起用されたが、初戦は白星がついたものの6回4失点。以後もぱっとしない登板が続いた。
6月29日からは先発で10試合連続勝ち星がつかず。5連敗、9月12日に救援投手に転向させられた。
こう書くと、ゴールデンルーキー澤村は3年で色褪せたという感じだが、投球成績を子細に見て行くと、悪くはないのだ。
QS(先発で6回以上投げて3自責点以下)は13。6月5日から6試合連続QS。しかし2勝2敗。この間5失点だったが味方の援護も9点に過ぎなかった。
確かに抜群とは言えなかったが、そんなに非難されるような投球でもない。5月22日、29日は6回を投げ切ることなく降板させられ、黒星がついているが、スコアは1-2、2-3だった。
今季は統一球の微調整によって、投手がやや不利になっている。また3年目ともなれば沢村の投球は相手打者に研究し尽くされている。
澤村は肝心なところで歩かせるなど、欠点のある投手ではある。それを克服できていないと言うこともできようが、スターターとしては十分な成績だったと思う。

新聞では原監督は怒り心頭に発し、澤村は申し訳ないと言っていたが、9月に入って、ついにローテから外された。巨人がよくやる「懲罰的配置転換」だ。
以後、澤村はセットアッパーとして投げた。成績は素晴らしく、実力の片りんを見せた。
沢村の先発の年度成績。



勝ち星こそ上がっていないものの、今季は被打率が下がり、WHIPも向上している。DIPSはやや下落している。本塁打の比率が増えたからだが内容的には悪くない。
しかし援護点は2.78と最低。これではいくら頑張っても勝てない。
澤村は今季の契約更改で6500万円から500万円減の6000万円でサインした。
この3年間で500回以上投げた投手と年俸。えんじ色は2013年。回数順。

澤村は1年目から段々成績が下がったために上昇気流に乗ることができなかった。まだ3年目だから、年俸が最下位なのは仕方ないが、この数字を見れば、上げてやるべきだと思うのだが。
投手の勝ち星は「運」に左右される部分が非常に多いのだ。澤村は間違いなくリーグ屈指の投手だ。もう少ししっかり査定をしてほしいと思う。
私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひ、コメントもお寄せください!
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沢村は昨年、日本シリーズ、アジアシリーズまで投げている。さらにWBC代表にも選出され4試合に投げている。
こうしたポストシーズンでの酷使を考慮して今季は5番目の先発として起用されたが、初戦は白星がついたものの6回4失点。以後もぱっとしない登板が続いた。
6月29日からは先発で10試合連続勝ち星がつかず。5連敗、9月12日に救援投手に転向させられた。
こう書くと、ゴールデンルーキー澤村は3年で色褪せたという感じだが、投球成績を子細に見て行くと、悪くはないのだ。
QS(先発で6回以上投げて3自責点以下)は13。6月5日から6試合連続QS。しかし2勝2敗。この間5失点だったが味方の援護も9点に過ぎなかった。
確かに抜群とは言えなかったが、そんなに非難されるような投球でもない。5月22日、29日は6回を投げ切ることなく降板させられ、黒星がついているが、スコアは1-2、2-3だった。
今季は統一球の微調整によって、投手がやや不利になっている。また3年目ともなれば沢村の投球は相手打者に研究し尽くされている。
澤村は肝心なところで歩かせるなど、欠点のある投手ではある。それを克服できていないと言うこともできようが、スターターとしては十分な成績だったと思う。

新聞では原監督は怒り心頭に発し、澤村は申し訳ないと言っていたが、9月に入って、ついにローテから外された。巨人がよくやる「懲罰的配置転換」だ。
以後、澤村はセットアッパーとして投げた。成績は素晴らしく、実力の片りんを見せた。
沢村の先発の年度成績。

勝ち星こそ上がっていないものの、今季は被打率が下がり、WHIPも向上している。DIPSはやや下落している。本塁打の比率が増えたからだが内容的には悪くない。
しかし援護点は2.78と最低。これではいくら頑張っても勝てない。
澤村は今季の契約更改で6500万円から500万円減の6000万円でサインした。
この3年間で500回以上投げた投手と年俸。えんじ色は2013年。回数順。

澤村は1年目から段々成績が下がったために上昇気流に乗ることができなかった。まだ3年目だから、年俸が最下位なのは仕方ないが、この数字を見れば、上げてやるべきだと思うのだが。
投手の勝ち星は「運」に左右される部分が非常に多いのだ。澤村は間違いなくリーグ屈指の投手だ。もう少ししっかり査定をしてほしいと思う。
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コメント
コメント一覧
澤村がこのサイトを見ていたらまた違った結果になったかもですが^^;
それにしても巨人の戦力、うらやましいなあ
結局のところ、勝ち星が査定の中心となっているのでしょう。
ただ澤村にも問題があって、何故か援護がある時に限ってスポーンと打たれてひっくり返されるんですよね。数字には出てきませんが、これがあまりにも多い。三年間、優秀な成績なのに勝ち星がイマイチ伸びないのは、そういう所も原因でしょう。
しかしまあほんと、評価が難しい選手ではあります。
筋トレのしすぎで脳まで筋肉になってるような。
ただ速い球さえ投げてればいいと勘違いしている「パワーピッチャー
もどき」というのが私の評価です。
イニングイーターであることは認めます。彼の代わりを誰が務めるかと言われれば代役は見当たりません。
しかしこのまま状態で宮國らが伸びてくれば東野のようにトレードもあるかもしれません。
>4 Gファンですがさん
いや、シーズン終盤でセットアッパーもできることが分かったので、こんな使い勝手の良い投手のトレードはないでしょう。故障も少ないピッチャーですし。
勝負弱さが無ければ、ストッパーでもいけると思うんですけどね……
トレードというより、むしろ(海外)FA権を手に入れたら、あっさりジャイアンツから出ていきそうな気がしています。
>トレードというより、むしろ(海外)FA権を手に入れたら、あっさりジャイアンツから出ていきそうな気がしています。
そのくらいの気概がある選手であることを願っています。巨人はあがりのポジションでなく、踏み台にするくらいのレベルであること(上原や高橋尚のように)を。
甥っ子の特別扱いは当然としても、沢村嫌われすぎw
結局のところ契約更改で重要なのは、来季へ向けて如何にモチベーションを高められるかです。
あの表情は無理をした作り笑いとは到底思えず、
言い換えるとkogee様がコメント3で指摘された問題点を誰よりも澤村自身がよく理解しており、
その改善に向けて気持ちを切り替えられている証だと思います。
であれば周囲がこれ以上あれこれ言うのは野暮という物であり、
記者会見で口にした「倍返し」の成就を願う方が前向きという物ではないでしょうか。
>3. kogee 様
仰る通り、トータルで均してしまうと判り難いですが、
序盤の先制点だとか味方が得点を挙げた直後だとか、悉く間の悪い場面で失点してるんですよね。
同じ3失点でも、セーフティリードを奪った後なら大過はありませんが、
いきなり追い掛ける状況にしてしまえば打線の攻め手も限られてしまい
巡り巡って援護率にも響いて来るでしょう。
その辺をきっちり出来たのが菅野、出来なかったのが澤村という事だと思います。
残念ながら澤村は摂津のようにはなれませんでしたね。
6500万円は日本では安くない年俸ですし、FA直前でない限り、減額は成績と来年への期待に見合っている思います。
来年の活躍しだいで取り返せる球団にいるとの安心感もあるのでしょうが、、勝てなかったことを自分の責任と受け止め来年のレベルアップを誓っているように思え、ファンとして大変応援したくなる契約更改でした。
よく「成績よりも内容がいい/悪い」という言い方をしますが、そういう意味で澤村は「内容が悪い」とされがちな投手ではあります。
だがその「内容」とは何なのか。各種スタッツを見るにつけ、澤村はリーグ有数の先発投手であることが分かる。特に、先発投手にとって最も重要である、イニングを稼ぐ能力に秀でている。しかも、あの球速で投げまくっても戦線離脱しない頑丈さ、タフさは日本人投手でもトップクラスです。
それこそまさに、よく揶揄される筋力トレーニングの賜物でしょう。
ダルビッシュが言っていたとおり、筋力があれば7割の力で投げても速い球が行くので、常に全力投球をする必要がない。怪我のリスクを下げられるわけです。
また、しばしば「僅差で勝っている場面、同点の場面ほど失点し、負けている場面ではいい投球をする」とも揶揄されますが、そんなことは澤村本人にはどうしようもないことです。いつ援護点が入るかなんて、投手はコントロールできないんですから。
要するに、よく言われる「内容」とは「印象」のことなのです。
巨人軍のフロントの中にすら、まだまだ「印象」に囚われている旧時代の遺物のような方々が大勢いるという事でしょう。
そういう印象重視による、実際の貢献度とは違った評価・査定を改めるために、このサイトのようにデータを重視する人々の目が必要になります。
今後も、そういった過小評価・過大評価に対して鋭く指摘していく事が大切だと考えます。
今季はとにかく援護がなかった。HQSを11回も達成しても勝たせてもらえない試合が9試合もあります。それどころか、HQSで負けたのが4試合。
援護があった後に失点するふがいないピッチングをしたのではなく、ごくまれな援護があった後に失点しただけのことです。序盤に失点して味方が大量援護で勝ちというパターンのホールトンとは対照的でした。
結局、印象派は勝ち星しか見てないんですかね。打線が沈黙して負けた責任を澤村に転嫁しているだけです。
どこかのサイトで澤村と摂津の通算成績を比較をしてましたが、勝ち星以外はよく似ていましたね。
ふと、思ったのですが、巨人は「清武の乱」によってフロントが一掃されたはずですが、「清武以前」と「以後」で査定方法などに変化があったりしないもんでしょうか。
清武氏はセイバー等にも一定の理解を示した印象がありましたが、今のフロントはどうなんでしょうか。良し悪しはひとまず別にして、旧来の価値観が強く反映されているという可能性はないもんでしょうか?
その可能性はありますね。原監督は、「人情噺」は好きそうですが、数字はきらいじゃないでしょうか。データの話はほとんどしないようですし。
自分も澤村の減俸はおかしいと思います。勝ち星主義の日本球界とは言え、現状維持以上の評価がされるべきだと思います。
原監督は澤村について、「勝ち星が伸びないならリリーフに回す」という発言をしてきましたが、そんなのもっての他です。
澤村は欠点はありますが、優秀な先発です。
また、先発の重要性は日本シリーズでもよく分かったはずでしょう。
あと、原監督がデータが嫌いな人ではないかというのは、常々感じていました。
監督がよく使う言い回しに「胸と胸を突き合わせて戦う」というのがありますが、この言葉の裏には、データよりも力と技の勝負を好む性格が見えるように思います。
また、監督の著書に「プロ野球選手は心技体ではなく、体技心だ」という言葉が出てくるのですが、これも同じ意味ですね。
さらに、清武元代表に押し付けられた橋上コーチについては、コーチが当初考えていた、監督が同席しての全体の攻撃ミーティングをやめさせ、打者個人の個別ミーティングにさせたというエピソードもあります。
これもチームとしての作戦で戦うよりも、打者個人の能力で戦いたいという意識の現れでしょう。
橋上コーチのことは本当は切りたいと思っているんじゃないでしょうか。
印象派とデータ派の間を埋めるにはWPA辺りがいい指標だと思うんですが澤村はいくらくらいなんでしょうか
>監督の著書に「プロ野球選手は心技体ではなく、体技心だ」という言葉が出てくるのですが、
これは怪我人が続出して、満足に先発オーダーを組めなかった時期の実体験による物でしょう。
最初の監督就任時には「ジャイアンツ愛」を標榜していたのが、
2度目の就任時に「上手い選手は要らない、強い選手が欲しい」と心境の変化を明言し、
故障欠場が少なかった小笠原やラミレスへの評価が高かったのも、その顕れです。
今年も、中井が二塁レギュラーを掴みかけていた8月上旬に左膝靱帯損傷で残りシーズンを棒に振り、
オフには片岡という強力なライバルが入団したり、
ボウカーが開幕から打ちまくりながら4月下旬に右手小指骨折で1ヶ月以上戦列を離れ
復帰後は離脱前ほどの調子は戻らず、オフには自由契約になったりしています。
怪我と故障の違いはあれど、これらの怪我が無ければ
片岡の獲得見送りやボウカー残留となった可能性は高いでしょうが、今となっては後の祭りです。
先発オーダーを組む立場とすれば、『当日まで出場可否が判らない“技術は”超一流の選手』より
『巧拙や好不調はあれど滅多に休まない一流の選手』の方が有り難いのは確かでしょう。
それ故の「心技体ではなく体技心」であり、
そこから「原監督はデータを重視しない」と評すのは論理の飛躍だと思います。