当サイトも5回目の「年の瀬」を迎えている。新企画として「数字で見る十大ニュース」をやってみたい。読者諸氏のご意見も頂きたい。
1.24勝0敗



言わずと知れた、である。投球数212回、183三振、防御率1.27、という数字には心は動かないが、24勝0敗という数字には運命的なものさえ感じる。パリーグが磨いてきた「投手力」のピークではないだろうか。
野球の神様が田中将大に「お前は頂点を目指せ」と啓示を与え給うたのではないかとさえ思う。

2.60



これも言わずと知れたである。田中将大の数字とともに、「何かが革まった」という感じがした。ウラディミール・バレンティンが、アメリカ国籍ではなくオランダ国籍、そしてカリブのキュラソー島出身と言うのも象徴的だ。野球はアメリカのものでも、日本のものでもない。世界から人材がやってくる。そうした人材が自由に才能を発揮する時代がやってきたのだ。

3.0.4134



もうこの数字を忘れた人も多いかと思う。NPBの公式球の反発係数の下限の値である。この下限値を下回れば、セパ両リーグの協約の違反になるはずだが、2011、12年は、そういう違反球がプロ野球の公式戦で使われていた。一連の問題の責任を取って、加藤コミッショナーは辞任したが、NPBの体質は変わらなかった。

4.11.22



MLBで一番の数字はこれだと思う。上原浩治のSO/BB。50回以上投げたすべてのMLB投手の中で断トツの数字。上原は37連続アウト、30.1回連続無失点も記録したが、その源泉は、11.22個の三振を奪う間に四球1個と言う驚異的な制球力にある。上原は掛け値なしに最も優秀な投手だと言えよう。

5.277



MLBのアナリストも予測していたが、ダルビッシュはアメリカンリーグの奪三振王になった。97mphという球速の4シーム、2シームやカッター、何種類ものスライダー、スプリッター。その多彩な球種もさることながら、好調時には打者を全く寄せ付けない投球も光った。被本塁打が多い、援護が少ないなど課題はあるが、順調に成績を伸ばしつつある。

6.219.2



岩隈久志が「食べた」イニング数。MLBの規定投球回数以上の投手でトップのNP/IP14.1という効率的な投球で、リーグ3位の投球回数を稼いだ。140km/h台だが強打者がくるくると三振する速球、キレの良いフォーク。サイ・ヤング賞投票では3位だったが、MLB屈指のクレバーな投球だった。


7.772



愛媛済美高校の安楽智大が選抜大会で投げた投球数。驚いたESPNが取材をした。一方で江本孟紀のように「アメリカのメディアよ、正気の沙汰とか言う前に、何故16歳の少年がこれだけの球を投げられるのか科学的に証明し研究してみれば?」と言う反論もあった。当の安楽は右腕尺骨神経麻痺で来年のセンバツ出場を逃した。

8.140



今季、青木宣親がMLBで放ったシングルヒットの数。地味ではあるがナリーグ1位、MLBで5年以上通用した野手は、イチロー、松井秀喜以外には出ていないが、青木は3人目になる可能性がある。来季は、ロイヤルズと言う発展途上のチームで、怪我をせずに頑張ってほしい。

9.2742



イチローのMLB通算安打数。今年はデイブ・パーカー(2712本)、ルー・ゲーリッグ(2721本)、チッパー・ジョーンズ(2726本)などを抜き、MLB歴代55位に。あと1本でアル・オリバーにならぶ。衰えがはっきりし、たそがれつつあるのは悲しい。来季の去就が非常に気になるが、すでに野球殿堂入り確実である。

10.1-0-2-16



今年もいろいろな記録が生まれた。村田修一が8月に記録した月間46安打のセ新記録や、ブランコの二冠王、長谷川勇也の198安打なども記憶に残るが、一つ上げるとすれば梶谷隆幸の「確変」を上げたい。「1-0-2-16」は彼の年度ごとの本塁打。MLBにはホセ・バウティスタなど、突如強打者に変身する選手がいるが、NPBでは稀有。来年の梶谷に注目したい。

楽天の初優勝、WBCのドミニカ優勝、日本が3連覇できなかったことや、大谷翔平の二刀流、長嶋と松井の国民栄誉賞など、野球の記録とは関係のない話題は外したが、それぞれ野球史を彩るエポックではあった。

皆さんはどうだっただろうか?

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クラシックSTATS鑑賞もご覧ください。1962年のパリーグ、救援投手陣

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