MLBファンなら、ヤンキースは日本人投手にとって、決して甘くはない職場だと言うことはご存じのはずだ。
本当の金持ちとは「大金をはたいて買ったものでも、気に入らなければ躊躇なく屑籠へ捨てる」ことができる人だと思う。
もったいないからと言って転売したり、他の使い道を考えたりするのは貧乏人の発想だ。
ヤンキースで投げた日本人投手の記録

伊良部秀輝の入団の際は、ニューヨークのルドルフ・ジュリアーニ市長が直々に出迎えた。
4年1280万ドルのメジャー契約だった。
しかし、伊良部は速球こそ速かったが制球が悪い上に、好不調の波が大きかった。またメディアや周囲と絶えず軋轢を生じたので、4年契約の3年目のオフにはモントリオール・エキスポズにトレードされた。
井川慶は、ボストンとの松坂大輔の争奪戦に敗れたヤンキースが、ポスティングシステムで落札。入札金は2600万ドル(田中より多い!)、5年2000万ドル+出来高。
しかし4月7日の初先発以降不振が続くと、夏にはマイナー落ち、以後、翌年に2試合だけ登板の機会を与えたものの、あとは5年間、マイナーで飼い殺しにした。
スクラントン・ウィクスバーレで井川は33勝22敗の成績を上げた。


この二人の例で分かるのは、ヤンキースは「自己管理ができない選手が嫌いだ」ということだ。
不摂生の挙句、当時のパパ・スタインブレナーオーナーから「太ったヒキガエル」と呼ばれた伊良部、マイナー落ちしてもラジコン飛行機や将棋に没頭するなど危機感が見られずキャッシュマンGMから「獲得は失敗だった」と言われた井川慶。
トップリーグのトップチームにはふさわしくないとみなされたのだろう。
黒田博樹は地味ではあるが、こうしたヤンキースの「基準」をクリアして信頼を勝ち得た。
厳しい境遇に置かれながらもリスペクトされているイチローも、伊良部や井川とは対照的な選手なのだろう。
ヤンキースでは「素質」や「可能性」ではなく、完成度の高い「商品」であることを求められるのだ。
田中将大は「自己管理」という点では、伊良部や井川の轍を踏むことはないと思えるが、シーズン序盤で調子が上がらないと、ローテーションから外されたり、マイナー落ちする可能性もある。
なんとしてもポストシーズンに進出しなければならないヤンキースは、田中を見切るのも早いのではないかと思う(もちろん、復活のチャンスは与えるだろうが)。
手のひらを返すのが早いのも「本当のお金持ち」ならではだ。
とにかく、万全の体調で、4月のうちに結果を残してほしい。
私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひ、コメントもお寄せください!
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4年1280万ドルのメジャー契約だった。
しかし、伊良部は速球こそ速かったが制球が悪い上に、好不調の波が大きかった。またメディアや周囲と絶えず軋轢を生じたので、4年契約の3年目のオフにはモントリオール・エキスポズにトレードされた。
井川慶は、ボストンとの松坂大輔の争奪戦に敗れたヤンキースが、ポスティングシステムで落札。入札金は2600万ドル(田中より多い!)、5年2000万ドル+出来高。
しかし4月7日の初先発以降不振が続くと、夏にはマイナー落ち、以後、翌年に2試合だけ登板の機会を与えたものの、あとは5年間、マイナーで飼い殺しにした。
スクラントン・ウィクスバーレで井川は33勝22敗の成績を上げた。
この二人の例で分かるのは、ヤンキースは「自己管理ができない選手が嫌いだ」ということだ。
不摂生の挙句、当時のパパ・スタインブレナーオーナーから「太ったヒキガエル」と呼ばれた伊良部、マイナー落ちしてもラジコン飛行機や将棋に没頭するなど危機感が見られずキャッシュマンGMから「獲得は失敗だった」と言われた井川慶。
トップリーグのトップチームにはふさわしくないとみなされたのだろう。
黒田博樹は地味ではあるが、こうしたヤンキースの「基準」をクリアして信頼を勝ち得た。
厳しい境遇に置かれながらもリスペクトされているイチローも、伊良部や井川とは対照的な選手なのだろう。
ヤンキースでは「素質」や「可能性」ではなく、完成度の高い「商品」であることを求められるのだ。
田中将大は「自己管理」という点では、伊良部や井川の轍を踏むことはないと思えるが、シーズン序盤で調子が上がらないと、ローテーションから外されたり、マイナー落ちする可能性もある。
なんとしてもポストシーズンに進出しなければならないヤンキースは、田中を見切るのも早いのではないかと思う(もちろん、復活のチャンスは与えるだろうが)。
手のひらを返すのが早いのも「本当のお金持ち」ならではだ。
とにかく、万全の体調で、4月のうちに結果を残してほしい。
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コメント
コメント一覧
井川もMLBに行く前は「絶対に通用する」と太鼓判を押されてましたし。
日本じゃ金満球団の代表な巨人とソフトバンクも、生え抜き育成上がりが数名はいるから、その点はメジャーリーグの常勝球団のマイナス点にも思えます。
思えば、ヤンキースドラフト1位の生え抜きって、デレク・ジーター位しか頭に浮かんでこない。
個人的には、メジャーリーグのドラフトで「完全ウェーバー制度」が、上位球団の生え抜き選手育成の文化を阻んでいるとも感じます。
MLBでは完全ウェーバー制度があるから、貧乏球団では生え抜きスター選手が生まれ、金満球団は完成したスターを獲得するという仕組みができています。
だからリーグの力関係は5年、10年のスパンで代わっていく。
NPBは、貧乏球団は弱いまま、金持ち球団はずっと強いまま。完全ウェーバー制を導入しないからです。
横槍すいません。
> 「完全ウェーバー制度」が、上位球団の生え抜き選手育成の文化を阻んでいる
ちょっと違うかな、と。
完全ウェーバーだけでなく、FAの時にドラフト指名権の譲渡とかもあるのでそこら辺も絡んでくるとは思います。
また、ドラフトだけに目を向けると確かにジーターくらいなのかもしれませんが、アンディ・ペティット、マリアノ・リベラ、バーニー・ウィリアムスなどはみんなヤンキース傘下のマイナーからの叩き上げです。
逆に彼らが肝心なポジションをしっかり固めてくれていたから、FAで大物を獲得してもチームの芯がぶれなかったのもあり黄金時代が築けたのだと自分は理解しています(ペティット以外はヤンキース一筋でしたし)。
彼らの年齢が引退期に差し掛かったのが近年の低迷の原因でしょう。(じゃあ次の世代がきちんと育っているか、となるとまた話は別ですが)
個人的には田中はしっかり通用すると思います。
私はMLBに移籍した日本のエース級ピッチャーが通用するか否かのファクターはコントロールと決め球があると思っています。代名詞といえる決め球がカッター系、チェンジアップ系の場合はまず通用しない。
井川のチェンジアップ、川上憲伸のカットボールなどは日本では通用しましたが、そもそもの本場はMLBです。
伊良部のようにフォークを持っていた投手もいましたが、いかんせんコントロールが悪かった。
スライダー系は通用するか半々で、NPBで縦の変化球を決め球にしていた投手は通用する、と思っています。
言葉を返すことになり恐縮ですが、
バーニー・ウィリアムスはプエルトリコ生まれのアマチュアFA入団、マリアノ・リベラはパナマ生まれのアマチュアFA入団なので、ドラフトの影響とは無関係です。
ペティットは、確かドラフト22位指名でしたが、契約はアマチュアFAでした。
また、彼らは20年以上前の入団なので、最近の生え抜きを育てないヤンキースの問題のタネにするには難しいかと。
広尾さん
あくまで、完全ウェーバー制度が全能の制度とは評価ないことを言いたいだけです。
日本でドラフト制度が始まってから、ドラフトの恩恵を受けたのは、亡くなった根本氏の囲いこみ戦略が活きていた時代の西武・ダイエー時代だけです。
10年単位で区切ってみて、5回以上優勝しているのは1990~1999年の西武ライオンズだけです(7回)。
井川と田中のNPB時代の成績はそれほど大きな差はないですよ。
NPBは完全ウェーバーだった時期はないわけですから、なんとも言えないですね。
この制度は戦力均衡化のために導入されるわけですから、一部の球団の成績とも無関係です。
井川 8年 1244イニング 86勝60敗 防御率3.15 RSAA95.38
セイバーも全部圧倒的に田中が上だし、これで大差ないとか井川の親でも言わない(確信)
飛ぶボールの時代と、2011年以降の統一球の時代を単純比較するのはいかがなものかと。RSAAのもとになる失点率のブレ大きくなるでしょうし。
確かに田中の方が上ですが、比較にならないほどの差はないでしょう。井川も沢村賞を取っていますし、20勝のシーズンもありましたから。あのシーズンはなかなかすごかったですよ。
井川の親御さんは素人でしょうしね。
でもRSAAって面白いですね。使ってみよう。
井川のことが悪く言われていますが、あれはあくまでMLBにおける結果論でしかありません。日本での実績は相応のものですし、松坂と同年の移籍だったので、松坂の半分のコストで獲得できた井川に対しては、当時(最初のシーズン開幕まで)はお買い得との評すらあったはずです。
それと生え抜き論の話ですが、そもそも日本とアメリカでは社会的に人材の流動性が異なりますから、多少は生え抜き選手が愛されることがあっても、向こうの人はあまり気にしていないんじゃないでしょうか。
雇用の流動性もさることながら、アメリカは移民国家でもありますし、「自分たちのコミュニティに他所から誰かがやってくる」ということに対する慣れは、日本よりも強いのではないかと思います。