マー君ひとりの年俸で一球団の選手全員がまかなえる日本プロ野球の現実

マーケティング・コンサルタントの大西宏さんは、ブロガーとしても日本の草分け的な存在だ。実は私が11年間勤務した会社の先輩だ。

大西さんは京都大学を出て大手広告代理店にマーケッターとして勤務したのち、広告企画会社の設立に参加。私が入社した時は取締役だった。

若い頃、私はいろんな勤め先で草野球チームを作ってきたが、この職場でもみんなに呼びかけて草野球チームを作り、淀川河川敷で練習をした。
大西さんもやってきたが、みんなが着替えているときに、いきなり誰もいないグランドにボールをノックし、「そら、取りにいけー!」と言った。なんと奔放な人だ、と思ったものだ。
仕事ぶりも大胆で、クライアントの気持ちをぎゅっと掴むのがうまかった。





大西さんの「大西 宏のマーケティング・エッセンス」は、10年の歴史を誇る屈指の人気ブログだが、スポーツ関係のこともしばしば書いておられる。

最近、田中将大のヤンキース移籍に関して、こんなブログを書かれた。

マー君ひとりの年俸で一球団の選手全員がまかなえる日本プロ野球の現実

NPBからMLBへ人材流出が止まらないのは、5倍もの年俸格差があるからだとし、NPBはビジネスに失敗していると切って捨てている。
そして、老人が支配し、改革を阻み、産業が停滞してしまっている点でNPBは日本経済の縮図だ、と指摘している。

NPBのビジネスの問題はずっと当サイトでも指摘してきたが、改めて大西さんの鋭い「刀」で鮮やかに料理されると「なるほどなあ」と思ってしまう。

NPBは、80年近い歴史を誇る。また年間に5000万人もの観客を動員する、日本屈指の興行組織でもある。
そうでありながら、親会社の支援がなければ一瞬たりとも存続しえない状況が今に至るも続いている。
NPBやその周辺、スポーツメディアは、このことを「おかしい」と思っていない。
そして、なぜトップ選手がアメリカに行ってしまうのかを真剣に考えていない。

老人たちは「大リーグに行くのは恩知らずだ」と言い、「日本の野球の方が優れている」と虚勢を張る。
選手の育成方法や、練習方法などには優れた部分があるかもしれないが、こと「興行」「ビジネス」の分野では、お話にならないような差がついていることを、野球関係者は理解できない。深刻なことだと思う。

世界でスポーツマーケティングが進化し、莫大な利益を生んでいる中で、NPBは昔ながらの「男芸者」に甘んじている。自分の力で生きようとしていない。
だから、有為の人材は流出する。「統一球問題」など、ガバナンス不在のくだらない問題が起きる。
そのことに気付かないと、NPBの将来はないだろうと改めて思う。

それは一流のマーケッターの目から見れば、かくも明らかなことなのである。

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