NPB球団の経営状態は不透明だと言われる。わかっている部分で比較をしてみよう。
数字はすべて推計、概算、2012年が基本

※巨人、東京ドームの決算情報をもとに修正しました。日本ハム、球場使用料入力ミスでした。修正しました。
最初に目につくのは観客動員と売上がリンクしていないことだ。チケット売り上げの比率はもちろん大きいが。それだけでは球団経営は成り立たないのだ。
チケット収入は、球団の全売上額約1500億円の三分の一強。
巨人は動員率95%だが、他球団は60~80%だ。まだ上げる方策はあるが、天井は決まっている。
並木裕太氏が楽天で実施したように、プレミアム席を作ってチケット単価を上げることで売り上げ、利益率を上げることはできる。しかし、それだけでは球団は維持できないことがこの数字からわかる。
なお、楽天は初優勝したことで観客動員、売り上げなどの数字は2013年決算期には大幅アップすると思われる。
この表にはないが、球場などで販売する飲食物やグッズなどの販売も大きな収益源だ。巨人、阪神、ソフトバンクの売り上げが大きいのはこれによると思われる。
しかし他の球団では売り上げは微々たるものの様だ。
またDeNAはチケット、球場での飲食、物販の売り上げの25%を球場に支払わなければならない。これは大きい。ハマスタは黒字、球団は赤字。
オリックスは35億円のチケット収入があることになっているが、年間指定席分を除くと微々たるものの様だ。チケット屋ではオリックス戦の内野席が1000円で売られている。
放映権料、20年ほど前は巨人が35億円、セリーグ各球団は15~20億円ほどあったと言われる。
巨人は、2014年から全国ネットの放送は22試合から8試合に減る。放映権料はさらに激減する。もっともグループ企業の日本テレビ系との売買だからグループの内部留保になるので、実質的な影響は少ない。
むしろセの5球団はこれまで1試合1~1.5億円と言われた巨人戦の放映権料が視聴率の低下もあって大幅減しているのは痛いに違いない。
BS、CSなどは球団ごとに局と年間契約を結んでいるが、トータルで1億円内外と言われている。
反対に、パリーグはこれまで放映権収入はほとんどなかったが、少し計算できるようになりつつある。
またPLM(パシフィックリーグマーケティング株式会社)が、放映権料やライセンス使用料などの一括ビジネスに取り組みつつある。台湾へのパリーグの試合ニュースの販売もその一環だ。パリーグの収益性は少しずつ改善しつつある。
支出を見て行こう。
年俸総額は2012年。ヤクルト、DeNA、オリックス、楽天のように売り気の小さな球団にとっては大きな負担である。結局、この金額が戦力強化費そのものと言っても良い。
問題は球場使用料。
グレー地は球団が本拠地球場に指定管理者になっている球団。指定管理者になると、球場を自由に使えるし、営業企画もやりやすい。球場内での売り上げも全部球団に入る。使用料を払ったとしても採算が合うと言われている。
阪神は、甲子園球場が阪神電鉄の所有物なので使用料はかからない。
中日はナゴヤドームに40億円ほど使用料を支払っているが、グループ企業なので利益は内部留保される。
西武ドームも同様である。
ソフトバンクは、2011年まで年間48億円を福岡ドームに支払っていたが、2012年に親会社が球場を買収した。これによって球団の収支は飛躍的に改善された。
日本ハムは大きな球場使用料を支払っているが、株式会社札幌ドームはグランドパートナーになっているので、実質的にかなりの金額を補てんされているものと思われる。
巨人とヤクルト、DeNAの球場使用料負担が大きいことが分かる。
収支(経常収支または純利益)は中日、オリックスは発表していない。巨人、阪神、広島、ソフトバンク、西武、日本ハムが黒字。楽天も実質的には黒字。ロッテは微妙。
ヤクルト、DeNAは大きな赤字になっている。中日、オリックスも売上高から見てゼロかマイナスと思われる。


全体として見れば、球団経営はおそらく赤字である。
単体の企業であれば、とっくに整理の対象になっている球団が多い。親会社に依存して何とかやっている状態だ。
NPBの改革が進まないのはこうした「依存型」の企業が大半を占めているために、ビジネスマインドが欠如しているからだ。自分たちだけで会社を経営すると言う気持ちがない経営者(果たして経営者と言えるか?)が大半なのだ。
広島のようにひたすら縮小均衡を続ける会社も情けないが、少なくとも「子会社気質」を払しょくしないと何も変わらないだろう。
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チケット収入は、球団の全売上額約1500億円の三分の一強。
巨人は動員率95%だが、他球団は60~80%だ。まだ上げる方策はあるが、天井は決まっている。
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なお、楽天は初優勝したことで観客動員、売り上げなどの数字は2013年決算期には大幅アップすると思われる。
この表にはないが、球場などで販売する飲食物やグッズなどの販売も大きな収益源だ。巨人、阪神、ソフトバンクの売り上げが大きいのはこれによると思われる。
しかし他の球団では売り上げは微々たるものの様だ。
またDeNAはチケット、球場での飲食、物販の売り上げの25%を球場に支払わなければならない。これは大きい。ハマスタは黒字、球団は赤字。
オリックスは35億円のチケット収入があることになっているが、年間指定席分を除くと微々たるものの様だ。チケット屋ではオリックス戦の内野席が1000円で売られている。
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阪神は、甲子園球場が阪神電鉄の所有物なので使用料はかからない。
中日はナゴヤドームに40億円ほど使用料を支払っているが、グループ企業なので利益は内部留保される。
西武ドームも同様である。
ソフトバンクは、2011年まで年間48億円を福岡ドームに支払っていたが、2012年に親会社が球場を買収した。これによって球団の収支は飛躍的に改善された。
日本ハムは大きな球場使用料を支払っているが、株式会社札幌ドームはグランドパートナーになっているので、実質的にかなりの金額を補てんされているものと思われる。
巨人とヤクルト、DeNAの球場使用料負担が大きいことが分かる。
収支(経常収支または純利益)は中日、オリックスは発表していない。巨人、阪神、広島、ソフトバンク、西武、日本ハムが黒字。楽天も実質的には黒字。ロッテは微妙。
ヤクルト、DeNAは大きな赤字になっている。中日、オリックスも売上高から見てゼロかマイナスと思われる。
全体として見れば、球団経営はおそらく赤字である。
単体の企業であれば、とっくに整理の対象になっている球団が多い。親会社に依存して何とかやっている状態だ。
NPBの改革が進まないのはこうした「依存型」の企業が大半を占めているために、ビジネスマインドが欠如しているからだ。自分たちだけで会社を経営すると言う気持ちがない経営者(果たして経営者と言えるか?)が大半なのだ。
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コメント
コメント一覧
楽天ですが、2013年は黒字化が決まったようです。下記インタビューの最後で立花球団社長が明かしています。
楽天・立花球団社長が語る「大物メジャーリーガーを獲れる理由」(web Sportiva)
http://sportiva.shueisha.co.jp/clm/baseball/2014/02/01/post_347/index5.php
立花社長、何か、ユーク、ユークってなれなれしいですね。
昔のヤクルトや日本ハム、今ならソフトバンク、楽天、モバゲーがそれにあたります。
あと、かつてのロッテや太平洋クラブ、クラウンライターのように
当時はまだ世の中にネーミングライツというもの自体が無かったため
長続きしませんでしたが、これだけ浸透した現代であれば
球団名ネーミングライツも導入してみてもいいのではないでしょうかね。
もちろん、最低5年くらいの契約にする等の縛りをつけなきゃダメだとは思いますが。
事実上自力で運営しているのは巨人・阪神・広島くらいで、親会社からの補てん金込みの自称黒字という球団も多い。ヤクルトやDeNAみたいに赤字を公表している球団の方がまだ明朗会計?という気もします(笑)。
福岡ドームは年間48億円という法外な使用料が問題になったのか、一昨年にソフトバンクが870億円で買い取っていたけど、それに関しては球団の決算には含まれていないようです。
札幌ドーム使用料60億円と東京ドーム使用料80億円という数字は初めて目にします。両者とも飲食・物販・看板広告料の営業権は球団ではなく球場にあるという話なので、この金額だと付帯収入だけでなくチケット収入も球場の総取りという形に。ちょっと信じがたいけど本当なら横浜スタジアム以上の奴隷契約?ですね。渡辺恒雄会長は東京ドームに抗議しないと(笑)。
この問題は、突き詰めていくと、結局1954年の「国税庁通達」に行きついてしまうんですね。
カナブンさんもご指摘のように、ほとんどの球団において親会社からの金銭がいくら流入しているかが定かではない以上、まともに議論できる命題ではないように思います。
ちなみに、チケット収入については、球場ではなく、主催者である球団に入るはずですよ。もしそんなことをやっていたら、どんなミュージシャンだってコンサートができなくなります。
それから、横浜スタジアムの使用料は昨年度から3億くらい安くなってるみたいですね。横浜スタジアムはなかなか酷い商売をしていると思いますが、詳しい有価証券報告書を公表しているのである程度状況が把握できるところは好感が持てます。自己資本比率90%越えとか、投資有価証券を100億も持っているところには好感が持てませんが。
札幌ドーム、表記ミスです。10億円ですね。ハマスタは2012年時点の数字です。東京ドームは決算報告を読み間違えました。失礼しました。
こうなったのも、元はと言えばダイエーがホークスタウン事業で巨額(790億円)もの債務を抱え、営業権つきでコロニー・キャピタルに二束三文で売り払ったからです。無脳な前オーナーの失敗のツケを、有能な現オーナーが払うというのは、なんとも不条理でやりきれない思いがある。また、孫社長が創業者社長だから出来たことで、普通の社長では周囲に止められるような案件でしょう。
こういった、営業権という球団経営の根幹まで売り払いながら、球団本体は手放さないという、次オーナーへの負荷となるような行為は、なんとかルールで防ぎたいものです。しかしながら、NPBでは巨人が利益を出しているので、この論には説得力がないのかも知れません。
>ソフトバンクは福岡ドームを買い取って収支が改善しましたが、買収には870億円もかかりました。いまは親会社の業績がいいのであまり批判はされませんでしたが、普通なら球団経営を圧迫するほどの巨額です。
福岡の事情は詳しくありませんが、同じ金額を出すのなら、新球場をつくったほうが安いように思うんですが、そういう話はなかったんでしょうか。数年間の使用料を建設費に加えても、なおお釣りがくるように思いますが。
少なくとも税制の優遇措置は、廃止してもいいんじゃないですかねぇ。
あと、日米との差で大きいと感じるのが放映権料です。
今や、ビッグスポーツビジネスの収益は放映権料が大半を占めているといっても過言ではない訳で、にも関わらず、NPBに於ける放映権の評価は、観客動員力と比較して相対的に低いと言わざるをえません。
つまり、コンテンツ化されるとNPBの価値が下がってしまうところにも、大きな原因があると考えられそうです。
地上波とCSで50億契約というのを見たことがあったのですが
1990年の時点で34億だそうです。どっちにしても讀賣グループでのやり取りなので、あまり意味がないと思いますが。
オリックスは大阪ドームの破綻に乗じて球場の所有権を獲得したけど球場使用料は発生。グループ内のやりとりは外部から見るとなかなかややこしいですね。
全球団の放映権料79億円を12球団で割ると平均6.6億円ほど。均等に配分と言っても全体の放映権料をもっと増やさないと、巨人と阪神の収入が減るだけでたいした足しにならないという印象です。
全チーム分を一括で販売したら、確実に全体の放映権料はアップしますよ。古今東西、不変の法則です。1球団当たりの取り分は今の平均よりもアップするはずです。
問題は地上波ローカル放送の扱いですが、MLBのようにこれについては各チーム固有で販売できるようにすればいいと思います。
福岡ドームの建設費が760億円(1993年当時)らしいので、いま同規模のものを新設しても、買収額と大差ないという判断なのだと思います。
そして何より、いまの福岡であれほど大きな土地を、利便性のいい場所に求めるのは難しいでしょう。
福岡ドームは、臨海部によかトピアの跡地を取得できたので、自前で埋め立て工事をする必要がなく、なおかつ福岡空港の離発着による建物高制限にも引っかからないという、きわめて条件のいい立地です。しかも最寄駅の唐人町は地下鉄で天神から3駅という近さ。
球団の集客力と球場の立地・アクセスには相関があります。チームが低迷していても、球場へのアクセスが抜群であれば、フラッと立ち寄ってくれるお客さんはいるもの。その点で福岡ドームには大金をつぎ込むだけの価値がある、という事なんでしょうね。
土地の問題はどうしようもないかもしれませんね。ただ、建設費で言えば、ナゴヤドームや京セラドームは福岡よりも200億円以上も安いんです。
福岡ドームは私も何度か行ったことがあります。昔、親が単身赴任の際、まさに唐人町の近隣に住んでいたので、あのあたりも何度か歩いたことがあります。唐人町は確かに最寄り駅ですが、ドームまでは歩いて20分くらいかかった記憶があります。家族連れならもっとかかるでしょうし、駅からの距離を考えれば、個人的にはあまり利便性がいいとは思えないのですが。
当面は放映権料減収確実となる巨人と阪神に文句を言わせない為には、現在の20億円と15億円を上回る平均金額を獲得する具体的な将来構想を両球団に提示する必要も。
まあ単純計算だし、巨人と阪神に遠慮する必要がどこにあるという見解もあるとは思います。
大坪正則先生の資料に私が追補しました。
ついでに 推測で情けない語んな
カスが
頭の中がカスかな?日本語になってないよ。