私も書かせていただいているが、とにかく「野村克也」特集の中身が濃い。
野村克也は今、野球界では最も多作の著者の一人だと思われる。また、橋上秀樹など「野村の教え」を紹介した本も多い。
「野村克也本」はそれだけ売れるのだろうが、このムックはそれらとは一味違う。

「野村克也とはどんな野球人だったか」を第三者の視点であぶりだしている。
監督として、父として、そして野球選手としての野村克也がどんな人物だったかを、かかわりのある人物が語りつくしている。

この前の「本塁打」の特集もそうだったが、「本人」である王貞治、野村克也の言葉を中心に本をまとめるのではなく、深くかかわりのあった周囲の人物の証言で、“本尊”をくっきりと浮かび上がらせている。

この手法は、長谷川晶一さんが得意としておられるが、「主観」ではなく「客観」で人物を語ることで、影の部分や意外な側面がにじみ出てくる。

もはや伝説になった感がある野村克也という人物の「違う一面」が鮮やかに浮かび上がってくるのだ。



ヤクルト時代の日本シリーズがクローズアップされているが、当時の選手たちがどんな思いで野村采配に従っていたかが分かるのが面白い。
彼らは野村野球に心酔していたわけではなく、むしろ批判的だったが、プレーを通して「野村野球」を理解していくのだ。

南海ホークス時代を知る私としては、江本孟紀や藤原満のインタビューが面白かった。
江本孟紀は例のシニカルな口調で、辛口に野村を切っていく。しかし、それでも野村克也を「評価」していることがよくわかる。
藤原満は、野球技術者としての野村を具体的に評価している。

さらに現役最晩年に野村に球を受けてもらった松沼兄弟の言葉も興味深い。

この本を通して見えてくるのは、今年で60年になる野村克也の「野球人生」の深まりだ。
30代、40代、50代、60代、70代の野村克也がどんな野球人だったか。人間としてどのように成熟していったのかが浮かび上がってくる。

今後、野村克也を語る上で欠かせない一冊になることだろう。

私は野球選手としての野村克也の記録をまとめている。打者として、そして捕手として。たばともさんの「野村克也全本塁打」も貴重だ。





「読む野球」は、名前の通り上質の読み物に仕上がっている。このシリーズは全部買うべきだと思う。

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あいつは言うこときかんかったんですわ 村山実


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