セイバーメトリシャンは統計学者とは限らない。統計学とセイバーメトリクスは似て非なるものである。「OPSなんてデータではない」という学生の言葉はそれを象徴している。
ここでは統計学を野球に活用する方法を考えたい。
野球の統計学への活用は、大きく2つに分けられよう。
Ⅰ)ストラテジックな活用
チームや選手が勝利、好成績を上げるために統計学を活用すること。作戦面、選手起用面など活用は多岐にわたるだろう。
Ⅱ)エンタテインメント的な活用
ファン、愛好者の野球への興趣を、さらに掻き立てるために統計学を活用すること。
私が語ることができるのはⅡ)だ。これはさらに6つに大別できるのではないか。
1)ランキング
年度、リーグなどを限定して、ある数値で選手、チームをランキングすることによって優劣が分かる。日本人はランキングが大好きである。
2)評価
具体的なデータを出すことで、その選手のチームへの貢献度や、歴史的な位置づけなどの評価ができる。印象論ではない評価もファンには興味がある。
3)比較
似た位置づけの選手を様々な指標で比較することで、タイプの違いや優劣、特性の違いなどを浮き彫りにすることができる。
4)発見
その選手やチームの意外な一面を、データから割り出すことができる。不振の原因や、活躍の秘訣が見えてくる。サプライズである。
5)予想
データを分析することで、来るシーズンの選手の成績を予想したり、対戦前のチームや選手の勝負の行方を予想したりすることができる。外れることも含めての楽しみ。
6)仮想
時代や国、リーグなどが異なり、対戦不可能な選手やチームをデータに基づいて比較したり、シミュレーションしたりする。IFの楽しみだ。
さらに言えば、提示されたデータをもとに、一般の人々が加工したり、ランキングしたり、自分たちで「いじることができる」ことも必要だと思う。

率直に言ってⅡ)のエンタメ的なデータ活用では、厳密さや細かさよりも大づかみに言ってどうなるのか、という明快さと分かりやすさが必要になる。
野球という複雑な競技から、いかにシンプルでエッジが立った結論を導き出すかが求められよう。他のビジネスとは異なる「エンタメ系」で統計学を活かすことができれば非常に面白い。
そういう意味で必要なのは、マーケティングだと思った。
今回の学生たちの発表は、データスタジアム社が期間限定で提供したデータに基づいている。同社は統計学をスポーツに活用できる人材を育成しようとしているのだろう。
楽しみなことだ。
今後もこうしたイベントにはどんどん見物に行こうと思った。
私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひ、コメントもお寄せください!
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『「記憶」より「記録」に残る男 長嶋茂雄 』上梓しました。


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Ⅰ)ストラテジックな活用
チームや選手が勝利、好成績を上げるために統計学を活用すること。作戦面、選手起用面など活用は多岐にわたるだろう。
Ⅱ)エンタテインメント的な活用
ファン、愛好者の野球への興趣を、さらに掻き立てるために統計学を活用すること。
私が語ることができるのはⅡ)だ。これはさらに6つに大別できるのではないか。
1)ランキング
年度、リーグなどを限定して、ある数値で選手、チームをランキングすることによって優劣が分かる。日本人はランキングが大好きである。
2)評価
具体的なデータを出すことで、その選手のチームへの貢献度や、歴史的な位置づけなどの評価ができる。印象論ではない評価もファンには興味がある。
3)比較
似た位置づけの選手を様々な指標で比較することで、タイプの違いや優劣、特性の違いなどを浮き彫りにすることができる。
4)発見
その選手やチームの意外な一面を、データから割り出すことができる。不振の原因や、活躍の秘訣が見えてくる。サプライズである。
5)予想
データを分析することで、来るシーズンの選手の成績を予想したり、対戦前のチームや選手の勝負の行方を予想したりすることができる。外れることも含めての楽しみ。
6)仮想
時代や国、リーグなどが異なり、対戦不可能な選手やチームをデータに基づいて比較したり、シミュレーションしたりする。IFの楽しみだ。
さらに言えば、提示されたデータをもとに、一般の人々が加工したり、ランキングしたり、自分たちで「いじることができる」ことも必要だと思う。

率直に言ってⅡ)のエンタメ的なデータ活用では、厳密さや細かさよりも大づかみに言ってどうなるのか、という明快さと分かりやすさが必要になる。
野球という複雑な競技から、いかにシンプルでエッジが立った結論を導き出すかが求められよう。他のビジネスとは異なる「エンタメ系」で統計学を活かすことができれば非常に面白い。
そういう意味で必要なのは、マーケティングだと思った。
今回の学生たちの発表は、データスタジアム社が期間限定で提供したデータに基づいている。同社は統計学をスポーツに活用できる人材を育成しようとしているのだろう。
楽しみなことだ。
今後もこうしたイベントにはどんどん見物に行こうと思った。
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コメント
コメント一覧
マネーボールの内容は非常に刺激的なものでした。
それは一つは野球の戦術的な面で、送りバントや盗塁は日本で語られているよりも期待できる効果が低いということでした。個人的に、マネーボールを読む以前から送りバントの戦術的な効果に疑問を持っていたこともあり、とても興奮したことを覚えています。
もう一つは選手の評価に関する面で、出塁率の価値の大きさを教えてくれたことが大きかったですね。「われわれはジーンズを売っているわけではない」というビーンの台詞に、アメリカ的な合理的精神を感じて、しびれました。
それまでは、イチロー的な打撃と松井的な打撃のどちらがよりチームの勝利に貢献するのか分からず、個人的にスッキリしなかったんですよね。
野球の戦術も個人成績も、突き詰めればチームとして勝利にいかに貢献するかということに集約されるわけで、それの現段階での形がWARと言うことなんでしょうが、そういうビジョンを示してくれたセイバーメトリクスは本当にいいものだなと思いますね。
結局、セイバーは何のために存在するのか、ということですね。
ブログにも書きましたが、私にとっては「楽しくなければセイバーではない」「分かりやすくなければセイバーではない」に尽きます。
野球を見るのが楽しくなるようなデータであるべきで、セイバーを出すのが目的になっても仕方がないと思います。
そういう意味では、OPSは、数学的な評価はさておき、野球界にとっては大きな意義のある決定でした。
東大生の発表は、膨大なデータを駆使した挙句、OPSとほとんど変わらないランキングになっていました。これなど、「学問」と「エンタメ」の際立った違いを意味しています。
きっちりとした理論的な裏付けではなく、結果論の妥当性で使っていますからね。
株式投資では、現在価値と実態価値の乖離した部分にこそ、利益に繋がる可能性があるわけで、選手に対する「投資」でも同じことが言えるかと。
とは言っても、「生産性が高い」と評価された選手がFA市場に出てこないのなら、こういった数字は机上の遊びだけで終わってしまうので、少し残念ではあります。