今日はもう一つ、新統一球問題について取り上げておきたい。その後のNPBの動き、メディアの報道、球界の反応について。資料の保存という意味で。
■NPB

熊崎勝彦コミッショナーが謝罪した。

「お騒がせして誠に申し訳ない、数値は収まっていると思い込んでいた。ボールは生き物なので、保管などが難しい。今後は限りなく品質管理を徹底しなければならない」。

しかし代替球がないため、第三者機関による再検査の結果が出るまでは、現行のボールを使用する方針。

NPBは開幕前にも非公式に検査し、3月19日に得たデータでは規定内に収まっていたが、上限に近い値だったという。
コミッショナーは、いきなり謝罪。熊崎氏は数年前からNPBに関わってはいたが、当事者になるのは初。「えらい役職に就いた」と思ったに違いない。

井原事務局長は発覚した時点で、「記録は通常の試合の扱いとなる」とした。

自分で決めたルールを自分で守ることができない。その状態をしばらく維持するのである。
世間の信用が失墜すると言うことに思い至らないのだろうか。

統一球の在庫は1万ダースある。
なお、今の統一球は熊崎コミッショナーの意向で、コミッショナーのサインは入っていない。

NPBは独占禁止法の抵触を避けるため、来年初めには導入以来初めて統一球の供給メーカーを決めるオープンコンペティションを開催する方針。
すでに大リーグの公認球を製造する米ローリングス社などが名乗りを上げている。
これは統一球の問題が発生する前に決められていた。

ミズノに「違反球」責任があるのなら、コンペの指定業者から外すべきだろう。

■ミズノ

ミズノ側は4/3に田中将大とミズノ ブランド アンバサダー契約を締結したことを報じているが、統一球に関するリリースはない。

■球界の反応

ニッカンスポーツなど各紙が各球団に聞いている

 ◆楽天星野監督 俺らは感じていた。おかしいな、去年より飛ぶな、と。責任を取ってもらわないと。

 ◆ヤクルト小川監督 最初から飛ぶと思っていた。異常なぐらい飛んでいましたから。

 ◆DeNA中畑監督 やっぱり。飛ぶと思った。何で今ごろ。開幕前に確認をして、ちゃんとした数字が出ていないといけない。

 ◆ロッテ伊東監督 飛んでいると思っていた。逆方向にこれだけ本塁打が出る状況というのは飛びすぎているということ。ただ、同じ条件なので、選手に頑張ってくれと言うしかない。

 ◆巨人原監督 コミッショナーが出したボールで戦う。全く疑心はない。与えられたボールで戦うことに、何ら変わりはありません。

 ◆西武伊原監督 飛び過ぎてないでしょ。去年と同じじゃない? 去年は隠していたんだから、検査をすること、発表することはいいことじゃないですか。

 ◆阪神和田監督 特別飛ぶという感じではなかった。昨年のことがあってからは、元に戻ったというか。

 ◆日本ハム栗山監督 そのボールでやれと言われたら、命がけでやるしかない。そうやっているつもり。試合は平等なわけだから。

 ◆中日谷繁兼任監督 ノーコメントです。

 ◆中日森ヘッドコーチ ナゴヤドームでも飛ぶようになったのかと思っていた。あそこまで飛ぶの? というのが何本かあった。捕手は打球が速く感じているようだし、打ってる打者が一番感じているはず。でもなんでそんなボールをつくらせているのか分からない。

 ◆ヤクルト真中打撃コーチ 明らかに打高投低な感じがする。どうかなと思う打球がスタンドに入ったりするしね。

 ◆巨人川口投手総合コーチ 今さら、ですね。逆方向のボールは伸びる。それでやっていくしかない。

 ◆楽天嶋(選手会長) 開幕してから、捕手として、打ち取った当たりがフェンス際まで行くと感じていた。投手が一生懸命投げ、野手が懸命に打つ球。僕たち野球選手の生活に関わることだという認識を、もう1度、持って欲しいですね。

 ◆オリックス伊藤 京セラドームのフェア地域の天井に打球が当たったりしていたし、右方向への打球が伸びたり飛ぶと感じていた。

 ◆ヤクルト・バレンティン 自分では飛ぶ感じはなかったけど、試合を見ていて飛び方に変化があるなと思っていた。

 ◆日本ハム中田 去年のボールと変わらない印象だった。投手はきついだろうなと思う。(ボールが違えば)攻めるコースも変わってくる。投手はかわいそう。

 ◆日本ハム大野 難しい深刻な問題。これから選手会でも協議していくことになると思う。(基準が)二転三転することが一番良くないと思う。

 ◆ソフトバンク内川 (昨年と違いが)まったくないとは言わない。守っていて、そう感じる時もある。

 ◆広島大瀬良(2試合に先発し、失点は3被弾による5失点)去年を知らないので…。これがプロの打球なんだと思っていました。どんなボールでも抑えられるように努力するだけです。

 ◆巨人村田(東京ドームで特大弾) そんなに大きな誤差ではないと思う。発表のタイミングについても自分は気にしていない。


選手会は、「困惑している。何が原因かしっかりと調査してもらいたい」

●日本ハムの島田利正球団代表
 今回はNPB(日本野球機構)の責任ではない。実はこないだの会議でも『飛び過ぎではないか』という話をみんなでしていた。上限を超えているから直さないと駄目」と早急に修正する必要性を口にした。

●西武の飯田則昭球団専務
 「とにかく(結果を)オープンにしようという流れ。いろんなボールが混在していないか、懸念事項はある。対応を考えないといけない」と話した。

島田氏の発言は、自分たちが統一球を製造しているという自覚が全くない。統一球はミズノのボールではない。ミズノに作らせ、NPBの責任で試合に使用しているのだ。
熊崎コミッショナーがなぜ謝罪したのか、理解できていないようだ。

自動車のメーカーが、事故の責任を下請け会社におっかぶせることなど考えられない。製造者責任はNPBにある。

飯田専務にどれだけ認識があるかはわからないが、島田氏よりもまともだ。

■メディアの見解

・ニッカンスポーツ

世間を騒がせた統一球問題の翌年だけに、故意に仕様が変更された可能性は低い。

・スポーツ報知

 NPBは、反発係数が規定値を超えていたことを、ナイター6試合が行われた木曜日に急きょ発表した。なぜか。それは昨年の統一球問題が教訓となり、NPBサイドが迅速に対応した結果だといえる。

・サンスポ

NPBの認識の甘さを感じずにはいられない。迅速な対応だったとはいえ、発表が行われたのは試合開催日。また度重なる騒動により、基準値を超える違反球だけでなく、「飛ぶこと」自体が公平でないかのようなイメージを持たれてしまっている。
 せめて開幕前に検査結果を共有することができれば、「またか」の思いを抱かれずに済んだはずだ。ボールは選手の野球人生を左右するものだし、最大の商品である試合の品質を保証するものでもある。これを最優先に考えるべきだ。(NPB担当・上野亮治)


・日刊ゲンダイ

当面使用継続の「飛びすぎ統一球」で得するのは巨人だけ

・東スポ

宇野勝氏(基準内で)球場ごとに反発係数を変えるというのもありだと思う。器が狭く、ホームランが出やすい東京ドームや横浜スタジアムはある程度飛ばないボール。逆に広いナゴヤドームや甲子園は少し飛ぶボールといったように分けてみたらどうだろうか。

前回の騒ぎよりもインパクトが弱い。メディアはそれほどニュースバリューがないと思っているようだ。

今回はNPBに非がないと思われているからだが、「NPBは、この程度の組織だから、こういう事件が起こっても仕方がない」という認識も広がっている。信用は失墜している。

ミズノの出方待ちではあるが、「NPBは新体制になって変わった」と世間に印象付けるような対応をしてほしい。社会的正義に基づき、コンプライアンスを順守し、ファンのことを第一に思う対応をしてほしい。

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