5月初旬、香川オリーブガイナーズのマネジメントを一手に引き受けている近藤達洋GMにお話を伺った。
私が一番興味があったのは、9年間で18人もの選手をNPBに送り込み、毎年のように主力選手がいなくなる状況で、いかにしてトップチームの戦力を維持してきたのか、ということ。

「競争環境を作ることに尽きるでしょうね。うちはそれが伝統になっています。力のある選手でもスタメンで出場するのは難しい。選ばれた選手しか出場できない。そうした厳しさが当たり前になっていますから」
「ファンの方々も“勝って当たり前”と思っている方が多いんです。常勝球団の伝統ができているんですよ」
立ち入ったことだが、18人もNPBにドラフト指名されれば、球団の入ってくるお金も大きいのではないか。
「四国アイランドリーグPlusからNPBには35人の選手が行っています。その過半数が香川ですから、確かに一番実入りは多いでしょう。でも、大部分は育成選手です。契約金もそんなに多くない。潤っているというほどではないですね。むしろ、主力選手を引き抜かれるダメージもあります」。
球団の収入のうち、75%はスポンサーの支援、入場料収入とグッズの売り上げがそれぞれ10%ずつ、そして残りがNPBドラフト指名にともなう収入だという。
「ただ、昨年の又吉は大きかったですよ。ドラフト2位ですからね。これは別格でした。でもドラフトにかかる、かからないは水ものですから、計算はできないですね。
うちからはマエストリがオリックスに入団している。このときも移籍料が入りました。彼はWBCイタリア代表にもなりましたが、この選手も別格と言う感じでした」
近藤GMは、2010年に当時の香川の副社長に声をかけられて、入社した。
「GMといっても、NPBとは違い、何から何まで面倒見るような感じです。
営業、運営、広報、行政やスポンサーとの対応、大変ではありますが、やりがいを感じています。私は東京生まれの千葉育ち。四国とは縁がなかったのですが、この仕事に就いて良かったと思っています」

入場者数は一時期よりも落ちているが、実情はそうではないとのことだ。
「始まった当初は球場に来ていたただくために、招待券をばらまきました。そういう人も含めて入場者を発表していました。今はそういうことはありません。お金を払ってきてくださっている方が大部分です。今の方がしっかりした基盤になっていますね」
スポンサーも増えて、支持基盤が広がっている手ごたえがあるとのことだ。

「外国人選手の受け入れも積極的に行っています。今、うちには4人いますが、そのうち3人は米国人、1人はミャンマーから来ています。技量は未熟ですが、彼は日本で野球を学んで、ミャンマーの野球指導者になろうとしています。そうした広がりも楽しみですね」
実は四国アイランドリーグPlusの選手は、野球だけをしているわけではない。地域に根差した社会貢献や、コミュニティとの交流など、野球外の活動も大きい。
「四国アイランドリーグPlusの選手はすべてNPBに行くわけではありません。そういう選手たちのセカンドキャリアの準備をするのも我々の役割だと思っています。おかげさまで引退する選手に対して“うちに来てほしい”と声をかけてくださる企業なども増えています」
前述の、今季ドラフト2位で中日に入団した又吉もそうした社会勉強を積んだ一人だ。
「NPBも昔のように“野球さえうまければいい”とは思っていません。しっかりした考え方を持って自分で成長していける選手を求めています。又吉はそういう部分も含めて評価されたのだと思います」
「今年のうちの開幕戦に、又吉は花輪を贈ってくれました。何も言わなくてもこれくらいの気配りができる。誇らしく思いましたよ。厳しい中チーム運営をやってきて良かったなとしみじみ思いました」
独立リーグでは、試合が終わると、選手たちがスタジアムの外でお客を見送る。彼らがファンと接するのを見ていると、本当に地域に溶け込んで、地域とともに生きていこうと考えていることがわかる。
もう一つの「プロ野球」は想像以上にしっかりしたものになりつつあると実感した。

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「競争環境を作ることに尽きるでしょうね。うちはそれが伝統になっています。力のある選手でもスタメンで出場するのは難しい。選ばれた選手しか出場できない。そうした厳しさが当たり前になっていますから」
「ファンの方々も“勝って当たり前”と思っている方が多いんです。常勝球団の伝統ができているんですよ」
立ち入ったことだが、18人もNPBにドラフト指名されれば、球団の入ってくるお金も大きいのではないか。
「四国アイランドリーグPlusからNPBには35人の選手が行っています。その過半数が香川ですから、確かに一番実入りは多いでしょう。でも、大部分は育成選手です。契約金もそんなに多くない。潤っているというほどではないですね。むしろ、主力選手を引き抜かれるダメージもあります」。
球団の収入のうち、75%はスポンサーの支援、入場料収入とグッズの売り上げがそれぞれ10%ずつ、そして残りがNPBドラフト指名にともなう収入だという。
「ただ、昨年の又吉は大きかったですよ。ドラフト2位ですからね。これは別格でした。でもドラフトにかかる、かからないは水ものですから、計算はできないですね。
うちからはマエストリがオリックスに入団している。このときも移籍料が入りました。彼はWBCイタリア代表にもなりましたが、この選手も別格と言う感じでした」
近藤GMは、2010年に当時の香川の副社長に声をかけられて、入社した。
「GMといっても、NPBとは違い、何から何まで面倒見るような感じです。
営業、運営、広報、行政やスポンサーとの対応、大変ではありますが、やりがいを感じています。私は東京生まれの千葉育ち。四国とは縁がなかったのですが、この仕事に就いて良かったと思っています」

入場者数は一時期よりも落ちているが、実情はそうではないとのことだ。
「始まった当初は球場に来ていたただくために、招待券をばらまきました。そういう人も含めて入場者を発表していました。今はそういうことはありません。お金を払ってきてくださっている方が大部分です。今の方がしっかりした基盤になっていますね」
スポンサーも増えて、支持基盤が広がっている手ごたえがあるとのことだ。

「外国人選手の受け入れも積極的に行っています。今、うちには4人いますが、そのうち3人は米国人、1人はミャンマーから来ています。技量は未熟ですが、彼は日本で野球を学んで、ミャンマーの野球指導者になろうとしています。そうした広がりも楽しみですね」
実は四国アイランドリーグPlusの選手は、野球だけをしているわけではない。地域に根差した社会貢献や、コミュニティとの交流など、野球外の活動も大きい。
「四国アイランドリーグPlusの選手はすべてNPBに行くわけではありません。そういう選手たちのセカンドキャリアの準備をするのも我々の役割だと思っています。おかげさまで引退する選手に対して“うちに来てほしい”と声をかけてくださる企業なども増えています」
前述の、今季ドラフト2位で中日に入団した又吉もそうした社会勉強を積んだ一人だ。
「NPBも昔のように“野球さえうまければいい”とは思っていません。しっかりした考え方を持って自分で成長していける選手を求めています。又吉はそういう部分も含めて評価されたのだと思います」
「今年のうちの開幕戦に、又吉は花輪を贈ってくれました。何も言わなくてもこれくらいの気配りができる。誇らしく思いましたよ。厳しい中チーム運営をやってきて良かったなとしみじみ思いました」
独立リーグでは、試合が終わると、選手たちがスタジアムの外でお客を見送る。彼らがファンと接するのを見ていると、本当に地域に溶け込んで、地域とともに生きていこうと考えていることがわかる。
もう一つの「プロ野球」は想像以上にしっかりしたものになりつつあると実感した。

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