小野俊哉『プロ野球ヒーロー伝説の真実』






 


小野さんの本を紹介するのは2冊目。敬服するのは、過去の選手のエピソードやプレーの情報を実に綿密に集めておられること。「クラシックSTATS鑑賞」をやっていて、いつも難儀するのが、昭和の選手たちのエピソードやプレーぶり。昔は「歴代選手名鑑」みたいな本がたくさんあって、プレーぶりを紹介していたのだが、今は人気選手はともかく、かつての名選手について書いた本は意外なほど少ない。Wikipediaに載っている情報は、できるだけ書かないでおこうと思うのだが、ネタ探しに苦労する。古本屋で昔の野球の本を漁るのが日課になっている。MLBではこういうことはあまりないのだが。小野さんはおそらく、昔の雑誌、スポーツ新聞などを丹念に調べておられるのだろう。

さて、この本は、NPB、MLBの伝説の名選手たちの“伝説”が本当なのか、それは数値化できるのか?を検証している。

特にこだわっているのが、投手の球速と打者の本塁打の飛距離。小野さんによると、NPBのかつての名投手、澤村、スタルヒン、金田、尾崎、堀内あたりは優に160km/hを超えていたという。ほんまかいな、という気もしないではないが「初速」で170km/hを超える投手も結構いたという。

速球の話で面白いのが、115マイル(185km/h)出ていたかもしれないというマイナーの投手、ダルコウスキー。この投手はあまりのノーコンのためにMLBに昇格することはなかったが、恐ろしいエピソードをいくつももっている。

また、カーブに始まり、スライダー、シュートなど変化球にまつわる話も具体的で面白い。

さらに、いわゆるテープメジャーホームランの記録。この本に載っている本塁打の中で、私はブーマー・ウェルズの88年7月13日西宮球場の西武戦での162m弾をこの目で見ている。ブーマーの打球は、オレンジ色に塗られた西宮球場のスコアボードのはるか上を飛んで行った。夢を見ているような気がした。

小野さんは、前回同様、日米野球をごっちゃにするところがあり、少し不満があるが、野球の「凄さ」を具体的な数字にする執念はすごいと思う。

この本こそ、グラス片手に飲むべき。いや、読むべき。

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