雨雲が大阪の方から押し寄せる中、今日も佐藤薬品スタジアムに行った。立田の投球を見るためだ。何とも考えさせられる試合だった。
一昨日の準々決勝で、大和広陵のエース立田将太は先発せず、二番手の渡邊大海が投げた。立田は9回に救援したが、肩を温存して宿敵智辯戦に挑んだわけだ。
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試合開始とともに雨が激しく落ちたが、すぐに小降りになった。
智辯は二番手の左腕尾田を先発させたが、2回、大和広陵はこの投手を捉える。各打者は大振りせず鋭く球を弾き返す。2点を取った後3番渡邊が右翼超え三塁打。打者10人を送って5点が入る。

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まさに立田のためにチームがおぜん立てをしたのだが、続く3回、立田が大乱調。打者9人に6四球、無安打で3点を返される。
一昨日の救援登板でも思ったが、立田はすでに肩か肘を痛めているのではないか。フォームが安定しないし、制球がひどすぎる。

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3回終了時点ですでに72球。

4回表には智辯は二死一塁から二番吉田が中越え二塁打。ここで注目のスラッガー岡本和真。立田は果敢に攻めて遊飛に打ち取るが、これを主将の川端が取ることができず、二塁打にしてしまう。そして次打者吉岡は立田の初球を鋭く振りぬいてライナーで飛び込む本塁打。
形勢は一挙に逆転した。

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この時点で立田の投球数は89。MLB的な考え方なら次の回で降板すべきと言うことになるが、自らの大乱調で5点のリードを吐きだしたことを考えれば、とても降板を申し出ることはできないだろう。

智辯の二番手、エースナンバーを背負った浦中も制球は良くなく、何度も走者を出したが、大和広陵打線はあと1本が出ない。焦りがあったと思われる。

大和広陵は一度は同点に追いつくが、立田が踏ん張ることができず、最後は11-6で敗れた。

結局、立田は9回を投げて手元のカウントで177球。球数制限もへったくれもない結果に終わった。

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この試合で痛感したのは、今の高校野球の仕組みでは、一選手や一チームが「球数制限をしたい」と希望したところで、あまり意味がないと言うことだ。

未熟な高校生の登板である。自らの制球難で球数が嵩むこともあるだろう。そんな試合で「100球を超えたから降ろしてほしい」といえる強心臓の持ち主は日本人にはいないだろう。また指導者にしたところで、それを諒とすることはとてもできない。
大和広陵の若井康至監督は、元南海の若井基安の兄だが、「甲子園だけが高校野球ではない」という開明的な考えの持ち主だ。しかし、そうであっても立田の肩、肘を守るためにチームの勝利を棒に振ることはできなかっただろう。

今日の大和広陵のケースでいえば、100球に達した6回に立田が降板するとすれば、継投は渡邊と言うことになる。しかし彼は一昨日に120球を投げているのだ。
立田を守るために渡邊を潰してもいいのか、と言うことになってしまう。
そして大和広陵が仮に勝ち進むとすれば、明日、決勝戦がある。立田が投げるにしても、渡邊が投げるにしても、登板過多はまぬかれない。
第3の投手を作っておかない限り、「球数制限」などできっこないのだ。

本当の意味で高校球児の肩、肘を守ろうと思えば、「100球を超えれば次の打者には投げられない」というルールを設けるしかない。チーム事情がどうであれ、投手の気持ちがどうであれ、自動的に交替するルールを作るべきだ。
その上で、試合間隔をあける必要もある。
そういうフレームを設定しない限り、登板過多、投手の酷使の問題は絶対に解決できない。
試合が面白くなくなると言う向きもあろうが、WBCはそんな制限があっても十分に盛り上がった。
もちろん高校レベルで投手を3人、4人と揃えることができるか、という議論はあるだろうが。

試合が終わって、ベンチの前で立田と捕手の向谷がクールダウンのキャッチボールを始めた。段々に間合いを詰めるうちに、向谷が感極まって泣き崩れた。立田が向谷の頭に手を置く。
このバッテリーがキャッチボールをするのは、恐らく生涯でこれが最後だ。
高校野球ではよく見る風景だが、立田は敗戦の悲しみに加えて「特別扱い」をしてもらったことに報えなかった切なさも感じていたのではないか。

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この試合、日米のスカウトが見に来ていたと思う。立田の評価は下落したことだろう。

すべてが台無しになった立田の悲しみがグランドから伝わってくるように思えた。

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