交流戦は、観客動員数から見れば、近年まれにみる成功した事業だったと言える。「お客が増えた」ことを実感した関係者も多いのではないか。
2009年、試合数が各球団24試合になった2009年以降の両リーグの主催試合、交流戦、リーグ戦の平均観客動員数

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セリーグは毎年交流戦の観客動員が同一リーグの観客動員より少ない。
対照的にパリーグは交流戦の方が常に多い。
そしてトータルでは、交流戦の観客動員数は、同一リーグの試合よりも多い。
これは、セリーグのマイナスが1試合当たり500~700人程度なのに対し、パリーグのプラスが2000人以上とけた違いに大きいからだ。
NPB全体で見れば、交流戦は売り上げ増、パイの拡大にはっきり貢献していると言えよう。

しかしそれでもセリーグはパリーグのチームと試合をするとわずかながら「損をする」。

今朝の朝日新聞には観客動員数の問題と、ずっとパリーグに負け続けていることが、セリーグ側に「面白くない」という感情を抱かせたと解説している。
そういうことなのかもしれない。

数字をさらに子細に見て行くと意外な事実が見えてくる。
セリーグ各球団の交流戦と同一リーグ戦の平均観客動員数の推移。2009年から2013年まで。

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セのドル箱とされる巨人と阪神は、交流戦での観客動員が、同一リーグでの観客動員よりも数千人も多いのだ。2011年の巨人などは1試合平均で5000人も多い。

巨人、阪神のファンの多くは、従来の対戦相手よりもパリーグとの対戦に魅力を感じているのは明らかだ。
近年は、ソフトバンク、日本ハム、楽天などに若々しいスター選手が次々と登場している。こうした選手と人気の巨人、阪神の選手との対戦をファンは楽しみにしているのだ。

それに対し他の球団、とりわけDeNAやヤクルトは、交流戦の観客動員が同一リーグ戦よりも1000人以上少ない。この2球団が足を引っ張っているのだ。中日、広島はほぼ拮抗している。

セリーグのペナントレースは大きな差が開きやすい上に、上位球団と下位球団が固定している。下位球団はセリーグであっても魅力に乏しい。交流戦にもファンは食指が動かないのだ。
要するに巨人、阪神は交流戦で潤っていたが、他のお荷物球団が足をひっぱたのだ。

来年から各チームの交流戦は6試合減る。
単純に言えばそれによって巨人は2万人強の、阪神は1万人強の観客減につながる。

セリーグが交流戦の削減を求めたのは、巨人、阪神が自分たちの観客を削ってでも同一リーグの仲間の顔を立ててやろうとしたのかもしれない。
麗しき「リーグ愛」ではある。彼らは「プロ野球はお金だけじゃない、友情だって大事だ」と思っているのだろうか。実に爽やかだが、実になさけない。

最初の表をもう一度見ていただきたい。
セリーグ球団の交流戦と、同一リーグ戦の観客動員数の差は年々縮まっている。今年などはほとんど誤差の範囲だ。交流性が定着し、好カードが生まれて人気が出てきたのだ。
来年あたりは追い抜く可能性もあった。

リーグ戦の日程が難しいからと言って試合数を減らすのは愚策である。
日程は見直せばよいのだ。その上で不人気なカードのテコ入れをすればよかったのではないか。

NPB、そして球団は子供じみた意地の張り合いをやめて、まともな経営判断をすべきである。


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