Facebookだけで済ませようと思ったのだが、書いているうちに腹が立ってきたのでブログでも書く。
昨日の巨人、中日戦のヒーローインタビューのことだ。
この試合は、中日がルナのソロで先制するが、巨人が坂本勇人の12号2ランで逆転、2回には投手の大竹がタイムリー、さらに6回に高橋由伸がソロ本塁打でダメ押しをして快勝。

大竹は9回を110球で完投。奪三振はわずかに2。打たせて取る名人芸のような投球。捕手阿部との相性の悪さが言われていたが、今回は素晴らしいコンビネーションだった。
そして打線も効率的に得点した。
ということで、ヒーローインタビューはまず大竹寛、続いて高橋由伸が上がった。
インタビュアーは、どの局のアナだったかわからない。
しかし大竹に対して「ファンにひとこと」とか「この喜びを誰に伝えたいか」みたいなくだらない質問はしなかった。
三振が少なかったこと、球が低めに集まっていたことなど野球のことをちゃんと聞いていた。恐らくNHKのアナウンサーだったと思う。
しかし高橋に対してこのアナは、こんなことを聞いた。
「亡くなったお父様に対して、ひとこと」
高橋は前日、心不全で亡くなった父・重衛氏の告別式に出席したばかりだ。
一瞬困ったような顔をした後、
「はっはっはっ」と笑い声をたて、はぐらかすようなことを言った。
「不躾」とはこういうことを言う。
個人的に道で会ったなら「大変でしたね」「お疲れの出ませんように」というのが、社会人の常識だ。
しかし公衆の面前で、しかも全く関係のないインタビューで、直前に起こった不幸について聞くのは、惻隠の情を欠くとしか言いようがない。
本人はショックを押し隠して仕事(野球)をしているのだ。悲しいに決まっている。
高橋の父君逝去については、多くの人が知っていたはずだが、みんな、本人の気持ちを慮って口にするのを憚っていたはずだ。
アナウンサーは、高橋が期待に応えて「天国の父も喜んでくれることでしょう」とか「父の魂が乗り移って打たせてくれたんだと思います」みたいな、100g48円くらいの安いコメントをすることを期待したのだろう。
人生に何度もないようなショックな出来事が起こったばかりの選手に対して、「マスコミにサービスせよ」と迫ったのだ。
岩佐徹氏の発言のように、個人の失言はときに大炎上になる。岩佐さんは大変な目にあった。
芸能人やスポーツ選手もおかしなことを言えば、世間から袋叩きにあう。
しかしマスメディアがこの手の不躾な質問をしても、問題になることは少ない。
メディアは叩きやすい個人は叩きまくって「美味しいネタ」にするが、自分たちの非礼、非常識は黙って口を拭う。まさに傲慢である。
マスメディアが信用されないのは、取材対象への敬意がない上に、自分たちは「何をやっても許される」と思っているからだ。
もう一度言う。
親族がなくなったばかりの人間に、公衆の面前でそのことを聞き、都合の良いコメントを引き出そうとする行為は、人の道に外れている。
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大竹は9回を110球で完投。奪三振はわずかに2。打たせて取る名人芸のような投球。捕手阿部との相性の悪さが言われていたが、今回は素晴らしいコンビネーションだった。
そして打線も効率的に得点した。
ということで、ヒーローインタビューはまず大竹寛、続いて高橋由伸が上がった。
インタビュアーは、どの局のアナだったかわからない。
しかし大竹に対して「ファンにひとこと」とか「この喜びを誰に伝えたいか」みたいなくだらない質問はしなかった。
三振が少なかったこと、球が低めに集まっていたことなど野球のことをちゃんと聞いていた。恐らくNHKのアナウンサーだったと思う。
しかし高橋に対してこのアナは、こんなことを聞いた。
「亡くなったお父様に対して、ひとこと」
高橋は前日、心不全で亡くなった父・重衛氏の告別式に出席したばかりだ。
一瞬困ったような顔をした後、
「はっはっはっ」と笑い声をたて、はぐらかすようなことを言った。
「不躾」とはこういうことを言う。
個人的に道で会ったなら「大変でしたね」「お疲れの出ませんように」というのが、社会人の常識だ。
しかし公衆の面前で、しかも全く関係のないインタビューで、直前に起こった不幸について聞くのは、惻隠の情を欠くとしか言いようがない。
本人はショックを押し隠して仕事(野球)をしているのだ。悲しいに決まっている。
高橋の父君逝去については、多くの人が知っていたはずだが、みんな、本人の気持ちを慮って口にするのを憚っていたはずだ。
アナウンサーは、高橋が期待に応えて「天国の父も喜んでくれることでしょう」とか「父の魂が乗り移って打たせてくれたんだと思います」みたいな、100g48円くらいの安いコメントをすることを期待したのだろう。
人生に何度もないようなショックな出来事が起こったばかりの選手に対して、「マスコミにサービスせよ」と迫ったのだ。
岩佐徹氏の発言のように、個人の失言はときに大炎上になる。岩佐さんは大変な目にあった。
芸能人やスポーツ選手もおかしなことを言えば、世間から袋叩きにあう。
しかしマスメディアがこの手の不躾な質問をしても、問題になることは少ない。
メディアは叩きやすい個人は叩きまくって「美味しいネタ」にするが、自分たちの非礼、非常識は黙って口を拭う。まさに傲慢である。
マスメディアが信用されないのは、取材対象への敬意がない上に、自分たちは「何をやっても許される」と思っているからだ。
もう一度言う。
親族がなくなったばかりの人間に、公衆の面前でそのことを聞き、都合の良いコメントを引き出そうとする行為は、人の道に外れている。
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コメント
コメント一覧
それにも関わらず、きちんと受け答えした高橋由伸はプロとしての仕事を全うしましたね。
高橋由伸の方から切り出したならまだわかりますが、ヒーローインタビューというまったく関係のないところで聞く内容ではないと思います。
野球だけでなくスポーツ全般において、選手へのインタビューで今回と同様の光景をよく見かけます。(最近ではレスリングの吉田沙保里の父親が亡くなった際も同様でした)
大災害が起きた際も、「被災された方々に一言」とインタビュアーが聞き、聞かれた選手も「被災者の方々を勇気づける為にも云々」といった教科書通りの返答をするしかない状況を見ます。
そんな誰に聞いても同じ答えが帰ってくるような安物のコメントを、ファンや視聴者は望んでいないと思いますし、むしろプレーや結果そのものから伝わるものだと思います。
もっと言えば、感動は与えるものではなく、受け手(感動する側)がその出来事に対してどう思うか、感動するかしないかは個々の感情や想い、経験や思い出を今起きてることとリンクさせることで起きるものであって、他者が煽るものではないと思います。
自分のインタビューでファンや視聴者を感動させようと思っているマスコミ、アナウンサーがいるのなら、それは大きな勘違いであり何様のつもりだと言いたいです。
愚痴のようなコメントで申し訳ないです。
つい感情が高ぶり長々とコメントしてしまいました。
申し訳ありません。
同感です。
今日、もし實松が活躍していたら、たぶんこのアナウンサーは同じ質問を實松にもしたのでしょう。
しかし、もうちょっと一般論で言わせてもらいますと、ヒーローインタビューというものは、いつからあんなにつまらないものになったんでしょうね。
本当に、メディアの退化は深刻です。
テレビのスポーツニュースなどで数秒で流すために、耳障りのいい言葉を言わせたいだけ。
このキャッチーな言葉を言わせたいだけインタビューは、水泳岩崎恭子とかマラソンの有森、谷口あたりの名言が流行ったあたりからきてるんでしょうか?
もっと前からでしょうか。
まあ、要するに根本的に視聴者をバカにしてるんでしょう。
な、お前ら、こういうの聞きたいんだろ?っていう下衆なワイドショー精神
私もあまりプライベートなことをヒーローインタビューで聞いて、選手の感情を無理に揺さぶろうとするのは反対ですね。
昨日のインタビューが日テレ担当だったら、もっとあざといものになっていたでしょう。
昨日は坂本選手はお立ち台に呼ばれてなかったと思います。
勘違いしていました。文章修正します。
感動を共有させること
今のメディアは、これをしなければならないと思っている、つまりは脅迫概念になっている、そんな気がします。
逆に言えば、視聴者読者が感動を共有し、追体験したいと思っているのではないではしょうか?
ごーーーーーる
ほーーーーーーむらん
の絶叫に対して、
「おまえが感動してどうする。そのおかげで俺が感動できないじゃないか!!!」と腹が立つのは……たぶん少数なんですよ。きっと。
ざっくばらんだったような記憶があります。
今と違って、飲み屋のマスターと客のような感じでした。
多分、加藤哲郎のあの事件あたりから選手が自己防衛に走るようになり、
聞き手もテンプレ通りのことしか聞かなくなったような・・・
それだと正直、つまらないんですよね。
ネットで炎上したら怖いなとか思ってるんでしょうけど。
ただ、自分の感覚ですが、全く触れないのも不自然だと思うので、そこは言葉のプロとして、上手くインタビューして欲しかったですね。
ヒーローインタビューで、多分…アナウンサーが引き出
マスコミ関連の企業に入社したらこういうことを平気で言うようにと教育なり研修を受けてるのかと思うとため息しか出ません。
テレビ黎明期の頃からの習慣なんでしょうか?それとも高度成長の頃に勘違いが始まったんでしょうか?
いずれにしろ、解せません。
はじめまして。
このブログを読むのをいつも楽しみにしている者です。また著作も2冊ほどですが読ませて頂きました。私も野球を数字で考えるのが好きで、データを探しているうちにこのブログにたどり着きました。以来このブログを読む事を日課にしています。
私は問題のインタビューのシーンを見ていないので文脈や状況を理解していないですが、質問は不躾で不適切だと思います。プライベートな場であったとしても簡単には触れることが出来ないデリケートな事で、それゆえ人は「御悔み」、「哀悼」などの形式で接し、自らの振る舞いに注意を払っていると思います。今回のインタビューは配慮が足りない振る舞いであったと指摘されても仕方ないと思います。
このようなインタビューが繰り返される(垂れ流される??)背景は広尾様、他の投稿者が語っておられる通りと思います。私自身はヒーローインタビューが始まるとチャンネルを変えます。気の利いた質問が無いのと気恥ずかしくなるからです。
野球は守備側がボールを保持する変わったスポーツで、投手は20秒に一回しか投げません。その間は考える時間で、そこで起こっている事を知りたいのですが、最近は実況、解説とも期待に応えてくれません。野球の楽しみ方は人それぞれですが、、実況、解説、インタビューの内容をもう少し気を利かせてもらっても誰も怒らないと思います。
このような事に思いをはせながらブログを読みました。。。
それでは。
ようこそ、これからもお付きあいください。