5年間で切ったことに一部ご不満の声も出ているようだが、1965年からのドラフトの集計を続けている最中だ。いずれはどの球団が、新人活用に優れていたかはトータルに明らかになるだろう。
5年間のセリーグ各球団の新人登用を集計した表。
前のブログの表を基に各年、新人がどれだけ数字を残したかをまとめた。
各年の入団者は累計。つまり2009年ドラフトを起点に毎年増加する。

NPBの各球団の選手の定員は70人、育成枠は20人程度。巨人は、2009年ドラフト以降の新人が今年で50人になった。移籍は3人、戦力外は6人だから41人が球団にいることになる。すでに半数近くがキャリア5年以内。新陳代謝は激しいのだ。
しかし直近5年間のドラフトで入団した選手で、今年、巨人のユニフォームを着て試合に出たのは10人に過ぎない。
比率は20%、他球団が最低でも40%を超えていることを考えれば、やはり巨人にノンブランドで入団して、1軍の試合に出るのは至難の業だと言うことが分かる。
顔ぶれを見れば、極端に巨人の選手の実力が劣るとは思えない。事実巨人から移籍した一岡や市川は水を得た魚のように活躍している。
もし菊池涼介や山田哲人などが巨人に入団していたら、今年のような活躍は厳しかったのではないかと思う。


故海老沢泰久さんが、
「巨人の若手選手は可哀想だ。いつかは一軍で活躍することを夢見てファームで頑張っているが、彼らが脚光を浴びることはない。ポジションが空いたら他球団からスターがやってくるか、外国人選手がやってくるのだ」
と書いたのは20年以上前だと思うが、状況はそんなに変わっていないようだ。
巨人で3,4位で指名されるくらいなら、他球団で5,6位で指名される方がチャンスがある。
年俸は悪くないかもしれないし、施設もデラックスだろうが、頑張っても出世できない可能性が高い。
ドラフト通史を通じて50年近いドラフトの歴史を俯瞰しようと思っているが、その中で「巨人の育成」についてもさらに考えたい。
私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!
↓
クラシックSTATS鑑賞もご覧ください。
1972年堀内恒夫、全登板成績
広尾晃、3冊目の本が出ました。


前のブログの表を基に各年、新人がどれだけ数字を残したかをまとめた。
各年の入団者は累計。つまり2009年ドラフトを起点に毎年増加する。

NPBの各球団の選手の定員は70人、育成枠は20人程度。巨人は、2009年ドラフト以降の新人が今年で50人になった。移籍は3人、戦力外は6人だから41人が球団にいることになる。すでに半数近くがキャリア5年以内。新陳代謝は激しいのだ。
しかし直近5年間のドラフトで入団した選手で、今年、巨人のユニフォームを着て試合に出たのは10人に過ぎない。
比率は20%、他球団が最低でも40%を超えていることを考えれば、やはり巨人にノンブランドで入団して、1軍の試合に出るのは至難の業だと言うことが分かる。
顔ぶれを見れば、極端に巨人の選手の実力が劣るとは思えない。事実巨人から移籍した一岡や市川は水を得た魚のように活躍している。
もし菊池涼介や山田哲人などが巨人に入団していたら、今年のような活躍は厳しかったのではないかと思う。
故海老沢泰久さんが、
「巨人の若手選手は可哀想だ。いつかは一軍で活躍することを夢見てファームで頑張っているが、彼らが脚光を浴びることはない。ポジションが空いたら他球団からスターがやってくるか、外国人選手がやってくるのだ」
と書いたのは20年以上前だと思うが、状況はそんなに変わっていないようだ。
巨人で3,4位で指名されるくらいなら、他球団で5,6位で指名される方がチャンスがある。
年俸は悪くないかもしれないし、施設もデラックスだろうが、頑張っても出世できない可能性が高い。
ドラフト通史を通じて50年近いドラフトの歴史を俯瞰しようと思っているが、その中で「巨人の育成」についてもさらに考えたい。
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コメント
コメント一覧
桑田は別として、篠塚、岡崎、駒田、斉藤、槙原らを指名した
担当者(長嶋さん?)の眼力には感服させられますね。
いずれも甲子園不出場か、出場しても大スターではなかったわけですし、
またそれに応えた選手も生き馬の目を抜く巨人という世界で
よくぞ登り詰めたものだと感じます。
最近ではほんと坂本だけですものね。
ただ、その坂本がスーパープレーヤーの座を手中にしているだけに
一子相伝というかなんというか・・・。
スカウトの目が今とは違ったのでしょう。
原監督も藤田さんに心酔していると聞きますし、若手の起用にはかなり積極的と思いますが、確かに大田あたりは来期もう少し我慢してスタメンで使って欲しいと思います。
近年から列挙していくと、
公文、一岡、江柄子、田原誠、土本、上野、深澤、栂野、石川、谷、内薗、玉峰、進藤、中村、平松...。97年の平松以来昨年ようやく田原が勝ち星を上げました。
同じ中下位指名でも大卒なら高木京や小山のように当たりが出るのに。スカウト能力だけでは説明しきれないジンクスの類いかもしれません
スカウト力の弱さは伝統的なものではあると思います。
おっしゃる通り、読売絡みの話はレスが多いですね。
で、思うのですが…
読売球団には「金持ち球団」と「(自称)球界の盟主」という二つの側面があります。詳述すると長くなるし、広尾さんのようにうまく説明できそうにもないのですが、感情的には、前者には「悪」、後者には「善」のイメージがあります。
読売ファンの人には後者のイメージが強く、(私もですが)アンチ読売の人には前者のイメージが強い…、と。
感情を排してみれば、FAで選手をかき集めるのも、育成だけでいくのも、球団の個性です。
しかし、球界の盟主としては、あらゆる意味で他球団を上回りたいという願望もある。育成選手を大量に指名しているのも、「FAでかき集めるだけではない、育成もしっかりしている」と自分達を正当化したい、という側面もあるのではないでしょうか。
この手の話が出ると…というのも、そう考えると、何となく合点がいきます。
一チームとしては、勝つ、勝ち続けることに重きをおくのもありです。しかし、球界の盟主としては、球界全体の発展も考えねばならない。その矛盾をどう考えるか。
広尾さんの指摘には、そういう思いがあると思うのですが、いかがでしょうか。
去年〜今年は、広島・横浜・ヤクルトといったお金のない球団に、ようやく新しいスターが登場して明るい兆しが見えてきたシーズンでした。
これらの球団が慢性的な選手層の枯渇から這い上がるには、2007年からの8年という長い歳月が必要だったわけです。巨人は2004〜2006年までの3年間に自由枠選手で失敗しているので、実質今年まで10年かかった、という見方もできます。
この制度で入団した高橋、阿部、内海らが退団してから後、巨人の本当のスカウト力・育成力が問われてくると思います。
巨人はこの制度で20人もの指名を行っていますが、中日9名、横浜15名、ヤクルト10名、広島8名と明らかな不均衡が生じていました。そしてこの制度の裏側では毎年莫大な裏金がバラ撒かれたのも苦々しい記憶です。
広島が長い低迷を強いられたのは、まさしくこの制度のせいだったと去年・今年の躍進を見れば分かります。
商圏が違うのですから、スモールマーケットでのチーム作りと、大都市でのチーム作りは最適解が異なります。娯楽の選択肢の多い大都市では、ファンの濃淡は様々であり、その中でマジョリティを占めるライト層はより短期的な結果を求めてくる。その声を無視したチーム運営は成り立ちません。
問題は、「広島の主力選手になるより、巨人の一軍半である方が稼げる」ということです。引退後のメディア露出や、コーチやフロントへの再就職についても差があると言わざるを得ない。
ここが改善されれば、巨人で不遇をかこつ選手はFAなりトレード志願なりで自ら出ていくことでしょう。逆に言うと、ここが改善されない限り、慢性的な飼い殺し問題は今後も起こり得るということです。
巨人に長期的な展望を求めることも有用ですが、同時に広島を始めとした貧乏球団にも、収益性の改善や合理的な利益配分など、改善すべき経営上の課題は多いのです。今年の菊池や大瀬良の活躍は立派でしたが、彼らの活躍を見て広島の球団運営を称賛するのは早計です。むしろ縮小均衡に傾きやすい広島の球団運営は、若手の台頭だけに頼ったリスクの高いものと言える。
ドラフトという旬な記事内容とも相まって、番狂わせがあるのか、意外な指名はあるのか、等々興味は尽きません。
まさに「マツダ商店はなぜ赤字にならないか」の視点ですね。広島が正しい球団経営の在り方を示しているわけではない。
おっしゃるとおりですね。球団運営に関しては、巨人の方がまだ合理的に見えます。
ただ、読売球団にとっての最適解が、NPBにとっての最適解とはならないということ。これがこのテーマにおける難しいところですね。球団が短期的な勝利を目指せば目指すほど、若手が枯渇・小粒化してしまう現象はMLBでもあります。
やはり野球人気と観客動員を牽引するのは、生え抜きの野手で主軸打者、かつコンスタントに試合に出続け、毎年安定した成績を残す選手だと考えます。簡単に言うと、ちびっ子にとってのヒーローになり得る選手。子供の目にもその凄さが分かりやすく、他チームファンからも一目置かれる選手です。
現在の巨人で一番近いのは坂本ですが、遊撃手としての素晴らしさはあるものの、主砲というタイプではない。
長嶋、王、原、松井を輩出した巨人が、なぜこのタイプを生み出せなくなっているのか。広尾さんがいま取り組んでおられる、長期的なドラフト分析によってその答えが出るのではないか、と楽しみにしております。
笠原将生はどうなるか。
大学経由だと長野久義も日本ハムのドラフトを涙の拒否まで知らなかった人が大多数だし、矢野謙次や松本哲也も大卒無名・指名下位の成功組ですね。
坂本勇人や橋本到や中井大介や藤村あたりはその意味では主力選手としてマルコウ(甲子園経験者)だから無名とも言えないかもしれないですね。
最終的には総論が大事なのは当然ですが、一般性を満たす総論を構築するためには膨大なデータ、すなわち膨大な各論が不可欠です。
ちなみに、標本データ数が2000件あれば、一般的に統計的に有意と呼べます。
だからといって、皆様も2000件のデータを揃えましょうとか申すつもりは毛頭ありません。
これに対する反論として見た場合、エンジョイベースボールさんのコメントは他チームとの比較という観点が欠けているのではないでしょうか。正直なところ、「無名からのし上がった選手が全くいないわけではないのは知っているけど、それでも他チームよりは相対的に少ないでしょ」と言うだけの話です。
挙げられている具体的な選手名を見ても、矢野や松本あたりですと、むしろ「よそならレギュラーに定着していたかもしれないのに、巨人の編成方針の影響を受けて出場機会が比較的限定されてしまった」事例と考えられなくもないところです。鈴木尚広も、今でこそ代走専門ですが、一時はレギュラーに定着しそうな時期がありましたね。
書かれていることに同意です。総論、各論、統計上の有意性など指摘の仕方はいろいろありますが、後から読んだ側としては、指摘そのものは誤りでないにしても、その都度論旨に噛み合わないコメントが多く感じました。リテラシーの共有は意外に難しいなと感じさせられる例です。
他球団に移って活躍する選手の姿はもっと見たいですし、本来もっといるべきだと思います。特に、巨人から他球団へ移って活躍する可能性のある選手は、逆(例えばプロテクトされる選手)の流れと比べて長期的にどのくらい変化があったのでしょうか。MLBも含め、異動前後の関係性を分析するのはさらに骨が折れると思いますのが、いつの日かそれらが明らかになるでしょう。
広尾さん、いつも興味深い論考をありがとうございます。