さて今季の沢村賞について、考えてみよう。
沢村賞の選考基準に照らした2014年の規定投球回数以上の投手のランキング。
セパ両リーグを含む。

sawamurasyou-2014


今年は金子以外に候補となる投手はいなかったことがわかる。
順当な選考ではあった。

しかしながら、両リーグ28人の規定投球回数以上の投手は、平均すれば、1人当たり1.46項目しか満たしていない。
4投手は1項目も満たしていない。
1982年には規定投球回数は130回、今は144回。にもかかわらず積み上げ方の数字も含めて、項目を満たす投手は減少しているのだ。

言うまでもなく、それは投手の「分業」が進んだからだ。
今のプロ野球は、先発投手だけでなく、セットアッパー、クローザーがいて初めて戦うことができる。
先発完投タイプの投手がいれば大助かりではあるが、絶対数が少ない上に、選手の損耗や将来性を考えれば完投は「よほどのことがない限りさせない」のが、当たり前になっている。
今季、完投数の基準をクリアした投手は皆無だった。

本来「賞を取ること」と「チームの勝利に貢献すること」は、相反してはならないはずだ。
しかし、沢村賞を目指すには、完投数、投球回数を増やすなど、チームの勝利とは別の目標をクリアしなければならない。

また、勝率は投手の実力ではなくチームの援護点と密接にかかわっている。
防御率もリーグの投打のバランスによって大きく変動する。奪三振数も投球回数によって変動する。

この基準はすでに時代遅れになっていると言って良いだろう。

基準を是正するとすれば、具体的な数値ではなく、「リーグ5位以内」など相対的な基準にすべきだろう。

ただし完投数ではなくQSあるいはHQSにすべきだ。勝率もQS%にすべきだろう。
日本の野球関係者はセイバー系の数値を「邪教」だと思っているようなので、採用は難しいかもしれないが。

しかしそもそも「先発投手」に限る理由もないと思う。
沢村賞より9年遅れて生まれたMLBのサイ・ヤング賞では、1974年のマイク・マーシャル(ドジャース)を皮切りに、救援投手が何人も選ばれている。
今でも先発投手が獲得することが多いが、救援投手でも特段の活躍をすれば選考されることもあるのだ。
選考基準はないが、記者たちはセイバー系のデータも当然考慮しながら投票しているものと思われる。

沢村栄治を顕彰する賞は、「沢村に似た成績を上げた投手」ではなく、「その年、もっとも貢献度が高かった投手」に与えられるべきである。

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