イチローの守備成績を見る。残念ながら衰えは数字に表れている。
NPBとMLBの守備データの最大の差異は、出場イニングをカウントしているか否かである。NPBは出場試合数しか発表していない。
守備範囲の広さを示すRF(Range Factor)は、総守備機会/出場イニングで算出する=RF9が、NPBの場合出場イニングがわからないので、試合数で割る=RFG。
レギュラー選手はRF9もRFGも大差がないが、途中で退く選手や途中出場する選手は大きく数値が変わってくる。
さらにNPBでは外野守備成績を右翼、中堅、左翼に分けて発表していない。
この3つのポジションでは守備機会も、守備の内容も大きく異なる。一緒くたにはできない。
だからNPBの守備成績はあてにならない。

また守備成績の数値として守備率があるが、外野手の場合、これもあてにならない。無理目の打球を追いかけてグラブに触れて落とせば、失策が付く可能性があるが、守備範囲が狭い外野手の場合、安打になる。守備率はベテランほど上がるが、それは冒険をしなくなるからだと思われる。

新しい指標として、守備結果を逐一記録するUZRなどがあるが、これは順番はつくが、その根拠が私には実感できないので、参考資料以上では用いない。

今回はイチローの守備成績を、リーグ平均との差異で見ていくことにする。

まずイチローの守備位置別出場記録。GS/Gは先発出場率。

Ichiro-01


イチローは2007年を除いてほぼ右翼。そしてマリナーズ時代は先発出場して最後まで守りきるのが普通だった。
2008年は中堅にコンバートされたが、この時も先発すれば試合終了まで守るのが普通だった。

ヤンキースに移籍後は先発出場率は75%に減る。つまり4試合に1試合は途中出場になった。
また、ヤンキースに移籍して、MLBのキャリアで初めて左翼を守った。
中堅も4年ぶりに守った。
これらの守備位置の多様化はイチローの適性を考えたわけではなく、チーム事情によって守らされたと言う感が強い。

外野3ポジションの守備成績を見よう。lg+-はリーグ平均との差異。

Ichiro-02


中堅、左翼の数字は守備機会が少ないため、参考記録だが、RF9のリーグ平均との差異を見れば、守備範囲が広いとは言えない。

右翼では最近のイチローの傾向がはっきり見て取れる。
2011年以降のイチローは、リーグ平均よりも守備範囲が狭くなりつつある。
もはや守備範囲が広い右翼手とは言えない。
今年も、スライディングキャッチなどのファインプレーの映像が良く紹介されたが、これは見方を変えれば、打球に楽々追いつくことが難しくなっているからかもしれない。

ヤンキースタジアムの右翼は95.7m、セーフコフィールドより4m短いので守備機会が減る可能性がある。RFもそのまま信用することはできないが、イチローの守備がもはやトップクラスと言えないのは間違いないのではないか。

数字で語ってきて、印象で締めるのは心苦しいが、今年のイチローの打球の追い方、グラブへの飛球の収め方を見ていると、ほんの少しだが「躊躇い」のようなものが感じられた。
動物的な勘の衰え、そして自信の無さを感じてしまうのだ。

やはりイチローは黄昏を迎えているようだ。

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