巨人は火消しに躍起になっているようだ。
「6選手はいずれも、最高標準額が契約金などの上限ではなく、緩やかな目安としてプロ野球界で認識されていた時期に入団している」
に加えて、

「税務申告も適正に行っており違法とみなされる点もないこと、したがって社会的非難に当たらないと考える」と反論。
さらに「記事によって特定の選手のプライバシーや契約上の秘密が暴露される事態となれば、極めて遺憾なことと言わざるを得ません」と非難した。

違法性は最初から争点にはなっていなかった。契約金の上限は企業グループの私的な取り決めだったのだから、それを破っても違法ではない。また税務申告をちゃんとしているのも、企業としては当たり前のことだ。
しかし、仲間内の約束事を破っておきながら、「法律には触れていないからいい」というのは、居直りである。社会通念上許されるものではない。

また、ここへきて選手のプライバシー、契約上の秘密の暴露をいうのなら、最初から選手の年俸や契約金を公表しなければよいのだ。選手の年俸は、プロスポーツを語る上で欠かせないファクターであり、その巨額の収入がプロスポーツへの憧れを抱かせる大きな要因であることは自明のことだ。ここでプライバシーを持ちだすのは、ご都合主義的である。

ただ、この問題は非常に微妙な性格を帯びているように思う。誰もが薄々知っているように、巨人だけが裏金を払っていたわけではない。各球団が選手を確保する上で、申し合わせに違反する金品を選手に与えていたはずだ。巨人だけでなく他球団の口が重いのも。メディアの反応がそれほど激しくないのも、背後にとてつもなく大きな問題が横たわっているからだと思われる。

全球団かどうかは分からないが、有望選手のかなりの部分が、公表された契約金以外の条件を提示され、入団している可能性がある。そうした慣行は、恐らくはドラフト制のはるか以前から続き、今に至るも存続しているのではないかと思う。

その傍証が、ドラフト改革の話が出るたびに、「完全ウェーバー制(前年の下位チームから選手を選択していくやり方)」が否定されていることだ。

あくまで推測だが、選手、アマ野球関係者と球団は、根深いところで結ばれており、持ちつ持たれつの関係を維持している。スカウトや球団の編成担当者はこのネットワークを表裏の金銭や便宜供与などで維持してきた。「完全ウェーバー制」はこの関係を、そして今までの努力を根こそぎ覆すものだ。
戦力均衡のためには一番良い方法だと知りながら、絶対に導入しない理由は、これしか考えられない。






NPBの改革の上で、こうした腐れ縁を絶って、健全化するのは非常に重要なことだ。選手獲得に法外な金がかかることが、球団が親会社依存を断ち切り、まともな企業へと進化させる上で重い足かせになっている。
すべてをオープンにし、公正なルールのもとに選手を獲得するのはMLBに対抗するマーケティング戦略を展開する上で不可避だと思う。しかし、それが気が遠くなるほど難しいことであるのも理解できる。

読売、巨人1社のことでなく、ことは球界全体に影響する。そもそも厳格なルールによって運営されるはずのスポーツの世界が、恣意的で不明瞭な仕組みで運営されていることに、世間は不信感を抱く。
八百長ではないが、それに近い「いい加減な社会」だと思われることが、どれほど深刻なことかを考えるべきだ。

火の手をあげた朝日新聞は、エリートにありがちな中途半端な喧嘩をしないでほしい。徹底的に追及しないと、この宿痾はさらにNPBの体の奥に食い込んで見えなくなる。

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