朝日新聞は昨日の夕刊で、「開幕直前、球界に波紋」とあたかも他人事のような見出しをつけて続報した。
巨人側の反論を引き据えて、有識者の口を借りてこれに再反論するという、新聞お得意の論法で自社報道を正当化した。多少辟易する部分もあるが、この件だけを取り上げるなら、朝日新聞に圧倒的に分があるように思う。

「緩やかな目安」であっても、みんなで決めたルールは守らなければならない。「目安」とは「おおよその基準」という意味だろう。1億+出来高5000万がそのラインだとすれば、どこまでを許容範囲とするかは意見が分かれるだろうが、10億円オーバーを許容範囲と考える人はいないだろう。時速15km/hで徐行すべき町の路地を100km/hオーバーで突っ走れば、誰だってつかまる。

巨人軍は「球界の盟主」を自認している。そして「紳士たれ」と選手たちに教えを垂れている。その盟主が自分たちで決めた取り決めを堂々と破っていたこと、そしてそれを「違法ではない」「税金も納めている」と強弁するのは、恥ずかしいを通り越して悲惨な感じさえする。佐野眞一さんではないが、日本人はここまで劣化したか、という思いだ。

法に触れなければ何をしても良い、というレベルで行動するものを「紳士」とは呼ばない。最も高い倫理観を持ち、他よりも厳しい規範をもって行動するものを「紳士」と呼ぶのではないだろうか。何かというと訴訟の影をちらつかせるのも、下品としか言いようがない。みっともないことは、もうやめてほしいというのが率直な思いだ(渡邊恒雄氏は表に出ないが、どうしているのか)。






NPB事務局は例によって推移を見守るのだそうだ。ひょっとすると神棚にお灯明でも上げているかもしれない。もとより何の期待もしていないが、起きているのか、寝ているのかだけははっきりさせてほしい。

この夕刊を開いてうんざりするのは、大阪本社版ではちょうど真向いの位置に選抜高校野球の記事があることだ。選抜には今年はじめて通信制の高校が出場する。実質的な「野球漬高」が出るのだ。この高校だけでなく、多くの出場校が、有望選手の獲得競争を行い、野球漬けの生活を送らせて甲子園に出場している。そしてその卒業生たちが、プロ野球の門を叩くのだ。そこにブローカーまがいの人物も暗躍する。

当ブログに頂いたコメントにもあったが、裏金、裏契約は、それを要求する人間がいればこそ存在するのだ。アマ球界のこうした体質は温存されていると考えなければならない。

一方でプロ野球、巨人の信義にもとる行動を指弾しながら、一方でアマ野球の現状を看過する。結局、新聞社同士のさや当てなのか、とやりきれない思いもする。

続報:
朝日新聞朝刊は、引き続き1面トップでシダックスにいた野間口貴彦に、巨人が入団前から金銭を与えていた事実を報じている。巨人側はこの事実も否定せず、「違法性はない」と答えている。

また、こうした内部文書の大量流出に清武英利さんの関与を匂わせる報道も出てきた。
これまで渡邊恒雄氏の横暴、球界への不当な権力行使を指弾してきた清武さんだが、この資料からは、こうしたルール破りに清武さんが主体的に関与していたことが浮かび上がってくる。「肉を切らせて骨を切る」戦法かもしれないが、事態は抜き差しならぬ深刻な様相を呈しつつある。

部外者としてはこれを逐一見ていく以外に何もできない。大好きな野球、NPBが変わる転機になればと思っている。

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