時事通信
オリックスから国内フリーエージェント(FA)宣言した金子千尋投手(31)は24日、「今回のオフでのポスティングはしない方向で考えている」と述べ、今オフに米大リーグへ移籍するためには必要だったポスティング制度を利用しない意向を明らかにした。
金子は今季取得した国内FA権を行使した上で、ポスティング制度を使っての米移籍も視野に入れていたが、今オフの米移籍は断念した形となった。

金子は今季国内FA資格を得てこれを行使する旨宣言している。海外FA権はもう1年またなければ取得できないが、1年早く移籍するためにポスティングも視野に入れているという話だった。
しかし結局海外のポスティングはせず、今季は国内FAだけ。

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続報によれば、ポスティングによる移籍に宮内義彦オーナーが強い不快感を示しているという。
これまで球団経営にあまり熱心ではないように思われた宮内氏だが、今季のオリックスの活躍で気分が変わったのかもしれない。

また、MLBの市場的にも今季のポスティング移籍はあまり芳しくない可能性があった。
金子は、成績的には田中将大に匹敵するが、年齢は31歳。ここ2年200回近く投げているが、2012年には右ひじの故障で戦線離脱している。
田中将大が今季、3か月で投げられなくなったことを考えれば金子千尋も故障する可能性がある。ポスティングの2000万ドルは大きな金ではないかもしれないが、長期契約をすることにはリスクがある。

注目すべきは金子のMLB断念が、代理人に辣腕で知られるアーン・テレムが就任してからあとのことだったことだ。
彼のMLB移籍の意思は明確だが、オーナーの反対もあり、市場的にも微妙だということで見送ったのではないか。

ややこしい話だが、金子は今年国内FA宣言をせずにチームに残留していれば、来季海外FA権を取得する権利があった。しかし国内FA宣言をしたために、たとえ残留しても海外FA権を行使しての移籍は4年後になってしまう。
さらに、国内FA宣言をしてNPBの他球団に移籍した場合は、通常複数年契約になるので翌年のポスティングは考えにくくなる。

実質的に今回ポスティングでの移籍を断念したことで、金子の選択肢は①来季も球団に残留してポスティングでの海外移籍を目指す ②国内の他球団にFA移籍をして4年後の海外移籍を目指す(あるいはMLB挑戦を断念する)、③他球団に1年契約で翌年のポスティングを承認することを前提で移籍する、の3つになった。

③はNPBの他球団にとって、ポスティングフィーの2000万ドルを獲得することができるが、補強としてはあまりメリットがない。

日刊スポーツは、MLB断念報道の前に
オリックスは「1年契約で残留した上で来オフのポスティング容認も選択肢に入れている可能性がある」と報じている。瀬戸山球団本部長は明言しなかったが、こうした下交渉があった上でのポスティング断念だった可能性もあろう。
続報によれば宮内オーナーも「優勝を前提に来季のポスティングを容認する」という意向のようだ。、

阪神や巨人は巨額の提示をして金子の気を引こうとしているようだが、MLBに意識が行っているとすれば、それはあまり意味がないかもしれない(もちろん、別の密約ができている可能性も無きにしも非ず)。

金子の判断は、NPBとMLBの関係が、もはや蜜月期を過ぎて、お互いの手の内を良く知った上で駆け引きをする時期に入ったということを意味するかもしれない。
今後の動向が注目される。

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