金子千尋を巡る話は、かつてない展開になる可能性が出てきた。
一つは、ポスティングを巡る話。
金子は事実上、今年、ポスティングでMLBに移籍する道が閉ざされた。オリックスの宮内オーナーが難色を示したからだといわれている。
昨日もふれたとおり、金子の選択肢は、
① 来季も球団に残留してポスティングでの海外移籍を目指す
② 国内の他球団にFA移籍をして4年後の海外移籍を目指す(あるいはMLB挑戦を断念する)
③ 他球団に1年契約で翌年のポスティングを承認することを前提で移籍する、
の3つ。しかしながら③の選択肢は、ポスティングの主旨、そして球団の補強の前提からしてかなり疑問があると思われる。
ポスティング・システムは、9年相当の日数一軍に在籍していることで生まれる海外FA権の取得以前にMLBへの挑戦を熱望する選手のために設けられた。
このシステムがないころは、野茂英雄のようにNPBから事実上「破門」されてアメリカに渡ることとなった。
失敗してもNPBへの帰参が難しいし、選手は大きなリスクを背負うことになる。
チームにしても選手をむざむざ失うことになり、メリットがなかった。
そこで、MLBとの協議のうえで、ポスティング・システムが導入されたのだ。
ポスティング・システムができたことで、選手は「喧嘩別れ」でなくMLBに移籍することができる。
球団側はその補償として多額の入札金を得ることができる。かつては青天井だったが、今は2000万ドルと言う上限が設けられた。
MLB側は、ポスティングによる移籍にかかった費用はぜいたく税の対象にならない。またFA権の譲渡のようにドラフト指名権を譲る必要もない。
3者ともにそれなりの納得性のある決着となっている。
ポスティング・システムが適用される選手の多くは、キャリア8年未満だがチームで抜群の成績を残している選手だ。
例外的にそれ以外の選手がポスティングで移籍することもあるが、それはある意味の「金銭トレード」のようなものだ。
短いながらも多大な貢献をした選手に対し、球団は特段の理解を示す。その見返りとして巨額の費用も得る。
松坂大輔、ダルビッシュ有、田中将大などNPBのエースクラスはこのシステムで移籍した。
彼らは好成績を上げ続け、NPBでは「もうやることがない」状態になっていた。
球団側も財政的に「彼らを抱えることが難しい」状況になっていた。
ポスティングによる移籍は、ある意味で必然性があったのだ。
しかし金子の③の話は、少し様相が違う。
海外移籍を要望する選手と「翌年にはポスティング・システムで移籍する」前提で、1年だけ契約を結ぶというのだ。
移籍先の球団にとってのメリットは
① 実力のある選手を他球団に取られなくて済む
② 1年だけだが、チームの戦力となる
③ 最高で2000万ドルの入札金が入ってくる
の3つだが、実質的には③だろう。金子に1年でどれだけ年俸を払うかはわからないが、5億円だとしても15億円の「利益」がある。これは多くの球団の年俸総額の40%前後になる。
「美味しい商売」だといえよう。
しかし、このビジネスには「ファン」というステークホルダーのことが全く考慮されていない。
来シーズン、新しいエースがやってくる。しかし彼は1年限定。翌年にはいなくなることが決まっている。そんな投手がローテーションに割り込んでくる。
ファンは他の投手と同様、声援を送ることができるだろうか。
ポスティング・システムはこういう適用を想定していなかったと思われる。
あくまで若くて実績のある選手のスムーズな移籍を促進し、球団側にも大きな損失がないように配慮されている。
ポスティング・フィーは選手の年俸や育成にかかわる諸々のコストに対する見返りと見ることもできよう。
しかし、今回のケースではポスティング・フィーは球団の「販売益」になってしまっている。
こういうのを「モラル・ハザード」というのではないか。制度の盲点をついて、本旨とは異なる目的で制度を利用し、利得を得る。
かつての「江川事件」やドラフト制度の骨抜き化など、NPBではモラル・ハザードが結構多く見られたが、今回は新しいケースだ。
金子に対して③のオファーを出している球団は「野球興行」よりも「金儲け」を優先していると言われても仕方がないだろう。
巨人の原監督がクレームをつけていると言われる。東スポより
他球団に、メジャーまでの“腰掛け移籍”を容認した上で右腕獲得を狙う動きがあることに敏感に反応。名指しこそしなかったが「どこぞの球団はFAの大目玉をさ、1年獲って、1年でポスティングで(メジャーに)出してって、そんなことを考えている球団もいるんだな。世も末だな。それをやられたんじゃ、オリックス球団もやってられないな。節操がない」とチクリ。
さらに「わが軍はそういうことはないだろ。節操、規律。(巨人は)プロ野球の規律は守るよ。『正々堂々、戦うことを誓います』だよ」。エース強奪へ「なんでもあり」な状況を正すべく“球界の盟主”として一言モノ申したかったようだ。
「モラルハザードの本家みたいな巨人が厚かましい」という意見もあるだろうが、原個人の意見としては真っ当だと思う。
昨日はその話に続いて、金子が遊離軟骨(ねずみ)除去の手術を受けることが明らかになった。2011年に続いて2回目。
この手術と、ポスティングによる移籍断念がどのように関係しているかわからないが、このタイミングでの発表は異例だ。
金子の「商品価値」が大きく下がる可能性もあるだろう。
アーン・テレム、団野村という代理人の思惑も働いているのだろう。
しかしながら金子の前途を考えるならば「おかしなこと」はしない方が良いだろう。
もっとも真っ当で、ファンや世間が納得する選択肢を選ぶべきだと思う。
私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!
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1973年成田文男、全登板成績
広尾晃、3冊目の本が出ました。


金子は事実上、今年、ポスティングでMLBに移籍する道が閉ざされた。オリックスの宮内オーナーが難色を示したからだといわれている。
昨日もふれたとおり、金子の選択肢は、
① 来季も球団に残留してポスティングでの海外移籍を目指す
② 国内の他球団にFA移籍をして4年後の海外移籍を目指す(あるいはMLB挑戦を断念する)
③ 他球団に1年契約で翌年のポスティングを承認することを前提で移籍する、
の3つ。しかしながら③の選択肢は、ポスティングの主旨、そして球団の補強の前提からしてかなり疑問があると思われる。
ポスティング・システムは、9年相当の日数一軍に在籍していることで生まれる海外FA権の取得以前にMLBへの挑戦を熱望する選手のために設けられた。
このシステムがないころは、野茂英雄のようにNPBから事実上「破門」されてアメリカに渡ることとなった。
失敗してもNPBへの帰参が難しいし、選手は大きなリスクを背負うことになる。
チームにしても選手をむざむざ失うことになり、メリットがなかった。
そこで、MLBとの協議のうえで、ポスティング・システムが導入されたのだ。
ポスティング・システムができたことで、選手は「喧嘩別れ」でなくMLBに移籍することができる。
球団側はその補償として多額の入札金を得ることができる。かつては青天井だったが、今は2000万ドルと言う上限が設けられた。
MLB側は、ポスティングによる移籍にかかった費用はぜいたく税の対象にならない。またFA権の譲渡のようにドラフト指名権を譲る必要もない。
3者ともにそれなりの納得性のある決着となっている。
ポスティング・システムが適用される選手の多くは、キャリア8年未満だがチームで抜群の成績を残している選手だ。
例外的にそれ以外の選手がポスティングで移籍することもあるが、それはある意味の「金銭トレード」のようなものだ。
短いながらも多大な貢献をした選手に対し、球団は特段の理解を示す。その見返りとして巨額の費用も得る。
松坂大輔、ダルビッシュ有、田中将大などNPBのエースクラスはこのシステムで移籍した。
彼らは好成績を上げ続け、NPBでは「もうやることがない」状態になっていた。
球団側も財政的に「彼らを抱えることが難しい」状況になっていた。
ポスティングによる移籍は、ある意味で必然性があったのだ。
しかし金子の③の話は、少し様相が違う。
海外移籍を要望する選手と「翌年にはポスティング・システムで移籍する」前提で、1年だけ契約を結ぶというのだ。
移籍先の球団にとってのメリットは
① 実力のある選手を他球団に取られなくて済む
② 1年だけだが、チームの戦力となる
③ 最高で2000万ドルの入札金が入ってくる
の3つだが、実質的には③だろう。金子に1年でどれだけ年俸を払うかはわからないが、5億円だとしても15億円の「利益」がある。これは多くの球団の年俸総額の40%前後になる。
「美味しい商売」だといえよう。
しかし、このビジネスには「ファン」というステークホルダーのことが全く考慮されていない。
来シーズン、新しいエースがやってくる。しかし彼は1年限定。翌年にはいなくなることが決まっている。そんな投手がローテーションに割り込んでくる。
ファンは他の投手と同様、声援を送ることができるだろうか。
ポスティング・システムはこういう適用を想定していなかったと思われる。
あくまで若くて実績のある選手のスムーズな移籍を促進し、球団側にも大きな損失がないように配慮されている。
ポスティング・フィーは選手の年俸や育成にかかわる諸々のコストに対する見返りと見ることもできよう。
しかし、今回のケースではポスティング・フィーは球団の「販売益」になってしまっている。
こういうのを「モラル・ハザード」というのではないか。制度の盲点をついて、本旨とは異なる目的で制度を利用し、利得を得る。
かつての「江川事件」やドラフト制度の骨抜き化など、NPBではモラル・ハザードが結構多く見られたが、今回は新しいケースだ。
金子に対して③のオファーを出している球団は「野球興行」よりも「金儲け」を優先していると言われても仕方がないだろう。
巨人の原監督がクレームをつけていると言われる。東スポより
他球団に、メジャーまでの“腰掛け移籍”を容認した上で右腕獲得を狙う動きがあることに敏感に反応。名指しこそしなかったが「どこぞの球団はFAの大目玉をさ、1年獲って、1年でポスティングで(メジャーに)出してって、そんなことを考えている球団もいるんだな。世も末だな。それをやられたんじゃ、オリックス球団もやってられないな。節操がない」とチクリ。
さらに「わが軍はそういうことはないだろ。節操、規律。(巨人は)プロ野球の規律は守るよ。『正々堂々、戦うことを誓います』だよ」。エース強奪へ「なんでもあり」な状況を正すべく“球界の盟主”として一言モノ申したかったようだ。
「モラルハザードの本家みたいな巨人が厚かましい」という意見もあるだろうが、原個人の意見としては真っ当だと思う。
昨日はその話に続いて、金子が遊離軟骨(ねずみ)除去の手術を受けることが明らかになった。2011年に続いて2回目。
この手術と、ポスティングによる移籍断念がどのように関係しているかわからないが、このタイミングでの発表は異例だ。
金子の「商品価値」が大きく下がる可能性もあるだろう。
アーン・テレム、団野村という代理人の思惑も働いているのだろう。
しかしながら金子の前途を考えるならば「おかしなこと」はしない方が良いだろう。
もっとも真っ当で、ファンや世間が納得する選択肢を選ぶべきだと思う。
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コメント
コメント一覧
アマチュア球界では似たような事例が逆指名時代以前によくありました。プロチームが意中のアマチュア選手(主に高校生)を、「3~4年後に指名するから」として社会人チームに入れて他球団が手を出せないようにするやり方です。内海が代表例か。
金子に比べると話題性の低かった大塚、週刊誌ぐらいしか取り上げないドラフト裏ネタと異なり、金子は有名になりすぎているから、腰掛け前提で獲得に乗り出す球団はかなり大胆不敵ですね。
>金子に1年でどれだけ年俸を払うかはわからないが、5億円だとしても15億円の「利益」がある。
FA移籍後の初年度は、年俸据え置きという規定になっていますので、来季の年俸は今季の推定年俸である2億円ということになります。これに金銭補償、そして人的補償の可能性があり、これらすべてが金子を実質的に1年契約で獲得する際のコストということになりますね。
噂のあるドラゴンズですが、確かに腰掛け移籍だとしてよく思わないファンがいるのも事実です。しかし、昨年の楽天はほぼ1年限定での来日が確実な状況でケビン・ユーキリスを獲得しましたが、割り切れるファンであるならば、そういう考え方もできるでしょう。
ちなみに大塚の時は、近鉄最終年にポスティングにかけられた際、入札0という本人にとっては屈辱的な扱いでした。1年後の入札金も3000万円ほどでしたし、商売になったというレベルではないですね。ただ、戦力としてはまずまずの働きをしてくれたので、そんなに悪い印象はないですよ。
中日にとってどうか、と言う話だけではないでしょう。モラル・ハザードは食い止めないと。
そのように制度改正されれば、
本気でMLBに行きたい選手が、
海外FAできるのにわざわざ国内FAをしてから翌年にポスティングで行くことはなくなるでしょう。
選手に全くメリットがありませんから。
併せてドラフトも完全ウェーバーにして、FA権取得年数は5年くらいにすればよいでしょう。
助っ人感覚で大助かりです
ただオリックスの立場になると、心穏やかではいられませんね
既に何人かの方が挙げられていますが、国内と国外FAの時差を無くすのが手っ取り早いですね。元々FA獲得期間を短縮したい選手会側と維持したい球団側との妥協の産物での妙な取り決めですし。
中継ぎとエースの違いはあるのではないでしょうか。1年限定のエースってどうでしょうか。
私個人の感覚としては中継ぎも先発エースも同様に有りですね。MLBなんかだと1年どころか3ヶ月限定のエースもあり得ますし。ただ私は一つの球団を熱烈に応援するファンではないので、そういったファンの実際の所は想像するしかありません。
それで想像するに、今回の想定ケースでは歓迎する人のほうが多いんじゃないかなあと思うわけです。入団時の金子の対応次第で受け入れられ方が変わってくるとは思いますが、まあその辺は上手くやるでしょう。優勝請負人という便利な言葉もありますし「一年限定ですがチームのため精一杯頑張ります」と高らかに宣言して実際に活躍すれば支持されるのでは。前述の通り、この手法自体は反対ですけどね。
そんなものかも知れません。ただ、常態化してほしくないなあ。
感情面の話になりますが、先の金子の記事でもコメントしたのですが、フラッグシップディールなどでほんの数か月しか自チームに存在しない選手が当たり前にいるMLBだと今回の金子の件は手順も含め別にOKって感じなんでしょうか?
今季だとレスターが数か月だけOAKに行ってオフにはBOSに戻る話が当初からありましたが(そして実際そうなりそう?)
個人的にはNPBもMLBくらい移籍が活発化してほしいと思っているので、1年限定エースもありだと思いますが、1年限定は結果論であって残留の可能性がちょっとでもあると思えないと応援しにくいのではと思います
でも金子クラスの投手を1年贔屓チームで応援できるならそれでもいいのかなぁという気もしなくもなく分からないですね・・・
あとチームメイトはどう思うのかとかも気になるところです
いずれにせよ根本原因は制度にあると思うのでその辺を再考する機会としてほしいですね
MLBではなんてことないでしょうね。ただポスティングフィーが「濡れ手に粟」な感じがします。MLBではこういう制度は成り立たないように思います。
オリックスはたまったもんじゃないというならポスティングを認めればいいだけのことじゃないですか?
それと原巨人も金子獲得を狙っているプレイヤーの一員である事、つまりポジショントークが相当含まれていることを加味した上で、発言が真っ当であるかどうか評価していただければと思います
ポスティングの主旨から逸脱したやり方が広がっていくのは危惧すべきでしょう。違法ではないが本来の主旨とは異なる、これがモラルハザードです。
原監督の底意がどこにあるかはこの際関係ありません。
戦力の確保と均衡という大義名分で選手を縛り、選手の希望が通りにくい状況だから、ルールを守るのではなく、ルールを上手く利用したろ、みたいな事になるんです。
かつて、オリックスの某スカウトがドラフト拒否に悩み自殺という悲劇を生んでしまった際に、二宮清純氏が「ルールは人を守るためにあって、決して人を縛るためのものではない。ましてや、人を死に至らしめるルールなんてあってはならない。」と述べていましたが、この言葉が身にしみてきます。
つくづく疑問なんですがなんで金子は国内FAも同時に使ってるんでしょう?
こちらのほうが契約がうまくいくと思ったのかそれとも怪我してたのが関係してるのか
>この問題、国内FAと海外FAの資格取得期間差を解消したら済む話です。
選手側とMLBにとっての解決にはなり得ますが、選手を出す側のNPB球団にとっては根本的な解決とはなり得ないでしょう。国内FAと海外FAで、「見返り」の差があるという点がないがしろにされています。
また、前田健太は2013年のオフ、会見でこう語っています。
「来年に関しては契約しているカープのために頑張りたい。ただ(メジャーに)憧れがない、行きたくないと言えばウソになる。憧れはあるし、行ってみたい気持ちもある。チームにとっても自分にとっても、プラスになる形で迎えられたらと思う」
彼は同じ会見で「チームに恩返しできる形がベスト」とも言っていますが、こういう選手もいるわけですし、むしろ当然だとも思います。同じような考えの選手はおそらく他にもいることでしょう。
「FAを統一すればハイ終わり」というご意見は、おそらくプレーヤーズファーストの観点から仰っているのだと推察されますが、であるならば、上述したような意見もあるということも念頭に置いて、選手、NPB球団、MLB球団のすべてにとってよりよい方法を考えるべきでしょう。
同感。
でも昔の巨人みたいな理屈は通らないと思いますけどね。戦力の均衡は、個々の球団の目標ではないかもしれませんが、リーグ運営では不可欠です。
大塚晶文のときは、「近鉄ファンからは」バッシングがありましたよ。ポスティングが認められた時点で、メジャーに行ける気になっていたところ、まさかの入札無しということで同情の余地こそありますが、本来なら残留してしかるべきところです。
ただ、当時の近鉄は、野茂に始まり、石井浩郎、大塚、そして合併時の岩隈と、無理にリリースせざるを得なくなったケースが続きましたので、大塚の件が埋没した面はあるかもしれません。それに、近鉄フロントが交渉席上選手に言わずもがなの侮辱的なことを言って、それが報道されて球団側に同情的な見方が、第三者的には生じなかったという側面もあります。が、素直に球団を応援しているファンから見れば、酷い話なのは違いありません。今回も含めれば、金子はOK、野茂はまあ許容範囲、岩隈・大塚・石井はまとめてNGといった感じです。
抜群の実績を残した若い選手のメジャー移籍をスムーズにするというポスティングの本来の趣旨からして、特に30歳という金子の年齢を考慮してポスティングにかけてやるべきなのです
オリックスはその本来の趣旨を蹴っ飛ばして金子をポスティングにかけないというわけですから、金子及び他球団がなんでその本来の趣旨を汲んで行動する必要があるんでしょうか
むしろポスティングの趣旨を毀損しているのはオリックスや巨人やSBなどハナからポスティングはやらないと宣言している球団ではないですか
誰かが問題のある判断をしたからと言って、他の球団や選手がモラルハザードをしてよい理由にはなりません。
ポスティングを認可する権限は球団にありますし、戦力が高まっている中で選手を手放したくないと思うのも首肯できると思いますが。
「あいつが悪いから、うちもこう動いた」という空気こそ問題だと思います。いずれにしてもこれ以上の進展は食い止めるべきだと思います。
2011年は出遅れた上にCSのかかった大事な試合で負け、2012年は故障でほとんど働かず、今年も大事なところで離脱してCSでも敗北。
この程度では到底やり残したことがないなどとは言えませんし、球団も許可したくないでしょう。
そもそも去年までメジャー願望がないとか言ってたのに、なぜ今になってごちゃごちゃ騒ぎ出したのか。
金に目が眩んだのか知りませんが、もっと前から球団と話し合っておかないのが悪い。
そもそも虚弱症がメジャーなど、やめた方がいいと思いますね。
確かに、「国内FAと海外FAで、「見返り」の差があるという点がないがしろにされる」というご指摘はその通りですし、
正直に言えば、私も引っかかりを感じながらコメントしていました。
国内外のFAを統一するならば、海外球団からも国内FAの補償に見合うだけの金銭補償を得られる協定が必要になるでしょう。
そこが頭の痛いところですが・・・・。
今後FA制度がどのような形になるにせよ、FA前に移籍できるポスティング制度は、選手のためにも球団のためにも必要だと思います。
個人的には、大谷に1年でも早く行ってもらいたいと思っていますから、そのためにも絶対になくならないで欲しいと強く願っています。
現行ポスティング制度は来シーズンオフの移籍までしか有効ではありませんから気になるところです。
前田健太のように、移籍金によって所属球団に恩返ししたい選手は、今後も現れると私も思います。
極端なことを言えば、海外FA権があるにもかかわらず、ポスティング申請をする選手が現れるかもしれませんね。(極端すぎますね。笑)
元Deの藤井事件とかあったのに、それを放置したツケという気がしますね。
ちなみに、国内FAで1年だけ移籍してポスティングっていうのも、個人的には全然アリだと思いますよ。
助っ人外国人選手はみんな基本的にはそうですし、MLBのFlagship dealなんて、1年どころかシーズン後半戦だけの在籍だったりするわけですし、それをモラルハザードと呼ぶ人は少ないのではないかと。
今回の金子のFAは、個人的には金子のオリックスに対するある種の温情だったのではないかと。
本音は今年MLBに行きたかったけど、自分には国内FAしかない。ポスティングしてくれれば、球団はポスティングフィーを手にできるし、自分はMLBに行ける。国内FAを宣言すれば、いずれにせよ球団に対してはポスティングより少ない見返りで自分は出て行くかもしれない。そうして決断を迫ったのではないかと思います。
それでもオリックスは首を縦には振らなかった。金子はオリックスに愛想を尽かしたのではないかと。残留したところでFAは使ってしまった以上、来年MLB挑戦は不可能なわけですし。金子本人にとっては、今年FA宣言しないで来年海外FAしても、今年国内FAで1年契約で移籍しても大差ないわけですし、もはや失う物のない宣言だったように思います。
こういった事象を防ぐには、やはり海外と国内のFAの期間は統一するべきでしょうね。
かつての江川事件で言えば、あれも当時のNPBにFA制度がなかったことが根本的な原因だと言うこともできるわけで(と言うか、実際そうだと思いますが)、そうであれば、制度の不備を理由にして巨人のモラルハザードを肯定すべきなのかという話です。
オリックス以外の他球団にとっても、今回の件は「明日は我が身」になり得るわけですから、ポスティングを前提とした金子の獲得からは手を引くというのが球界の秩序を守り、モラルを守ることに繋がるはずです。
そもそも論として「ルールが未整備」「明確な抜け穴がある」なことが一番に糾弾されるべきで、そのルールに則って正当に主張を通そうとすること自体を責められるいわれはないはずです。文句言うくらいなら先に整備しとけよ、的な。
ポスティングを認める球団・認めない球団がある以上、遅かれ早かれこの手の問題は起きたはずです。ここで12球団が結託して契約を結ばなない、とかやればそれは事実上のカルテルで独占禁止法に抵触します。
これを「節操がない」とか批判したりなどしているから、交渉時にMLBにいいようにされるんだと思いますよ。
あの時だって野茂・団野村チームは任意引退を近鉄から引き出すため確信犯的にかなり際どい戦術を繰り出しました
これに対し巻き起こったのは「球界の秩序派」「モラルハザードだ派」によるバッシングでした
広尾さんやG3さんのような人は当然、当時野茂に石を投げる側の人間だったんでしょうが、今や野茂のこうした智略を否定的に語る人はほとんどいませんね
金子がやろうとしたのは今オフのポスティングをオリックスに認めさせることであって、メジャー行きを実現するためふっかけるだけふっかけて「任意引退」を引き出した野茂と変わりありません
金子の場合、「ヨソに移籍してポスティングしてもらうかもしれないけどそれでいいの?大損でしょ?」というふっかけです
このふっかけには「ヨソの球団」が必要で、手を挙げたのが中日やDeだったというだけのことです
広尾さんは中日やDeが手を挙げた理由を転売益だと断定してますが、巨人や阪神のようなライバルチームに行かせないための仕掛けという側面も大きいでしょう
それ自体悪いことですか?
これはプロ同士の智略戦争なんじゃないですか
こういう戦いにモラルを持ち出す方がむしろおかしい
百歩譲って広尾さんは利害関係人ではないから善意で言っているだけかもしれませんが、金子狙いを公然化している巨人の監督が「球界の規律」とやらを持ち出して他球団にビーンボールを投げた発言は、完全なるポジショントークであってそこで語られる「正義」には眉にツバを塗りまくって聞くべきものでしょうし、それも智略戦争の一環であると冷静に判断するのが通な見方ではないですか
そもそもポスティング運用に関して各球団のスタイルがバラバラなのに全球団全選手側にだけ一方的なポスティングモラルを強いる事は如何なものか。
(金子例に限らず)ポスティングを決して承認する気がない球団所属の選手は座して海外FAを待つしかないのか?
※大谷の様にポスティング云々が入団時の交渉材料になり得るならFA時の交渉材料にしても何ら不思議は無い気がしますが…。
金子クラス(多額のポスティングフィーが見込めるレベル)が海外FA直前でポスティングをしない球団所属に対して「ポスティング承認してくれる球団に行きたい」と選択するのはそれほど奇抜な発想には思えません。
ポスティング承認権が球団側に委ねられているのだから選手側にすれば当然考えられる選択肢なはず。
またその際発生するポスティングビジネスの功罪全てを選手個人に背負わすのはこりゃ厳しい話。
これがNPB的モラル外れだとするなら【やってられるか!】と飛び出した野茂英雄たるや。
だが今や名前通り英雄です。
ただこんな選手が出てこないと硬直化したNPB制度は少しも動かない事も事実で金子が当年MLB宣言を引っ込めたのは少々不満であり野茂イズムは何処に行ったんだと。(怪我と関係あるのでしょうか?)
正直この形で残留しても来季はリハビリに過ぎないと思われ…。
この件が今後のポスティング案件にどの様な影響を与えるのか、未来に続く選手により良い選択肢が整備されると良いのですがねぇ。
大谷や藤浪や柳田がポスティングを意識し始めるのはそう遠くないのですから。
皆さんのご意見を読むだけでいろいろ刺激になります。
>広尾さん
>MLBではなんてことないでしょうね。ただポスティングフィーが「濡れ手に粟」な感じがします。MLBではこういう制度は成り立たないように思います。
遅レスですがお返事ありがとうございます。
やっぱりそうなのですね。OAKファンとか毎年どういう気持ちなのか物凄く気になります(笑。
確かにそもそもMLBならもっと巧い制度を考えつきそうですが・・・。
制度は盲点を突かれることで改善されるものでしょうし、モラルは日々基準が変わっていくものですから、その辺踏まえて今回の件はどう着地すると今後いいようになっていくのか、という点で今後の展開に興味があるのですが、金子は第二の野茂になれるのかどうか・・・。
しっくりくるのは
オリックス残留→ポスティングで移籍→「これじゃ海外FA権の意味無くね?」と議論されてFA及びポスティング制度見直し
みたいな流れですかね。ただオリックスはポスティングを認めないと言ってるみたいなのでこの線は無いのか・・・しかしかつて阪神タイガースもポスティングは認めないと言っていた方針を転換して井川詐欺で30億稼いでるわけなのでまだ目はあるのではとも思いますが。
それを言うならば、7年連続で首位打者を獲得した「背番号51」は、どうやってマリナーズに入団したのか。前例はありますからね。
「特定球団への入団」がゴリ押しと捉らえられるのに対し、「MLBへの移籍」には挑戦・冒険というイメージが連想されるからでしょうか。
私はどちらかというと否定的な立場(江川事件に比べれば全然)だったんですが、野茂のケースとの比較を見るに、「これもアリなのかな」とも思ったりもします。
しかし、オリックス以外の球団が、それに乗じて金子を獲得してポスティングフィーも得ようというからモラルハザードなわけです。これは明らかにポスティングの趣旨に反していますからね。
金子個人の問題と、金子を獲得しようとする球団の問題を分けて考えないとモラルハザードの問題は理解できないと思います。
もし自分がコミッショナーだったら、金子が国内FAを経てポスティングでメジャーに行った場合に、メジャー球団からの譲渡金について、金子が9年在籍したオリックスに9割、1年しか在籍しなかった国内他球団に1割という9:1の分割をやりたいですね。それなら納得感がありますね。
余談ですが、自分は野茂がやったことは江川と同じだと思っています。野茂がメジャーで残した業績は評価しますが、移籍の方法は今でもダメだと思っています。そのへんの「功」と「罪」は本来分けて考えるべきなのですが、多くの人は一緒くたにして結果オーライで許してしまっているようですね。それは自分にとっては、とても不思議なことです。
それと江川がやったことと野茂がやったことは同じというのはおかしいですよね
江川の件は江川が絵図を書いたのではなく巨人が絵を描いたんであって、野茂のように選手の側が主体的に動いたのではありません
罪を負うべきは巨人でしょう
功罪分けて考えるべきなどというのは実に原監督と似た「建前論」であって現実には野茂が悪者になっても構わないという勇気を振るってメジャーへ行かなければ、道は開けませんでした
第一、野茂がやったことの功績はあまりにも大きいし、元はといえば近鉄球団の球団運営があまりにもひどかったので愛想をつかせて出て行こうという事になったのが野茂のケースですので、野茂と団野村チームが取った行動が一見非道に見えたとしても、罪の部分で情状酌量の余地は十分あるのです
だからこそ、野茂は今やパイオニアとして賞賛を受けているわけです
対して江川事件は‥あえて言うまでもないでしょう
罪しかありませんからね
金子の問題と野茂の問題は同根でしょう。海外に行きたいけど球団は認めない。だからギリギリの手段を用いよう、と。
私は野茂の移籍には?でしたし、近鉄の対応の不味さも、オリックスの非情さも、企業として見ると「妥当」なわけです。
海外FAという制度があるのだから、金子は堂々と出ていったら良かったと思います。
まあ、常に巨人と共同歩調のオリックスには初めから選択肢などなかったかと思いますが。
とりあえず広尾さんとしては、制度が有るのだから、球団の「横暴」にも選手は耐えろ、て言うことなんですよね?最後に煽ってすいません。
「空白の一日事件」があそこまで非難されたのは、小林繁投手という、まさに理不尽な「人的補償移籍」が発生したからでしょう。
11月28日
だれが、どのようにモラル・ハザードを起しそうなのか?上
だれが、どのようにモラル・ハザードを起しそうなのか?下