これまでNPBでMVPが該当者なしだった年はない。どうしても選ばなければならないものだろう。だから無理めの選出も出てくる。
今季のMVPは、オリックスの金子千尋と巨人の菅野智之。両方とも投手だった。
しかし両者の成績はかなり違う。
金子は最多勝、防御率1位、リーグトップの投手だったことは誰もが認めるところだ。
しかし菅野は防御率のタイトルこそ獲得したものの、投球回数は規定を14.2回上回るだけ。8月1か月をほぼ全休したからだ。
勝ち星はわずか12、これはMVPを受賞した先発投手としては99年の工藤公康(ダイエー)の11勝についで2番目に低い。
巨人の陣容を見渡しても「成績抜群」の選手が見当たらず、「強いて上げれば菅野」という形で選ばれたように思われる。

MVPは運動記者の投票によって選ばれる。またレバレッジを掛けた複数投票制になっていて、さまざまな考え方が混合される。
過去のMVP選手の成績を見ても、首尾一貫した選出ではなかったことがわかる。
過去10年のMVP選手とその成績。成績の横の整数はリーグ順位。
表外に私の印象で、MVPの内容的な評価をした

NPB-MVP


20人のMVPのうち、16人が優勝チームから選ばれている。やはり「優勝に貢献した選手」から優先的に選ばれると言うことだ。
次いで、突出した成績を残した選手。代表格が2013年のバレンティンだ。
2011年の浅尾も45ホールドという大記録が評価されたものだろう。

優勝チームに突出した成績を上げた選手が出れば、文句なしだ。私の評価でいえばWSということになる。2013年の田中将大がその典型。
しかし、そういう選手が見当たらない時に、選出基準はぶれるのだ。
相対評価で選ぶことになる。
その結果として「え、これでMVP?」みたいな選考になる。!が付いた選手がそれだ。

!のついた選手には投手が多い。優勝チームで比較的貢献度が高い選手が結果的に選ばれると言うことだ。

菅野にとって、今季の成績は決して満足できるものではないだろう。今どきの先発投手の目標は「200回15勝」くらいだと思う。それを大きく下回っている。
それでもMVPを取ったことに釈然としない思いがあるのではないか。

こういう年はMVPを選出しなくても良いのではないか。「該当者なし」という選択肢があっても良いと思う。


私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!




クラシックSTATS鑑賞もご覧ください。
1973年成田文男、全登板成績


広尾晃、3冊目の本が出ました。