産経ニュース
米大リーグのヤンキースからフリーエージェント(FA)となった黒田博樹投手(39)が来季、プロ野球広島に復帰することが26日、球界関係者への取材で分かった。8年ぶりの日本球界でのプレーとなる。
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来年2月に40歳となる黒田は今季11勝(9敗)を挙げ、大リーグの日本選手で初となる5年連続2桁勝利を記録した。ヤンキースは再契約を望んでいた。大リーグで主力として活躍を続ける選手の日本復帰は異例。

その可能性は常に言われていたが、私には信じられない話ではある。

NPBは、プレーのレベル、興行形態、経済規模、経営手腕、すべてにおいてMLBに大きく劣っている。
NPBのスター選手がなぜ、リスクを承知でMLBにいくのか?
それは、「MLBの方が上」だからだ。
野球選手として小さい頃から競争に勝ち、他の選手とは「別格」だった選手たちは、NPBが「上がり」だとは思えなくなった。
MLBが日本人の意識の中に無かった頃は、日本人選手たちはNPBで満足していた。パリーグの選手たちは、実績を積むと、同じNPBでも待遇や人気面で全く違うセリーグ、とりわけ巨人への移籍を望んだ。
MLBという「天の岩戸」を野茂英雄がこじ開けてからは、トップクラスの選手たちの目は巨人ではなくMLBに向けられた。
MLBは、昔の巨人に代わる「上がり」になったのだ。

ファンの意識も同様だ。多くの野球ファンは77年のフジテレビ「大リーグアワー」で蒙を啓かされた。海の向こうに遙かに大きな「もう一つの野球」がある。
しかし、それは我々には手が届かない世界だった。
これを日本人にとっても「リアルな世界だ」と思わせたのが野茂英雄だった。
近鉄バファローズと言うローカルなチームで「お山の大将」だった野茂が、大リーガーを相手に投げている。通用している。三振をばったばったと奪っている。
これは、驚異だった。
二流の外国人選手が好き放題に本塁打を打ちまくっているNPBなど、MLBには比べるべくもない、と思っていた日本人ファンの意識は、野茂の活躍で一気にMLBに向いた。

これに拍車をかけたのがイチローだ。日本人選手は投手だけでなく、野手もMLBに通用する。
イチローはほとんど休まず試合に出続け、それをNHK-BSが追いかけ、日本のメディアは毎日報道したから、日本人のファンは日常的にMLBの情報をシャワーのように浴びるようになった。

このときから、日本の野球ファンは二つの層に分かれたといってよいだろう。
一つは、NPBの上にMLBがあるとし、そのヒエラルキーの中で野球を見る層=インターナショナル。
二つ目は、MLBには目をそむけ、あくまでNPBの秩序の中で贔屓チームを応援しようとする層=ドメスティック。

近年の応援団熱の高まりと、ドメスティック層の形成は無縁ではないように思える。

NPB、とりわけ巨人の試合の地上波放送における視聴率の低下も、この時から顕著になった。
MLBのプレーと比べて、NPBのプレーは見劣りするように思えた。試合運びやエンタテイメントなどもMLBの方が上だった。
イチローの活躍とともにMLB関連の雑誌や書籍が雨後の筍のように増えだした。そのブームの高まりは、90年前後の「F1ブーム」を想起させた。
人々は、そうした情報を得て「NPBはMLBに比べて劣っている」という認識を持つようになった。

ただ、強調すべきは、そうした野球ファンであっても「NPBに見切りをつけてMLBだけを見るようになった」層はそれほど多くなかったと言うことだ。

「野球そのものが好き」なファンにとって、「見に行くことができる野球」であるNPBと、「仰ぎ見る存在」であるMLBができたことは「楽しみが増えた」ことだ。
両者を相対的に比較すると言う新たな「議論」を楽しむようになったのだ。

以下、続く



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