今朝のTBS系情報番組「サンデーモーニング」での、黒田博樹の広島復帰をめぐる張本勲の発言
張本「久しぶりに素晴らしいニュース、胸が詰まりましたよ。お金は誰でも欲しいですよ。私でも欲しいよ。若いときは誰でも欲しい。でも安定した生活の(になった)ときはなかなか帰れないもんなんですよ。しかも十何億(円)を捨ててくるんでしょ」

関口清治「しかもいろんなところから引き合いがあるのに、あえて戻ると言う」

張本「39歳だけどまだ3年くらいはエースとして活躍できる人ですよ」

関口「だって11勝してるんだもんね」

張本「それが帰ってくるいうのは、まあ、久しぶりに武士、日本男子を見たような気がしますよ」

関口「あっぱれ?」

張本「いや、まだね、契約していないから(笑い)、何が起きるかわからないじゃないですか」

関口「はあ」

張本「一番うれしかったのは古巣に戻ってるから。アメリカ行って活躍した選手は自分の古巣に帰った人は誰もいないんだ。広島に高橋建がいますけど、1年でやめましたけどね。こういう選手はほとんどいないんですよ。最後は男はね、関口さん、義理とね、胸がぐっと来たから言いにくいんだけど、義理とプライドですよ。ほかの選手も見習ってもらいたい」

清水宏保「広島に(黒田が帰ってきたら)ほかの選手には、プレッシャーでしょうね。優勝しなきゃっていう」

関口「いい刺激にもなるし、人気も上がるし。カープ女子も大変ですよ」

張本「裏を返せば広島カープは良い球団なんですよ。(黒田は)11年広島おったんですよ。だから懐かしさもあるけどね。大阪出身なんですけどね、カープ球団にあっぱれあげてください」


思っていたより抑えめの表現だった。内容的には予想通り。「まだ契約していないから」はなかなか抜け目のない良いコメントだ。

張本勲は徹底的なNPB贔屓である。

NPBで育ててもらった選手は、恩返しをしなければならない。MLBに行くなどもってのほか。私たちの頃はアメリカへ行くなんて考えられなかった。日本でずっと頑張るのが正しい。
NPBはMLBよりも緻密でレベルが高い。アメリカなんかに行っても学ぶものはない。
アメリカは年俸が高騰しすぎて、選手が拝金主義になっている。日本人がそれに染まらないか心配だ。


こうした発言を聞くと、張本勲は「日本人による日本の野球が一番」と信じて疑わないように感じられる。

しかし、誰でも知っている通り、張本は在日韓国人であり、今も韓国籍である。そしてKBO(韓国プロ野球)の設立に大きく寄与している。



1940年生まれの張本は、日本人による在日差別を受け続けてきたはずだ。オール日本を手放しで賛仰するのは理解に苦しむ。
また日韓の野球の懸け橋として、国際的な視野も持っているはずなのに、なぜドメスティックな価値観に固執するのか。

その方が、年寄りには受けるのかもしれないが、張本は本気でそう思っているのだろうか?

それにNPB最多安打と言うアンタッチャブルな記録を持つ張本の発言は、若い世代に大きなプレッシャーを与える。

黒田の広島復帰に感動し、ほめたたえるのは張本の自由だが「他の人も見習ってほしい」は迷惑な言葉だ。
黒田の決断は、あくまで黒田自身のものであって、のちのちの手本でも何でもない。
彼はプロフェッショナルとして個の選択をしたのであり、安っぽい「なんたら愛」とは無縁だ(これは私の感想だけれども)。

書くべきことは殆ど書かず、どうでもよいことばかり書き立てるメディアは、黒田の「愛」を量産するだろうが、気持ちの悪い記事はほどほどにしてほしい。

野球選手としての黒田への興味は、MLBで通用した「シンカー」が、今のNPB打者にも通用するかどうかだ。


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