外野席から地鳴りのようにとどろく「キム テ ギュン!」に、胸が躍ったのは、ほんの一年前のことだったが、千葉ロッテの金泰均が、退団を表明した。本人は既に韓国に帰ってしまったのだという。「里心」がついて矢も盾もたまらなくなったのだろう。



WBCでの目を見張る活躍以来、金泰均は、私のアイドルになった。金太郎さんが鎧をまとったような、がっしりした体躯。眼光炯炯、上気した顔でバットを思い切り振り回す。塁に出れば、己が足と相談することもなく果敢に塁を奪う。そこには、若くして収まりかえった日本人選手にはない剥き出しの闘志があった。彼は必ずや日本の野球に旋風を巻き起こしてくれるに違いない。
果たして昨年、NPBの一員となった金は、最初の頃こそ投手の配球を読めずにくるくると三振したが、井口資仁らのアドバイスもあって、慣れてくると好機に快打を連発した。金は、球の見送りかたが素晴らしかった。投手に無言の圧力をかけるような、落ち着き払った堂々たる振る舞いだった。そこには、韓国で偉大な打者の称号を得た者のプライドが横溢していた。
しかしシーズン後半になると、投手は金の弱点を徹底的に突くようになった。金は次第に精彩を欠くようになり、成績は尻すぼみで終わった。
今季も開幕には間に合ったが、すでにこの時点で日本は嫌だと漏らしており、打席でもやる気が感じられないままだった。
何度か紹介してきたが、韓国では高校野球が出来るのは一部のエリートだけである。彼らは授業の大部分を免除され、野球漬けの毎日を送る。公式戦で好成績を挙げると大学、プロに進むことが出来る。ここでも好成績を残すと、たちまち「大選手」の称号を得る事が出来る。金もそういうルートを順調に辿り、KBO屈指の打者となった。大物感がただようのは、彼が一度も挫折する事なくスターダムにのし上がったからだ。
しかしながら、彼らは口は悪いが「野球バカ」の一面がある事は否めない。優遇されて当然、ポジションが用意されて当然、そんな意識が払拭できなかったのだと思う。少なくとも彼には「異文化を学んで吸収する」という賢さはなかったように思う。
NPBの選手にもMLBに渡って同様のカルチャーギャップに苦しんだ選手は少なくない。伊良部秀輝、中村紀洋などがその代表だと思う。新しく挑戦するステージでは、その選手の前の実績はあくまでも「参考記録」にすぎない。原則的には彼らは新人選手と同様にポジションを争って獲得していかなければならない。2002年、前年に大活躍をしたイチローは、キャンプインのときに「まずは今年もポジション取りからですね」と言っていたのを思い出すが、自己を冷静に客観視出来る聡明さが必要なのだと思う。
一言でいえば、金は自尊の念が、現実よりも大きかったのだと思う。故ナンシー関流にいえば「何様度が高い」ということになろうか。これまでの選手と同様、国へ帰ればまた大活躍をしてマスコミから「神の領域」などと褒めそやされるのかも知れない。だとすれば進歩のないことだ。
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WBCでの目を見張る活躍以来、金泰均は、私のアイドルになった。金太郎さんが鎧をまとったような、がっしりした体躯。眼光炯炯、上気した顔でバットを思い切り振り回す。塁に出れば、己が足と相談することもなく果敢に塁を奪う。そこには、若くして収まりかえった日本人選手にはない剥き出しの闘志があった。彼は必ずや日本の野球に旋風を巻き起こしてくれるに違いない。
果たして昨年、NPBの一員となった金は、最初の頃こそ投手の配球を読めずにくるくると三振したが、井口資仁らのアドバイスもあって、慣れてくると好機に快打を連発した。金は、球の見送りかたが素晴らしかった。投手に無言の圧力をかけるような、落ち着き払った堂々たる振る舞いだった。そこには、韓国で偉大な打者の称号を得た者のプライドが横溢していた。
しかしシーズン後半になると、投手は金の弱点を徹底的に突くようになった。金は次第に精彩を欠くようになり、成績は尻すぼみで終わった。
今季も開幕には間に合ったが、すでにこの時点で日本は嫌だと漏らしており、打席でもやる気が感じられないままだった。
何度か紹介してきたが、韓国では高校野球が出来るのは一部のエリートだけである。彼らは授業の大部分を免除され、野球漬けの毎日を送る。公式戦で好成績を挙げると大学、プロに進むことが出来る。ここでも好成績を残すと、たちまち「大選手」の称号を得る事が出来る。金もそういうルートを順調に辿り、KBO屈指の打者となった。大物感がただようのは、彼が一度も挫折する事なくスターダムにのし上がったからだ。
しかしながら、彼らは口は悪いが「野球バカ」の一面がある事は否めない。優遇されて当然、ポジションが用意されて当然、そんな意識が払拭できなかったのだと思う。少なくとも彼には「異文化を学んで吸収する」という賢さはなかったように思う。
NPBの選手にもMLBに渡って同様のカルチャーギャップに苦しんだ選手は少なくない。伊良部秀輝、中村紀洋などがその代表だと思う。新しく挑戦するステージでは、その選手の前の実績はあくまでも「参考記録」にすぎない。原則的には彼らは新人選手と同様にポジションを争って獲得していかなければならない。2002年、前年に大活躍をしたイチローは、キャンプインのときに「まずは今年もポジション取りからですね」と言っていたのを思い出すが、自己を冷静に客観視出来る聡明さが必要なのだと思う。
一言でいえば、金は自尊の念が、現実よりも大きかったのだと思う。故ナンシー関流にいえば「何様度が高い」ということになろうか。これまでの選手と同様、国へ帰ればまた大活躍をしてマスコミから「神の領域」などと褒めそやされるのかも知れない。だとすれば進歩のないことだ。
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