史上最高の安打製造機は、今、「サンデーモーニング」で場外ファウルを打ちまくっている。
3月8日、サッカー日本代表の次期監督に内定したバヒド・ハリルホジッチが1年200万ユーロ(2.7億円)で契約したことについて。

「喝だ!」
「まだ、決まってないから言うけどね。サッカー協会、そんなにお金あるの?」
「莫大な金が外国に流れるのよ。どうして協会の人は外国ばかりに顔を向けるのかね」
「そんなにお金があるなら、被災地、恵まれない子どもたちが日本にいくらでもいるんだよ。ホント、それに寄付してもらいたいわね」


サッカーのことはあまり知らないが、ポスト、アギーレの人選が難航したのは、日本サッカー協会が提示した年俸が低かったからだと聞いている。
世界の一流監督の年俸は数百万ユーロ、1000万ユーロに手が届く監督もいるという。
張本は、スポーツコメンテーターなのだから、出演者の中西哲生に聞くなりして、そのくらいのことは知っておくべきだろう。専門外だとしてもこの発言はひどい。
日本サッカー協会の強化費を、恵まれない子供に使うべきとは、呑み屋の親父の会話としてもレベルが低すぎる。
張本は昨年、
「サッカーやるの?私はサッカー好きだけど、情熱を失ったよ。W杯で惨敗したから」
とも言った。
サッカーファンから袋叩きにあいそうだが、彼は何を言っても許されるのだろう。

張本は本職の野球に関してもおかしなことを言っている。

オープン戦で不振が続く日本ハムの大谷翔平に対して、

「スポーツ選手は絶対というのはないけどね。絶対に5年でダメになりますよ。これだけは断言できる。1つやるのも大変なのに草野球ではないし、両方上手くいくことはない」
関口宏が「松坂も心配ですよ」と話すと、
「松坂はあの程度ですよ。そんなに大きく希望はしていないですよ」

張本はもともと「二刀流は良くない」という持論の持ち主だ。
だから、大谷が不振に陥れば「それ見た事か」と言い募るのは仕方がないのかもしれないが「絶対に5年でダメになる」は、非情な物言いである。返す刀で切って捨てられた松坂も、気の毒である。

張本勲の位置づけをひとことで言うなら「球界のご意見番」ということになろう。
偉大な実績を残し、功成り名遂げて一線を引いた人がつく役どころだ。
「ご意見番」は、通常、個別の事象についてジャーナリストのように取材したり、調査したりしない。これまでの豊富な経験に基づいて、その場で意見を言うのが彼の役割だ。
また、「ご意見番」は「偉い人」だから、誰にも気を使うことなく思ったことを忌憚なく口にすることができる。
張本勲はまさに「ご意見番」と言うステイタスを良いことに、言いたい放題しているのだと思う。

しかしながら「ご意見番」にはそれなりの品格と見識が求められる。度量の広さも必要だ。

一昨年夏、私は敬愛する島村俊治アナウンサーに長時間インタビューをした。
島村アナはNHKで鶴岡一人と実況放送のコンビを組むことが多かった。
ある試合で、島村アナが選手のミスをやや強い口調で指摘した。鶴岡は放送では何も言わなかったが、その日の夜の酒席で
「島ちゃん、確かにあれはミスやったかもしれんが、あの選手には嫁はんも子供もおるんやで」とやんわり諭したそうだ。

解説者として考えるならば、鶴岡も選手のミスを指摘すべきだったかもしれない。
しかし、鶴岡は放送ブースに座ってこそいたが、そのキャリアからしても自他共に許す「ご意見番」だった。
鶴岡は球場についても、「監督や選手に気を使わせたくない」とグランドに降りることは滅多になかったという。現場に降りなくてもすべてお見通しだったのだ。

選手としても監督としても頂点を極めた鶴岡一人は「何を言っても許される」存在だった。しかし、それだからこそ選手や指導者を傷つける発言はしなかったのだ。
鋭い指摘はもっと若い評論家、ジャーナリストにまかせればいい。
自分が関わった放送では、大所高所から選手を励まし、野球界を力づけよう。



張本勲もNPBの頂点に立った偉大な存在である。単なるテレビ受けを狙って浅薄で、どぎつい言葉を吐き続けるのは、偉大な野球人としての彼のキャリアに傷をつけることだと思う。

毎週の「放言」を期待する人がいるから、段々エスカレートしているのだろうが、その発言を聞いて「張本勲に敬意を抱いた」人はほとんどいないだろう。


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