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2か月前の昭和20年代野球倶楽部(変な名前だが、要するにいい歳をした野球ヲタクの集まりである)で、今まで見たこともないようなプレゼンテーションがあった。

「野球の裾野をひろげるために」と題していたから、マーケティングの話かと思ったが、そうではない。
最初に出てきたのはマグカップのふちに引っ掛ける野球選手。女の子のフィギュアが人気だが、あれの野球バージョン。塀際の魔術師などなど。
「いいな!」
と思ったから、商品化の話を切り出したら、
「そういうことではない」
と言われた。
プレゼンターは、雨本洋輔というイラストレーターと、パリーグTVの制作に携わっている澤田洋佑というクリエーター。このWヨースケ、二人とも若くて、草食系のおとなしい男子に見えたが、その実、かなり硬派だ。

野球周辺の様々なもの、ことを切り取って、いろいろに加工し、エンタテインメントとして野球に興味のない人に提供することで、野球の裾野を広げるのだという。

2人は続いて、繁華街を歩く若い女性にプロ野球の併殺シーンを見せて「6-4-3、4-6-3、5-4-3」のどれが好きかを聞く、という映像を提示した。
野球なんか知らないし、全く興味がない女性でも、そう言われればVTRを真剣に見るし、「これが好き」と意見をいうのである。
彼女たちの嗜好に、一定の傾向があることがわかると、いいおやぢのヲタ達からは、期せずして「おー」というこえが上がった。

野球という競技に興味がなくても、その断片を切り取ってうまく見せることができれば、興味を抱かせることもできる。面白いと思わせることができる。

このほかにも、いろいろな試みを見せていただいたが、新鮮で非常に面白かった。
イラストやアートなどもあったが、今までの汗臭いタッチとはかなり違う。

3月15日にも展示が行われた。その時の模様はこちら。

野球絵展「野球を球場の外に連れ出して部屋と仕事を探してやること」

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野球が日本人に愛されるようになって、そろそろ130年が経つ。
それだけ熟成されると、周辺には文化が派生する。
野球そのものではなく、選手やプレーや用具や競技場など、野球を想起させるさまざまなもの、ことに一つ一つ意味や価値が生じ、それを愛好する人ができる。

すでに草創期、正岡子規はこんな野球短歌を詠んでいる(俳人子規は、なぜか野球に関しては短歌しか作っていない)。

ひさかたの アメリカ人の はしめにし ベースボールは 見れとあかぬも

ベースボール うちはつす球キャッチャーの 手にありて ベースを人のゆきかてにする

うちあぐる ボールは高く 雲に入りて 又落ち来る 人の手の中に

これなど、Wヨースケのやっていることにかなり近いと思うが。




グランドで汗を流す選手からはかなり遠いが、そうした周辺文化が多くの人々を引きつけてきた。かく言う当サイトもその辺縁にあるのだが、そうした野球文化の進化系が若い二人の試みなのだろうと思った。

確かにこういう「ひまつぶし」「頭の体操」から野球が好きになる人が出てくるかもしれない。
公園でキャッチボールをする子供が絶えつつある今、重要なことかもしれない。

今日の東京野球ブックフェアでは、彼らの展示も行われる。
これを面白いと思えたら、あなたの野球頭はかなり柔らかい。ぜひ、お試しを。


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