メッセンジャーが不振なのは、NPBをなめているわけでも、省エネ登板をしようとしているわけでもないと思う。
今季の戦績

Messe-01


メッセンジャーは6回前後を投げている。箸にも棒にもかからないということではない。四球も多くない。奪三振は多い。
しかし被安打が激増し、その結果として失点が増えている。
被安打はセイバーメトリシャン、ボロス・マクラッケンの考え方では実力ではなく、運の領域のものだとされる。ということは、今季のメッセは「運が悪い」のか。

被本塁打は投手の責任だとされるが、彼は4試合連続で被弾している。状態は上がっていないと考えるべきだろう。

過去6年のキャリアを被安打、奪三振、与四球を中心に見ていく。太字はリーグ最多。

Messe-02


今も述べたとおり、メッセンジャーの制球力や奪三振能力は落ちていない。精度は下がっていない。
しかし被安打は増え、結果としてWHIPが大きく悪化している。
BABIPの数値の悪化を見ると、運が悪くなったという見方は確かに出来そうだ。
今季に限って、メッセンジャーが投げるときに打球は野手のいないところに落ちることが多い、とはいえよう。
しかし、それだけではない。

過去5年のキャリアを球数=NPを中心に見ていく。

Messe-03


NPBでは3000球を投げる投手はシーズン2~3人しかいない。
メッセンジャーは3年連続で3000球を超した唯一の投手だ。
多くのNPB投手が3000球を投げた次のシーズン、壊れている中で、メッセンジャーは例外的に元気だった。

PAPは(1試合の投球数-100)の3乗で求められる数字。MLBでは1シーズンでこれが10万を超えると黄信号、20万を超えるといつ壊れてもおかしくない、とされる。
またPAP/GSは1先発当たりのPAP。これが3000を超えると危険水域とされる。

メッセンジャーのPAPはここ2年、極端な数字を示している。
2014年より球数が少ない2013年の方がPAPが多いのは、この年、130球以上投げた試合が7試合あるなど、投げまくったからだ。

メッセンジャーは「球数を気にせず投げさせてほしい」とチームに申し入れているという。
しかし、彼は超人ではない。稲尾、江夏の時代はいざ知らず、今のNPBでこうした過酷な登板に耐えられる投手はいないのだ。

他球団のスコアラーは、メッセンジャーの球速が落ちていることを指摘している。これを「手を抜いている」とする報道もあったが、単純に「酷使のために疲弊している」と見るべきではないか。

端的に言えば、メッセンジャーは休ませた上で、本人と話をして投球数を制限するなり、投げ方を変えるしかないだろう。

それ以前に肩や肘の上体もチェックすべきだとは思うが。

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