『週刊ベースボール』4月2日号を買った。やはり朝日新聞の裏契約金問題が気になっていたから、その記事を探したのだが、21日発行のこの雑誌では間に合わなかったか、と思いきや、巻末近いNEWS CLOSE-UPというコーナーで速報していた。
書いているのは長老格の大内隆雄氏。

朝日新聞が突然の「巨人金権」追求。その真意は。

という見出しで、記事は事件の経緯を紹介していて、その後に見解を述べている。

93年に逆指名がスタートしてから、先の最高基準額をはるかに超える額の契約金が支払われてきたのは、ある面“常識”に属しており、

とあるが、そうだったのだろうか?“常識”とは、世間一般が周知して容認していることを意味するが、1億+出来高5000万円という「目安」を大きく逸脱する契約金を、その当時の世間は容認していたのだろうか。

この文に続いて

04年に横浜(現DeNA)と契約した那須野巧投手に対して5億3000万円を支払ったことを認めている。NPBはこの行為について厳重注意処分にしている。

と書いている。常識だったのならば、NPBはなぜ厳重注意処分にしたのだろうか。

さらに『週べ』は、

これら6選手についてもさかのぼって巨人を厳重注意せよということなのか?
(中略)
最高標準額は「規則ではなく基準というのが当時の球界の常識」(広島・松田元オーナー)とすれば、各球団とも「順守」の意識は薄かったと思われる。

と書いている。釈然としない。
契約金上限の申し合わせを破ることが「常識」になっていたのなら、なぜ厳重注意処分にしたのか。そして申し合わせを「順守する」意識がうすかったからどうだ、というのか。

この記事は舌足らずだ。冒頭で紹介した「常識」は世間ではなく「球界の常識」であり、厳重注意したのは、大幅オーバーがばれてしまったから、しぶしぶお灸をすえたということなのだろう。

程度の差はあれ、「金権体質」はどの球団にもある。(中略)朝日の記事の狙いが、今一つよく分からないのだ。

というしめくくりも完全にぼけている。大内隆雄氏は一般社会と野球界の温度差に思いが至っていない。「金権体質」を世間は容認してはいない。
世間様に向けて「我々は契約金の高騰を防ぐためにこういう申し合わせをいたしました」と発表したのなら、それを守らないことは信義にもとる。球界でそれを守るものがいなかったのなら、非を鳴らすのがジャーナリズムではないのか。
訳知り顔に「そんなことは“球界の常識だ”」というのは、正しい態度なのだろうか。

みんなルールを守ってこなかった、そんなことみんな知っているじゃないか、今更何を言っているんだ。

というようなジャーナリズムは、必要なのだろうか。

最近思うのだが、「そんなこと、知っていたさ」という「訳知り顔」ほど、役に立たない態度はない。
知っていても反応しなかったのなら、それは腰抜けである。知らなかったのに「知っていた」というのなら、それは嘘つきである。どちらも、世の中の役には立たない。
事実を知って怒る、驚く、大変だと思う。その愚直さ、純朴さが特にジャーナリズムに足りないのではないかと思う。

立ち位置が難しいのはよくわかる。朝日が正しいという気もない。また新聞と違い、雑誌は報道機関としては微妙な立場であることもわかっている。しかしながら、『週べ』が立つべき位置は、球界関係者や読売や朝日サイドではなく、野球界とは縁もゆかりもない「読者」だということを忘れてはならないと思う。
日和見は最悪だ。どんな論調になるにせよ、読者の鼻詰まりが治るような、明快な意見を聞きたい。

毎週買う、大好きな雑誌『週刊ベースボール』。地震が起こったら、私は『週べ』の下敷きになって死ぬ可能性があるが、つまらない雑誌に押しつぶされるのはまっぴらごめんだ。





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