スポニチ
「金本阪神」誕生! 阪神が新監督候補として招へい交渉を続けていた金本知憲氏(47=本紙評論家)が17日、就任要請を受諾した。この日、球団側に返答した。
毎日新聞
巨人の原辰徳監督が17日、今季限りでの辞任を球団へ申し入れた。神宮球場で桃井恒和球団会長に自身の思いを伝えた。
阪神タイガースは、監督はおろか、コーチの経験さえないOBに監督就任を懇願し、了承させた。とかくの黒い噂のある人物であり、巨額の負債を抱えていると言われるが、そのことには頓着しなかった。
金本が受諾までにここまで時間を要したのは、周囲や球団との間に「しなければならない決め事、交渉事」がいくつもあったからだろう。もちろん、それは口外できないはずだ。
阪神経営陣には、周辺メディアが、スキャンダルから阪神、金本を守ってくれる、という確信があるのだろう。スポーツ紙の記者は、すでにいろいろなことを知っているはずだが、これからはさらに、言えないことが増えるはずだ。週刊誌は、ぜひ、そのあたりを追いかけてほしい。

そのリスクを承知の上で、金本に監督就任を依頼したのは、阪神の観客動員が伸び悩んでいるからだろう。2010年には300万人を記録し、巨人を抜いた阪神だが、今年は288万人。前年よりは増加したが、空席も目立った。
「兄貴」と呼ばれる金本知憲の人気、往時の実績が、お客を呼び込むと期待している。
金本のために、コーチはあらかたクビにした。手下を呼びやすくするための「地ならし」もした。おそらく球場内に喫煙場所も確保した。

余談だが、今も多くの野球選手がタバコを喫っているが、それをメディアが撮ることはめったにない。これも「情報操作」の一環だと思うがいかがか。もっともスポーツ紙の記者も「禁煙」が徹底されれば、困るのだろうが。

阪神経営陣は、「監督にも“能力”や“技術”“経験”が必要だ」ということが、いまだに理解できない。「親分の首をすげ替えれば、子分は働くだろう」くらいにしか思っていない。その感覚では、ストーブリーグの展開も望み薄だろう。
ファンは「球団の古さ、頭の悪さ」を嘆きつつも、今年も応援するのだろう。

原辰徳監督の退任は、「川上哲治の退任」を想起させる。
実績に文句はない。長嶋茂雄が他球団の主力選手をほしがったのとは対照的に、原は球団が用意した戦力に文句を言わず、いつでも優勝を目指した。
この間に「清武の乱」が勃発したし、自身のスキャンダルも発覚したが、彼はグランドに立てば全く動揺しなかった。
毎年のように変わる戦力を使いまわしし、常にペナントレースを優位に戦った。選手にプレッシャーを与え、結果を出させた。それは気持ちの良い采配とは言えなかったが。
難を言うなら、原辰徳は「目先の勝利」しか求めなかった。レギュラー級の選手でも不振に陥れば挿げ替えた。「時価」で一番良い選手を起用し続けた。人材育成はあまりしなかった。「原が育てた選手」は少なかった。
川上哲治にあった「理想のチームとしての巨人像」のようなものはなかった。
しかしそれは原の責任ではない。原は、常に「優勝」を強いたフロント、経営陣の要請にこたえただけのことである。

Tatsunori-Hara


川上哲治はV9の後期には内外に「川上倦厭 ムード」が漂っているのを知っていた。同時に「長嶋待望ムード」も起こっていた。だから連覇が止まった時点で身を引くことを決めた。
原辰徳も勝ち続けながら、毎年のように「ポスト原」が取りざたされた。2年契約満了年だが、今季は続投要請もなかった。日本一にならなければ身を引くことは既定の事実だっただろう。
2003年オフに「讀賣グループの人事異動」という理由で解任された原にしてみれば、甘い考えは持っていなかっただろう。

「讀賣ジャイアンツの監督」は、NPBの選手上がりでは最高のポストである。これ以上のステイタスはない。そこで実績を残してしまうと、もう去るしかなくなる。「総監督」「名誉監督」は名誉職であり、50代の働き盛りが載るお神輿ではない。

原辰徳は、讀賣グループを出るべきではないか。「自分は金満巨人だから勝てたのではない」ことを証明するためにも、他球団に移るべきだろう。三原脩のように、日本球界の名将を目指すべきだ。1000勝という目標もある。

後任は阪神同様「お客の呼べる人材」を招へいする気だろう。
巨人軍監督は、これまで「他球団で采配を執った経験がない人材」から選ばれてきた。
中畑清はその点では難しいのか。
巨人OBの中から選ぶとすれば、江川卓、斎藤雅樹、桑田真澄、現役の高橋由伸か。松井秀喜の気が変わるとは思えないが。
誰になるにしても指導者の経験はない。イチロー、と言う声もあるが、荒唐無稽である。

いつも思うのだが、NPBにはMLBのトニー・ラルーサやボビー・コックス、スパーキー・アンダーソンのような「監督になってからのスター」が本当に少ない。
「お客が呼べる元選手」が監督になることはあっても、「お客が呼べるチームを作る監督」はなかなか生まれない。
NPBのマネジメントがなかなか進化しないのは、経営陣の能力不足があるが、それに起因する「プロのマネージャー」が育っていないことも大きいと思う。


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