外国人、早打ち、守備が下手、打つだけ。ではあったが、ラミちゃんが指揮官としてダメと決めつけるわけにはいかない。
現役時代どんな選手だったか、は、指揮官としての能力と直結するわけではない。

現役時代、自分の打撃以外のことは、一切考えていないように思えた“打撃の神様”川上哲治は、ドジャースの戦法を取り入れ、引退後、守備、投手力、つなぐ打撃を基本にした緻密な野球を徹底的に推進した。ONという史上最強の打者がいたとはいえ、空前のV9を達成できたのは、川上に「巨大な構想力」があったからだ。
この資質は、現役時代からは全くうかがえなかった。しかし「勝負師」としてのシビアさが、底流にあったことを、多くの人は後から知ったのである。

自分の成績にしか興味がないように思えた“三度の三冠王”落合博満も、引退後、指導者として豹変した。
シビアな表情でベンチに座っていたが、落合は選手の特性を引き出すのがうまかった。明確な分業体制を敷き、選手のミッションをはっきりさせた。MLBのデータを最もよく取り入れた指揮官でもあった。
もっとも、今は、根気が失せたような印象もあるのは否めない。

PRamirez


アレックス・ラミレスは、NPBで唯一の外国人(外国育ち)2000本安打者だ。
キャリアSTATS

Ramirez


とにかく早打ちで、出塁率が低いラミレスは、MLBでは全く評価されなかったが、NPBの移籍後は「積極打法」を好む指導者層に評価され、13年の長い現役生活を送り、2017安打を放った。

20代後半から新しいリーグに移り、安打を量産して、リーグでも屈指の成績を残したという点では「逆イチロー」と言えなくもない。守備はイチローの方が上だが、長打はラミレスが上だ。

私はラミレスは「意外にやるかもしれない」と思う。
なんといっても「苦労人」である。異郷で、視野の狭い人間に混ざって適応した。人の気持ちがわかる人であるに違いない。
またものごとを「客観視」する力もあるのではないかと思う。自分は、安打を打つだけに徹したが、チームの勝利を巨視的に見る力もあるかもしれない。

トレイ・ヒルマンやコリンズ、ブラウンのような「根っからの監督」ではなく、選手上がりだが、人望がある。
オリックスの監督を少しだけやったレオンに似たタイプだろう。彼はチームの後押しがなくてすぐに退任したが、ダン野村の盟友であり、山﨑武司など多くの選手に慕われた。

巨人、阪神が「客寄せパンダ」を監督にするのはもう見たくない。伝統チームならではの「新しい野球」のビジョンをプレゼンテーションしてほしいが、DeNAのような体力のない、発展途上のチームには「ラミちゃん」もいいかもしれない。
少なくとも、ハマスタのファンは、彼をいきなりあしざまには言わないだろう。
ただ、スタッフはしっかりつけてやらないと、実務の能力が高いとは思えない。そこは肝心だ。

「絶好調!」のあとに「ラミちゃん」面白い人選だと思う。


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