「野球の本だけじゃなくて、こんな雑誌まで集めることにしたん?」
掃除機をかけながら忌々しそうに家内が言うのだ。そういうわけではない。「朝日の乱」の後追いをしているだけである。
週刊誌の“助さん格さん”「文春」「新潮」は迫力不足だったが、“うっかり八兵衛と風車の弥七”「ポスト」と「現代」は、ここへきて興味深い記事を書いた。

まず『週刊現代』。

今回の事件について佐高信氏と魚住昭氏が対談している。魚住氏は元共同通信記者で、渡邉恒雄氏の告発本を書いている。





当然のことながら、二人の対談は読売、ナベツネ批判に終始している。ジャーナリズムとして朝日新聞が読売側の抗議をまともに取り合うはずがない、警察も被害届を受理しないだろうとして、清武氏を犯人呼ばわりする渡邉氏は、もし他の情報流出者が現れたときは、名誉棄損に問われるだろうとしている。

また、日経ともども3社でホームページを開設するなど蜜月状態にあった朝日と読売はこの件をきっかけに険悪な関係になる(あるいは関係が悪化したので朝日がこのスクープをした)とも指摘している。

さらに、渡邉恒雄氏は読売グループで裸の王様になりつつあるとし、心ある読売社員は「ナベツネ後」を考えるべきだとしている。

これは、巨人、NPBについても言えるのではないか。良くも悪くも球団、球界を牛耳ってきた御仁がいなくなったときに、どんな展開を打ちだすのか。改革の好機ではあるが、腰抜けぞろいのNPB中枢に新たな展開が打ち出せるのか?

この対談のあとに、元読売新聞社長内山斉氏の手記「彼は死ぬまでやるでしょう」を載せているが、これは渡邉氏を「非常に健康」で「人情家で面倒見がいい」と評価する内容。変なところでバランス感覚をきかせているように見える。

『週刊ポスト』。

注目すべきは、ポスト側に読売側から「(清武氏から)本の紹介を依頼されていないか」などの質問状が来たこと。通常こういう情報は、記者が手練手管を使って聞き出すものだが、読売は会社が正面切って詰問してくるのだ。「ポスト」が「それはですね」と白状すると思うのか?読売はそこまで取材能力、情報入手力が落ちているのだろうか?

読売側は、朝日のスクープと清武氏の本、そして雑誌報道は連動しているのではないか、共同キャンペーンを張っているのではないか、と考えているようだ。疑心暗鬼を走らすとはこのことだ。

「ポスト」の報道によれば、朝日のスクープは地方新聞上がりの敏腕記者の独走だったとのこと。この記者は秋山社長の後ろ盾を得て一連の記事を書いた(読売新聞には2名の朝日記者が実名を挙げられているが、このいずれかなのだろう)。

この記者は読売幹部に入手した資料を見せて、本物かどうかを確認していた。だから読売側は事前に内部資料収流出と朝日のスクープを察知していた。すぐに反論できたのはそのためだという。
「ポスト」によれば、「球界を浄化したい」との熱意をもつこの記者氏は決定的な資料を持っていて、第二弾のスクープを書くだろうとのこと。

「ポスト」はこのあとに、1ページで「球界ブラックマネーを貪る“中学球界ブローカー”」の存在を指摘。これは旧聞だろうが、アマチュア野球の拝金主義とプロの金権体質が表裏の関係にあることを考えれば、意味のある記事だ。また今回裏契約が発覚した6選手が「高い買い物」だったとの記事も掲載している。

朝日のスクープは、問題の核心に迫れば迫るほど、アマチュア野球側の問題にも焦点が合ってくる。朝日新聞がどこまで迫ることができるかは疑問だが、病巣は「アマとプロの接点」に存在しているのは間違いない。
青臭いようだが、自社の権益ではなく、ジャーナリズムの職業的良心が働くことを期待したい。

メディアウォッチングは引き続き行っていく。

「邪魔!」「あ、雑誌はまだ捨てたらあかん!」

私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひ、コメントもお寄せください!