岩隈久志のドジャースとの大型契約が破談になったのは、ショッキングなできごとだった。
日刊ゲンダイ
西海岸の代理人関係者がこう言った。
「ドジャースと代理人サイドは、身体検査が終わるまで正式発表を控えていた。合意が漏れたのはおそらく、断りの連絡が入ったマリナーズサイドからでしょう。岩隈は今季、右広背筋を痛めて4月下旬から2カ月ほど離脱している。それでドジャースは綿密な身体検査をしたのではないか。最初の診断で引っ掛かり、別の病院でセカンドオピニオンを仰いだ結果、問題が生じたのでしょう」
おそらくは古傷の右広背筋だけでなく、右ひじにも不安な兆候が認められたのではないか。岩隈もスプリッターの使い手だ。田中将大やダルビッシュ有と同じ傾向が見られても不思議ではない。
岩隈はマリナーズに復帰した。
スポニチ
3年総額4500万ドル(約54億4500万円)で一度は合意したドジャースと16日午前に契約見直しとなってから約48時間後の残留会見となった。年俸1000万ドル(約12億1000万円)の単年契約ながら、最大で3年総額4750万ドル(約57億4750万円)となるオプション付きの契約内容も判明した。
マリナーズは一度はクオリファイング・オファーを提示している、今季は1580万ドル。今までこのオファーを呑んだ選手はいない。岩隈もこれを拒否してFAになったが、紆余曲折を経てクオリファイング・オファーよりも大幅に低い金額で契約した。
ただし岩隈がまともに投げることができれば、ドジャースの条件を上回る金額を手にする可能性も残されている。
互いにとって賢明な選択だろう。

ここ数年、MLBは日本人投手の健康面に非常に神経質になっている。
岡嶋秀樹は2011年、ヤンキースとマイナー契約を結んだが、メディカルチェックで異常が見つかりキャンセルされている。
昨年は、ダルビッシュ、田中将大の右ひじに異常が見つかった。ダルビッシュは翌年春にはトミー・ジョン手術をした。田中は右ひじを温存して今シーズンを乗り切った。
日本人投手は高校時代に肩、ひじを酷使している。NPBでも100球を大きく超えて投げている。だからひじや肩に古傷を持っていることが多い。またアメリカの投手があまり投げないフォーク(スプリッター)を多投するため、ひじに負担がかかっている。
これがアメリカ側の見解。ダルビッシュなどは
MLBは中4日でローテーションを回している。これではひじや肩は回復しない。いくら球数制限をしても回復しない。登板間隔が短いことが故障の原因になっている。
と反論している。
確かにMLBの投手もどんどんひじを故障し、トミー・ジョン手術を受けているから、ダルの主張もうなずける。
しかし、MLBサイドは「日本人投手は健康面に不安がある」と思っているようだ。
前田健太の契約に関しても、健康面が各球団の懸念材料になっているだろう。
メディカルチェックが大きなポイントになりそうだ。
マリナーズが再契約したのは、豊浦彰太郎さんも言っている通り、岩隈の健康面についてより多くの情報があったからだろう。
それにしても今のMLB球団の選手獲得の基準はずいぶん変わってしまった。
チーム作りはクリエイティブではなく、投資のようになっている。編成、選手の獲得は、まるでデリバティブのようだ。
お客さんが喜ぶような魅力ある選手を獲得するというよりは、いかに勝ち星に結びつく選手の組み合わせを作るかに躍起となっている。それが資金面やさまざまな状況によってできないと見ると、一気にチームを崩壊させる。
選手の年俸が巨大になり、今も高騰し続けていることが背景にあるのだろうが、身もふたもない、という感じだ。
そういう観点からは日本人投手は、魅力的ではあるがリスキーな商品なのだろう。
こういうの、面白いという人もいるが、私はどちらかと言えば苦々しい気持がしている。
野球をマネーゲームにするのは、ほどほどにしてほしいと思う。
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「ドジャースと代理人サイドは、身体検査が終わるまで正式発表を控えていた。合意が漏れたのはおそらく、断りの連絡が入ったマリナーズサイドからでしょう。岩隈は今季、右広背筋を痛めて4月下旬から2カ月ほど離脱している。それでドジャースは綿密な身体検査をしたのではないか。最初の診断で引っ掛かり、別の病院でセカンドオピニオンを仰いだ結果、問題が生じたのでしょう」
おそらくは古傷の右広背筋だけでなく、右ひじにも不安な兆候が認められたのではないか。岩隈もスプリッターの使い手だ。田中将大やダルビッシュ有と同じ傾向が見られても不思議ではない。
岩隈はマリナーズに復帰した。
スポニチ
3年総額4500万ドル(約54億4500万円)で一度は合意したドジャースと16日午前に契約見直しとなってから約48時間後の残留会見となった。年俸1000万ドル(約12億1000万円)の単年契約ながら、最大で3年総額4750万ドル(約57億4750万円)となるオプション付きの契約内容も判明した。
マリナーズは一度はクオリファイング・オファーを提示している、今季は1580万ドル。今までこのオファーを呑んだ選手はいない。岩隈もこれを拒否してFAになったが、紆余曲折を経てクオリファイング・オファーよりも大幅に低い金額で契約した。
ただし岩隈がまともに投げることができれば、ドジャースの条件を上回る金額を手にする可能性も残されている。
互いにとって賢明な選択だろう。

ここ数年、MLBは日本人投手の健康面に非常に神経質になっている。
岡嶋秀樹は2011年、ヤンキースとマイナー契約を結んだが、メディカルチェックで異常が見つかりキャンセルされている。
昨年は、ダルビッシュ、田中将大の右ひじに異常が見つかった。ダルビッシュは翌年春にはトミー・ジョン手術をした。田中は右ひじを温存して今シーズンを乗り切った。
日本人投手は高校時代に肩、ひじを酷使している。NPBでも100球を大きく超えて投げている。だからひじや肩に古傷を持っていることが多い。またアメリカの投手があまり投げないフォーク(スプリッター)を多投するため、ひじに負担がかかっている。
これがアメリカ側の見解。ダルビッシュなどは
MLBは中4日でローテーションを回している。これではひじや肩は回復しない。いくら球数制限をしても回復しない。登板間隔が短いことが故障の原因になっている。
と反論している。
確かにMLBの投手もどんどんひじを故障し、トミー・ジョン手術を受けているから、ダルの主張もうなずける。
しかし、MLBサイドは「日本人投手は健康面に不安がある」と思っているようだ。
前田健太の契約に関しても、健康面が各球団の懸念材料になっているだろう。
メディカルチェックが大きなポイントになりそうだ。
マリナーズが再契約したのは、豊浦彰太郎さんも言っている通り、岩隈の健康面についてより多くの情報があったからだろう。
それにしても今のMLB球団の選手獲得の基準はずいぶん変わってしまった。
チーム作りはクリエイティブではなく、投資のようになっている。編成、選手の獲得は、まるでデリバティブのようだ。
お客さんが喜ぶような魅力ある選手を獲得するというよりは、いかに勝ち星に結びつく選手の組み合わせを作るかに躍起となっている。それが資金面やさまざまな状況によってできないと見ると、一気にチームを崩壊させる。
選手の年俸が巨大になり、今も高騰し続けていることが背景にあるのだろうが、身もふたもない、という感じだ。
そういう観点からは日本人投手は、魅力的ではあるがリスキーな商品なのだろう。
こういうの、面白いという人もいるが、私はどちらかと言えば苦々しい気持がしている。
野球をマネーゲームにするのは、ほどほどにしてほしいと思う。
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コメント
コメント一覧
「選手が怪我しないような環境を作る」
という発想にいたる日は来るのでしょうか。
>チーム作りはクリエイティブではなく、投資のようになっている。編成、選手の獲得は、まるでデリバティブのようだ
セイバーメトリクスの進展で、評価指標が増えたことが最大の要因なのかもしれませんね。昔はスカウトの感覚に頼っていた選手獲得が、今は数字の羅列の中から適切な対象を見出す「作業」になってしまっているのでしょう。仰るように、昔と比べればチーム作りがずいぶんと散文的になっているのかもしれません。
そういう部分もあるんでしょうね。まさにマネーゲームです。
メリットのひとつは、自分が応援するチームの選手と、他チームの選手とをフラットな観点から評価できるということです。
フランチャイズプレーヤーや地元出身といった要素に惑わされず、純粋に「給料に見合った仕事をしているか」という観点でシビアな評価が為されるのは、プロのスポーツ選手に対する態度としては、フェアで妥当なものではないでしょうか。
選手の高額な年俸の一部は、ファンが球場に落としたお金が原資にもなっているわけですし、ファンがステークホルダーとしての自覚を持つには、こういったGM的な視点はプラスになると考えます。
MLBファンはこの傾向が進み過ぎているのかも知れませんが、逆にNPBファンには不足している部分とも言え、僕はこういった「GMタイプ」のファンが日本でもっと増えて欲しいと願っています。たとえ愛するチームの選手であっても、その評価について贔屓の引き倒しでは、スポーツ文化は成熟しない。
残念ながらNPBファンの中には、グッドルーザーになることがとても下手な人がいる。敗北を認めず、醜くわめき散らす人を見るにつけ、球場に行くのが嫌になります。それが少しでもマシになるのなら、チーム編成が冷徹なマネーゲームになるマイナス面などは、甘んじて受け入れるところです。
コメントしようと思っていたことを素晴らしい文章で書いてくださりありがとうございます。
私は野球をプレイするわけではないのでフィジカルなところはよく分かりません。MLBの野球の試合そのものも面白いですがマナーゲームというかビジネスとしてのベースボールの側面はむき出しの資本主義社会そのものを見るようでとても面白いです。
ただ、日本人はカネのことを言うのを卑しいと思う風潮があり、それでかえってビジネスの側面が地下経済化してしまいNPBや高校野球などのいろいろな問題になっているのだと思います。
彼の話ではいつもまず真っ先に「選手獲得と経営手腕」といったようなことが話題になります。
そうした面でも、おっしゃるようにマネーゲームの部分を、ファンとしても楽しむ・・・というか普通に考える文化が既に成り立っているのでしょう。
とはいえ、これは好き嫌いでしかありませんが、私としては
「あのチームの2番の使い方は面白い」とか「あのチームのローテーションは安定しているから強い」とか、そういった”マネー”ではない”ベースボール”の方のゲームの話をしたいんだけどなぁ、といつも思ってしまいます。
「阪神の経営の仕方はなってない」とか「ヤクルトはまだそんな観点でしか選手獲得を考えていないのか」とか久しぶりに会って言われてもなぁ。
まぁ、言ってることは概ね正論で、そりゃそうなんですけど・・・。
なんだかキラキラした目で、すっごい選手達のプレーをずっと見ている側でいたい、と思っている小生は
ちょっと大人としては、いい歳こいて浅はかで野暮なことなんですかねぇ。
岩隈は結局元の鞘に収まった訳ですが、これで良かったのではないかと思います。
伝えられたドジャースの契約期間と金額は34歳の岩隈にとってはあまりに荷が重すぎるように感じたからです。
もちろん本人にとって金額が多いければ多いほど良いとは思いますが、重すぎる十字架を背負ってドジャースと言う人気チームで投げるよりは、多少金額が安くなっても慣れたチームのほうが一ファンとしては安心して見てられる気がします。
卓見。
「純粋に「給料に見合った仕事をしているか」という観点でシビアな評価が為されるのは、プロのスポーツ選手に対する態度としては、フェアで妥当なものではないでしょうか」とのことですが、私はそれに疑問を感じます。
どんな選手も「年俸に応じて能力を上げる」などという芸当はできません。「年棒に応じた成績を残せ」というのは一見正当な物言いのようですが、実際は誰にも不可能なことを要求しているのです。
「悪くはないが年棒に見合うほどではない」という成績だったときに低く評価されるのは選手ではなく、契約を結んだ側であるべきです。同じ成績の選手に対しては年棒に関係なく同じ評価がなされることが「フェアな評価」だと思います。
ついでに言えば、「給料に見合った仕事をしているか」という視点で選手を評価するのは「GM的な視点」としても間違っています。
GM的なコストパフォーマンスの評価というのはあくまで「この年俸を払ったとして、それに見合うだろうか?」という未来予測の話であって、「払った年棒に見合う働きをしているか?」という評価は実は意味がありません。
すでに払ってしまった年俸はサンクコストなので、その額は現在の評価に反映しない(させるべきでない)からです。
お褒めいただき恐縮至極です。両国の投資文化の違いという背景もありそうですね。アメリカはやや投資意識が過剰、日本は少なすぎなのかな、と思います。
レッドがいこつさん
おっしゃることは分かりますが、文章の枝葉の正誤よりも、大意を汲んでいただけるとありがたいです。
広尾さんが提示したトピックは、「選手獲得が投資・マネーゲーム化することの是非」です。広尾さんはそれについてややネガティブであると主張されました。
僕はそれに対して、好意的な立場から意見を書きました。ファンが贔屓球団や贔屓選手だけでなく、幅広い視野で野球を見て、選手を評価できるというプラス面を挙げました。加えて、日米のファン気質の違いを論じています。
この2点がコメントの主眼です。選手の評価手法については「さわり」程度のもので、読み飛ばしていただければいい類いのものです。このトピックにおいて、それは重要ではないからです。
選手の評価手法を問題にしたトピックであれば、そこに意を砕いたコメントを書きます。
>去年の黒田はqualifying offerがなく、NYYからのオファーは10M程度だったのでしょう。人間は結果が悪くないのにサラリーを大幅に抑えられるとモチベーションが低下します。これが彼がMLBを去る大きな理由になったのでしょう。
黒田の著書「決めて断つ」の文庫版に、広島への復帰の過程が加筆された章があるのですが、この中の記述によりますと、2014年のウィンターミーティング後、黒田のもとにはMLBの3球団から正式なオファーがあり、その中の1球団は黒田のキャリア史上、最高の年俸を提示していた、という記述があります。
この内容が事実であれば、一部報道にあった「20億円」という金額もあながち間違いではなかったと思われます。したがって、個人的には、金銭的なことでMLBを去ったという可能性は低いと思います。
私もその記述は読みました。SDが1700Mくらい提示したものと思われます。ただ黒田としてはカネのためにSDで投げるという気はなかったのだと思います。あくまでも伝統のNYYで投げたかったのでしょう。一説にはLADもSDに近い金額のオファーを出したとされますが、この裏は取れていません。また、黒田はLADがオーナーの問題で放出されたことからLADにあまりいい印象を持っていないとされます。まあそういう意味では黒田はカネのために最高のブランド球団でありカーショーという最高のローテーションメートのいるLADからARIに出ていってしまったグレインキーなどとはまったく異なる気質を持っているのでしょう。
それにしても黒田の「気質」については肯定的な憶測を並べ、グレインキーの方は「カネのために」と断定する、日本人のこうした「身びいき」はいつになったら治るのやら。
「いたいだけいてほしい」という代理人による伝聞を「終身雇用」と騒ぎたて、リスペクトリスペクトと悦に入る人たちと変わらないな。
誤解させてしまいました。
私はカネのために動くこと自体には肯定的です。プロなのだから何も問題ありません。グレインキーの行動には本物のメジャーリーガーのいさぎよさを感じています。
黒田は冷徹にビジネスに徹するメジャーリーガーにはなりきれなかったのかもしれませんね。
トピックの主題ではないのでいい加減に書いたからスルーしてくれ、ということですか?分かりました。
トピックに関わらず重要な話なので突っ込みましたが、「給料に見合った仕事をしているかという観点の評価はフェアで妥当なもの」という主張がいい加減な主張である、ということの合意が得られたのであれば私に不満はありません。
もちろん17Mの間違いです。仕事でも時々やらかします(笑)
私は当然SDに行ってでもMLBに残ってほしいと思っていましたし、黒田は高いレベルのMLBからNPBに行ったcoward=臆病者という感想も持っています。とはいえあそこまでestablishedされたメジャーリーガーなら何をしてもいいんじゃないかという気もしています。それとカープファンやNPBファンとの意見の共通点を見いだそうともしています。
繰り返しになりますが、文章の一部でなく全体を見てください。
ご指摘の部分の前段には「フランチャイズプレーヤーや地元出身といった要素に惑わされず」と書いています。ここを省くと意味が変わってきてしまいます。
「フランチャイズプレーヤーや地元出身といった要素に惑わされず選手を評価する」という姿勢がフェアで妥当なものであることは賛同します。
しかし、「フランチャイズプレーヤーや地元出身といった要素に惑わされず、給料に見合った仕事をしているかで評価する」という姿勢はフェアで妥当なものではありません。フェアでも妥当でない一つの見方のかわりに、別のフェアでも妥当でもない見方を持ってきたに過ぎません。意味は変わらないと思います。
私はduplesさんの文章全体の大意には何もコメントしようとは思いません。しかし、「選手のフェアで妥当な評価とは何か?」という重要な問題において誤った論理に基づいた主張がされていると感じたので、指摘しました。
議論は勝負ではないし、批判は攻撃ではありません。
私の批判が妥当でと言うのならば、どこがどう妥当でないのか丁寧な説明が欲しかったところですが、あまりその気はないようですし、おっしゃる通りトピからずれますので、それはもう求めません。