名前がわからない人物も含め、この漫画では5人のキャプテンが描かれている。
先代のキャプテン

谷口タカオが入部した時の墨谷二中の野球部キャプテン。
谷口が初めて野球部を訪ねた時は不在。チームが谷口のまぐれ当たりの大飛球に感心しているときに、いち早く谷口の実力(青鹿学院では二軍、補欠だったこと)を見抜く。
中学生とは思えないほど大人びており、人を見抜く力を持っている。
ひたむきに努力する谷口を次のキャプテンに指名する。



谷口タカオ

青葉学院の野球部に入るが、二軍、補欠に終わって公立の墨谷二中に転校してくる。初めて野球部に行ってまぐれ当たりで大飛球を打ったために「さすが青葉」と持ち上げられ、苦労をする。
しかし、こつこつと努力をして次第に人望を集めるようになり、キャプテンに指名される。
チームを率いてからは「打倒青葉」の執念に燃えて、至近距離からのノックなどチームに猛練習をさせる。
家は下町の長屋の大工。このあたり兄のちばてつやの「ハリスの旋風」の世界に通じる。ちば兄弟の原風景だったのだろう。
谷口は部活中は選手を鍛える側に徹するが、夜、帰宅すると父親に作ってもらったノックマシンで守備を徹底的に鍛える。
また、新入生のイガラシの才能を見出して、レギュラーの座を与えるなど、後進の育成にも優れた手腕を発揮する。
三塁手だが、スタミナのないイガラシを救援するため投手の練習もする。ここでも驚異の粘りを見せて一線級の投手になっていく。
山っ気のない実直な性格だが、ひたむきな努力を続ける姿に惹きつけられる。主人公だから当然だが、この漫画で最も魅力的な人物。
スピンアウトとして、墨谷高校に進んだ谷口を主人公として「プレイボール」が作られる。
努力家であり、勉強はできたと思われる。

丸井

谷口を慕う後輩。やがて谷口が青葉学院では二軍だったことが明らかになるが、それでも丸井の尊敬の念は変わらなかった。
二塁手だったが、3年次、イガラシの入部によってレギュラーを下ろされる。一時は退部を考えたが、谷口の努力を見て思い直し、陰で努力を続ける。イガラシが投手に転向して二塁のレギュラーに復帰。ミートのうまい打者として三番を打つ。
すぐに腹を立てるなど感情的な人物だが、根は正直な好人物。あとから反省することも多い。
谷口の後のキャプテンに指名される。最初は迷走が続き、選抜の初戦で敗退。一度はキャプテンをやめる決心をするが、思い直して強豪チームと1日3試合を組むなど猛特訓でチームを鍛え上げる。
1年生の近藤をけり上げるなど、「キャプテン」では最も多く暴力をふるった人物。
そのかいあって、地区予選大会では決勝に進み、死闘の末に宿敵青葉学院を破るが、チームは消耗しきってしまったために全国大会を辞退する。
どんな育ちかは不明だが、私学に進んだことを考えても比較的裕福な家の子だと思われる。
谷口を崇拝し、墨谷高校を受験するが失敗。おそらくは私学の朝日高校に進む。この学校には軟式しかなく硬式野球は断念する。
OBになってからもたびたび墨谷二中を訪れ、谷口の教えを後輩に伝えようとする。

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イガラシ

小柄だが才能の塊のような人物。1年次に早くも谷口に見いだされ、二塁手、さらにはエースになる。
物事の本質を見抜く慧眼の持ち主だが、皮肉屋であまり人望がない。丸井とはたびたびぶつかるが、最後は言い負かしてしまう。
ただ、小柄なこともあって、スタミナがないことが大きな課題。
二歳下の弟がいる。この弟も才能の塊のような人物であり、墨谷二中ですぐに頭角を現す。
家はラーメン屋。餃子も名物。ぜったいこのラーメン屋はうまいと思う。
キャプテンになって、打倒青葉学院、全国制覇のために猛練習を課すが、これが父母会で問題となり、折あしくけが人も出て選抜出場辞退を余儀なくされる。
夏は、エース近藤を中心として充実した戦力を擁して、悲願の全国優勝を果たす。
もっとも成功したキャプテンといえよう。勉強もできたのではないか。
イチローとイメージが重なる。



近藤

関西出身。墨谷二中がすでに有名校となってから入ってきた選手の一人。
巨体、剛速球の持ち主だが、運送業を営む裕福な家庭に生まれ、うぬぼれが強く、自己中心的な部分が目立つ。
このため、丸井、イガラシと歴代のキャプテンが手を焼くが、素材としてはずば抜けているので、エース、主軸打者へと成長していく。
キャプテンになると、意外な聡明さを見せて、合理的な練習や、思い切った選手起用などで信望を集めていく。
しかし全国大会では準決勝で敗退する。
父親の言葉によれば、勉強はできなかった。
この漫画の登場人物でプロ入りするとすれば、近藤だろう。

「キャプテン」は近藤の代で終わる。4人のキャプテンの描きわけは実に見事であり、人間ドラマとしても面白かったが、さすがに作者自身にも倦怠感があったのではないかと思われる。

漫画が続いていれば、キャプテンはイガラシの弟になっていただろう。彼は兄よりも性格が円満で努力家。谷口のようなタイプのリーダーになったのではないか。




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