先週に続いて「巨人の星」を巻を追って取り上げたい。
4巻 闘魂編
甲子園に勝ち進んだ星飛雄馬率いる星雲高校は、1回戦で選抜優勝の尾張高校と対戦。好投手太刀川と熱戦を演じるが、勝利。
その勢いで準決勝に進む、相手は、好敵手左門豊作のいる熊本農業。星は漫画家志望の友人、牧場から左門の生い立ちを聞き、闘志を殺がれるが何とか勝利。
しかし、左門との対戦で折れたバットが左手を直撃、指の爪を割ってしまう。
決勝はこれまたライバル花形満のいる紅洋。飛雄馬はけがを隠して投げるが、スローボールしか投げることができない。試合中盤になって捕手、伴宙太がこれを知る。試合は花形が星の執刀をサヨナラホームランして終わる。
星の負傷を知った花形はマウンドで星と抱き合う。
今読むと、このシーンはずいぶん不満を感じる。牧場という男は野球選手以外では唯一星の親友といえる男だが、いらんことばっかりして星の足を引っ張るのだ。
負傷して投げ続けることにもいらつくが、甲子園のマウンドで二人が抱き合うのも、気持ちが悪い。昔はこういうのに感動していたのだ。

5巻 飛翔編
甲子園が終わって、花形、左門はプロ入りを表明。
ライバル花形モータースの御曹司、花形満が率いる紅洋高校に決勝で敗れたことに腹を立てた星雲高校のPTA会長、伴大造は息子宙太の懇願も聞かず、野球部を廃部にすると宣言する。
伴大造は何者かに襲われて負傷する。
犯人探しが始まるが、星飛雄馬に嫌疑がかかる。実際には伴大造を襲った暴漢は牧場だったが、星は濡れ衣を着て退学。
巨人、川上哲治監督は「退学した生徒などいらん」といいながら「入団テストをやる」と言明。
「テストを受けて巨人に入ってこい」ということだと悟った飛雄馬は伴宙太とともにテストを受ける。星は合格。伴とオリンピック選手を蹴って巨人を志望した快速の速水が補欠になる。
牧場はまさに疫病神である。星は高1の秋に退学。
まだ16歳で入団テストを受ける。伴と速水は高3。速水は典型的な悪役としてしばらくからんでくる。
6巻 激闘編
巨人に星が入ったのを知った花形満は、阪神に入団。左門も大洋に入団。川上監督は高1の星を取って、大物打者2人を逃したが後悔はしていない模様。
甲子園で活躍した高校生はハワイに遠征するが、中退した星は多摩川の秋季キャンプに参加。
ここで子供のころから因縁があるONと再会するが、ONは知らんふりをする。
星は体は大きいがそろそろ首の声がかかりそうな先輩投手大内山と寮のルームメイトになる。
星飛雄馬はいろいろあったが、快速急で頭角を現す。
秋季キャンプの終盤、巨人二軍は東映二軍と練習試合をするが、東映の二軍監督、藤村冨美男はこの試合で星飛雄馬の「致命的な欠陥」を発見する。
その試合のスコアを牧場がつけていたが、それを見た父の星一徹も星の欠陥に気が付く。
ドラフト制ははじまっていた。そのことにはちらっと触れているが、花形と左門がどうやって入団したかは不明。
このあたり、「すべては星飛雄馬の人生のために」まわっている感があってご都合主義のにおいがする。
リアリティのない登場人物の中では、大内山の存在感が印象的。馬場正平のエピソードも出てくるが、大内山のモデルは馬場正平だろう。
「致命的な欠陥」とは「球が軽い」ということだ。それくらい誰でもわかりそうなものだが、星は次の巻で「がーーん」とショックを受けるのだ。
1967年の話。藤村は確かに1968年まで東映の打撃コーチを務めている。しかし二軍監督ではない。ここはドラマ性を高めるために、むりやり二軍監督にしたようだ。打撃コーチ就任が決まっている、と藤村の口から言わせている。
※修正 藤村は67年に二軍監督でした。修正します。
藤村は1968年を最後に野球界から遠ざかる。
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2015年杉内俊哉、全登板成績【途中離脱で手術、悔しいシーズン】
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甲子園に勝ち進んだ星飛雄馬率いる星雲高校は、1回戦で選抜優勝の尾張高校と対戦。好投手太刀川と熱戦を演じるが、勝利。
その勢いで準決勝に進む、相手は、好敵手左門豊作のいる熊本農業。星は漫画家志望の友人、牧場から左門の生い立ちを聞き、闘志を殺がれるが何とか勝利。
しかし、左門との対戦で折れたバットが左手を直撃、指の爪を割ってしまう。
決勝はこれまたライバル花形満のいる紅洋。飛雄馬はけがを隠して投げるが、スローボールしか投げることができない。試合中盤になって捕手、伴宙太がこれを知る。試合は花形が星の執刀をサヨナラホームランして終わる。
星の負傷を知った花形はマウンドで星と抱き合う。
今読むと、このシーンはずいぶん不満を感じる。牧場という男は野球選手以外では唯一星の親友といえる男だが、いらんことばっかりして星の足を引っ張るのだ。
負傷して投げ続けることにもいらつくが、甲子園のマウンドで二人が抱き合うのも、気持ちが悪い。昔はこういうのに感動していたのだ。

5巻 飛翔編
甲子園が終わって、花形、左門はプロ入りを表明。
ライバル花形モータースの御曹司、花形満が率いる紅洋高校に決勝で敗れたことに腹を立てた星雲高校のPTA会長、伴大造は息子宙太の懇願も聞かず、野球部を廃部にすると宣言する。
伴大造は何者かに襲われて負傷する。
犯人探しが始まるが、星飛雄馬に嫌疑がかかる。実際には伴大造を襲った暴漢は牧場だったが、星は濡れ衣を着て退学。
巨人、川上哲治監督は「退学した生徒などいらん」といいながら「入団テストをやる」と言明。
「テストを受けて巨人に入ってこい」ということだと悟った飛雄馬は伴宙太とともにテストを受ける。星は合格。伴とオリンピック選手を蹴って巨人を志望した快速の速水が補欠になる。
牧場はまさに疫病神である。星は高1の秋に退学。
まだ16歳で入団テストを受ける。伴と速水は高3。速水は典型的な悪役としてしばらくからんでくる。
6巻 激闘編
巨人に星が入ったのを知った花形満は、阪神に入団。左門も大洋に入団。川上監督は高1の星を取って、大物打者2人を逃したが後悔はしていない模様。
甲子園で活躍した高校生はハワイに遠征するが、中退した星は多摩川の秋季キャンプに参加。
ここで子供のころから因縁があるONと再会するが、ONは知らんふりをする。
星は体は大きいがそろそろ首の声がかかりそうな先輩投手大内山と寮のルームメイトになる。
星飛雄馬はいろいろあったが、快速急で頭角を現す。
秋季キャンプの終盤、巨人二軍は東映二軍と練習試合をするが、東映の二軍監督、藤村冨美男はこの試合で星飛雄馬の「致命的な欠陥」を発見する。
その試合のスコアを牧場がつけていたが、それを見た父の星一徹も星の欠陥に気が付く。
ドラフト制ははじまっていた。そのことにはちらっと触れているが、花形と左門がどうやって入団したかは不明。
このあたり、「すべては星飛雄馬の人生のために」まわっている感があってご都合主義のにおいがする。
リアリティのない登場人物の中では、大内山の存在感が印象的。馬場正平のエピソードも出てくるが、大内山のモデルは馬場正平だろう。
「致命的な欠陥」とは「球が軽い」ということだ。それくらい誰でもわかりそうなものだが、星は次の巻で「がーーん」とショックを受けるのだ。
1967年の話。藤村は確かに1968年まで東映の打撃コーチを務めている。しかし二軍監督ではない。ここはドラマ性を高めるために、むりやり二軍監督にしたようだ。打撃コーチ就任が決まっている、と藤村の口から言わせている。
※修正 藤村は67年に二軍監督でした。修正します。
藤村は1968年を最後に野球界から遠ざかる。
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コメント
コメント一覧
しかしあのV9初期の頃だと、巨人のライバルはまずは阪神ということで花形が入団、次はということで直近に優勝したのは大洋だから左門は大洋。その前は昭和29年の杉下茂さんの中日ということでオズマと一徹は中日だったようです。作中にスワローズ(当時アトムズ?)、カープは全く出てきません。
漫画全体から無茶苦茶さが伝わってきます。
巨人の二軍の選手たちは、多摩川グラウンドまでの送迎バスの車内でも立ちっぱなしで足腰を鍛えているという場面がありましたが、実際に巨人に入団してみたら先輩選手たちは普通に着席していて拍子抜けしたと引退後の定岡が語っていました(笑)。そういった読者に本当にあるのかもと思わせる描写は梶原一騎の得意技でしたね。
よもや自身の球が軽いとは思っていなかったのでしょう。ガーンとショックを受けるのもむべなるかな。
親父は後悔するくらいなら変化球の一つくらい教えとけよとは思いますが
魔送球やのちの大リーグボールは、えらい変化してるので素養はあったようです。
私が以前から気になっていたのが速水です。
オリオンズの飯島がモデルというのが定説ですが、原作、アニメともリアルタイムで接していないので時系列的に、本当に事実なのか疑問に思っています。もっとも代走専門なんて特殊なキャラは、やはりモデルありきの可能性が強いですね。
あと、私の父は昔、役者で、アニメで彼を演じた俳優さんと同じ劇団にいたそうです。子供の頃、彼が出るたびその話を聞いて、何となく親しみを感じていました。
そうでしょう。50年前は有名な「巨人」といえば馬場ではなく大内山でした。当時まだ存命中で勝負検査役(審判)なども務めていましたから。
彼は、時々足を高く上げて投げるが、沢村栄治をまねたのかと聞いたら、巨人の星をまねたと言う。それを聞いてた一同大笑いだ。
話の流れから、決してウケ狙いではなかった。
梶原氏も川崎氏も野球は素人。そのコンビが考えたピッチングフォームを天下の巨人のエースが真似たというのだから、まさに事実は小説より奇なりだ。
また、かく言う私も人のことは笑えない。大リーグボール1号打倒の鉄球・鉄バットの特訓を決してまねた訳ではないが、もっと奇怪なトレーニングやったことがある。それを見ていた周りの連中が、まるで花形満だと言い出した。この名を使うのはそのためである。