Jリーグの立ち上げに際して、これを専門的にバックアップしたのは周知のとおり博報堂だ。野球の国際イベントを電通が仕切っている対抗上、博報堂に委嘱したという部分もあったようだ。

サッカーと野球、どう違うか? 上|野球があぶない

サッカーと野球、どう違うか? 下|野球があぶない


マーケティングのプロとして、博報堂は先行するプロスポーツを広汎に調査した。そして日本最大のプロスポーツであるNPBとの徹底的な差別化が必要だという結論に達した。

長沼、森、川淵という当時の首脳陣も同様の認識だった。
プロ野球をまねるのではなく、これを反面教師として、全く違うプロリーグを創設するという構想を描いていた。

後年のヒヤリングで、川淵三郎、小倉淳二は
「言葉選びには苦労をした」として、
プロ野球のイメージと差別化するため、用語を全面的に見直した、と語っている。
「フランチャイズ、ファンという呼称をやめ、ホームタウンとサポーター」にしたのはこのためだ。
さらにリーグトップである理事長の呼称も、コミッショナー、プレジデントではなく、英語に堪能な岡野俊一のアドバイスで、チェアマンにした。

事業を立ち上げるにあたって、競合を研究するのは基本中の基本だが、競合他社に追随するのではなく、それとの徹底的な差別化を図ったわけだ。
当時のJリーグ幹部は、それほどNPBに問題が多いと認識していたのだ。

今、私はJリーグの育成担当者に話を聞いている。
通常、部外者の取材に対しては当たり障りのない言葉で答えてくれるものと思っていた。
底辺層の拡大の問題についても
「子供たちをサッカーに勧誘した結果、少年野球の競技人口が減少したというだけで、意図してシェアを奪ったわけではない」
という答えを予想していたのだが、
ある担当者は
「父親が野球経験者で、わが子にも野球をさせたいと思っているような家の子にサッカーをさせるのが、ウチの目標」と明言した。
だからそのために、母親を味方につけるためのアプローチもしているという。
これはこの担当者の個人的な見方ではなく、日本サッカーのすそ野拡大方針なのだ。
サッカーが、野球から競技人口、愛好者を奪う、という明確な意識を持っていることは、はっきり認識すべきだと思う。

Image09


ただしサッカー界は、サッカーだけが栄えればよいと思っているわけではない。
コメントでもご指摘があったが、Jリーグの「百年構想」には、「サッカーを核としたスポーツ」の地域的な普及が明記されている。
「サッカーでなくてもよい」というこの言葉は、公益性、公共性を担保するうえで大きな意味がある。
Jリーグは口先ではなく、それを実践している。
すでにJリーグの運営会社の中には、サッカーだけでなく他のスポーツをグループ傘下で展開しているものもある。
アルビレックス新潟は、資本関係のあるグループ企業で、野球(BCリーグ)、プロバスケットボール、陸上などのクラブを運営している。これなどは、「百年構想」を先取りしているといえよう。

Jリーグ、日本サッカーは、NPB、日本の野球を競合相手と認識し、ここからシェアを奪うことを明確な目標としている。

しかし、それは「野球を根絶やしにする」ことではない。野球に代表される旧弊な組織運営や、指導法、既得権益を一掃し、新しい考え方でスポーツを再構築しようとしているのだ。

今に至るも野球のほうがサッカーよりも圧倒的に強いのは事実だが、わずか20年でサッカーが無視できない存在になったことを直視すべきだと思う。



クラシックSTATS鑑賞
2015年大嶺祐太、全登板成績【初の100イニング超えで自己最多勝】

私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!


好評発売中