先週に引き続き、「巨人の星」を追いかける。10~12巻。
巨人の星 黎明編、青雲編、熱球編|談論 野球漫画

「巨人の星」甲子園からプロ入りまで |談論 野球漫画

「巨人の星」大リーグボール1号完成まで|談論 野球漫画

10巻 竜虎編

鉄球を鉄バットで打ち込む特訓をした花形満は以後、調子を崩して、代打西園寺昭夫を送られる始末。
星は、花形の影におびえつつ好成績を挙げる。相手打線は大リーグボール1号を恐れるあまり他の球にも積極的に手を出さなくなったので、大リーグボール1号の比率は下がる。星は9連勝する。
星飛雄馬の対決は、1968年9月18日の甲子園、阪神戦。4回、先発のバッキーが王貞治に危険球を投じたことがきっかけとなって大乱闘が起こり、バッキーは負傷。代わった権藤正利が王貞治に死球を与えるが、続く長嶋茂雄が本塁打。最終回、このあとにマウンドに上がった星飛雄馬に対し、花形が代打で打席へ。そして左翼席に大本塁打を打つ。しかし花形は大リーグボールを打つために使ったパワーがバックショットとなって体を痛め、ダイアモンドを回る途中で倒れる。花形は地を這ってホームベースにタッチする。
日本シリーズ。阪急の西本監督は、大リーグボール対策の「秘密兵器」の存在をにおわせる。
星は日本シリーズ合宿の門限破りをして伴宙太とともに大リーグボールの精度を上げるため揺れる小船から船からひもでぶら下がった5円玉を狙って投げるという特訓をする。
川上監督は星と伴から大リーグボールが進化したことを聞くが、二人を日本シリーズに帯同しない。しかし第6戦になって星は試合に呼ばれる。

改めて読み直して気づいたが、花形が星の大リーグボールを打ったのは、球史に残る大乱闘の試合だったのだ。リアルな試合にフィクションを組み込むというのは、当時としては実に大胆だ。私はその試合の中継を見た記憶がある。吉田義男が飛び出していったのを覚えている。

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11巻 栄冠編

日本シリーズ、西本監督が用意した秘密兵器はダリル・スペンサーだった。しかし星の大リーグボールは船の上での特訓を経てさらに進化、ボールはスペンサーのグリップエンドに当たった。大リーグボール1号はこうして完成した。
続くセントルイス・カーディナルスとの日米野球でも星の大リーグボールは圧倒的な威力を発揮した。なかに星に敵愾心に燃える目で見つめる選手がいた。アームストロング・オズマ。カーディナルスが少年時代から育てたロボットのような選手だ。
オズマは星を動揺させ、四球で歩く。しかし2度目の対戦、星は大リーグボールを投げる。オズマはバットを投げつけたが、星の大リーグボールはそのバットにさえ当たる。星はカーディナルスに完勝する。
オフになり、10勝2敗の好成績だった星に球団は6割アップの年俸を提示する。星は一度は了承しようとするが、オズマが日本に来たがっていると聞いていきなり10割アップを要求する。
星飛雄馬はオズマが自分と同じ「野球ロボット」であることを知った。そして自分はオズマと違うもっと人間らしい生き方をすべきだと考えるようになった。
星はオフには若者らしい遊びをし、女性アイドルとも交際する。
姉の明子も、飛雄馬は人間らしく生きるべきだと父に抗議。明子と飛雄馬は一徹を置いて、マンションに引っ越す。

カーディナルスで星と対戦したのは、ルー・ブロック、カート・フラッド、ティム・マッカーバーなどだ。
星飛雄馬の「人間性回復運動」が始まった。

12巻 思春編

一人暮らしとなった星一徹は川上哲治から巨人コーチ就任を要請されるが断る。星は浮ついた気分のままキャンプを迎える。
星一徹は、自分の知らない飛雄馬の姿にとまどう。そんな一徹に中日の水原新監督がコーチ就任を要請する。一徹はオズマを獲得することを条件に受諾する。
星はキャンプ地宮崎で老人の看護をする少女、美奈と知り合う。美奈は高校を中退し、山村の診療所で医師の沖竜太郎を手伝っている。飛雄馬は美奈のもとに通う。
気合が入らない飛雄馬を、川上監督は二軍に落とす。
星は一軍に復帰するために美奈に別れを告げるが、ここで美奈が「黒肉腫」という不治の病に侵されて、余命いくばくもないことを知る。
星飛雄馬は一徹にこの事情を手紙で伝え二軍に残る。
オープン戦のさなか、美奈は死亡。星は駆けつけるが死に目には会えなかった。

この時期の梶原一騎は乗りに乗っていたのだろう。ストーリーの密度が高い。
今から思うと、小学生が読むような漫画とはとても思えない。

なおこの巻の最後に、ストーリーと関係のない中学時代のエピソードが一つ入っている。漫画の進行が早く、リアルな現実に追いつきそうになったため、サイドストーリーを挿入したのだ。こののちもいくつかみられる。

W.ウイリアムス、チーム別&投手別&球場別本塁打数|本塁打大全

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